学校のリアル

【小学校の成績】通知表は過信してはいけない2つの理由を小学校教師が解説

aki-dylan
ディラン先生!うちの子、3年生の時と比べて急激に成績が伸びてるんですよ。

通知表の【A】が6つもあってすごく驚きました。

今まで3つが最高だったのに。

一体、あの子の何が変わったんでしょうかね??

それはすごいですね!!

太郎君、4年生になって勉強に目覚めたんでしょうかね!?

塾や習い事を始められたとか?

先生の授業が面白いとか。

それが、何も始めていないし、3年生の時と生活リズムも大きく変わっていないんですよね・・・。

嬉しいのと、何かの間違い?と、少し不安に思ったりもしているんです。

なるほど。成績が向上したこと自体は事実ですから、しっかり認めてあげてくださいね。

ただ・・・実はですね、通知表を作成する方法はけっこう曖昧だったりするんですよね。

通知表の成績を過信してしまうとよくないこともあるんですよ・・・。 

当ブログにお越しくださりありがとうございます。

今回は、小学校の通知表を過信してはいけない2つの理由について書いてみました。

私はこれまで数百名の通知表を作成してきましたが、成績のつけ方や通知表の作成のしかたは、学校や教師によって大きく異なり、曖昧なものだなと感じてきました。

また、通知表が本当に子どもの役に立っているのか・・・という思いもありました。

子どもの学力向上につながるものであれば問題はないのですが、曖昧な基準のもとに作られた通知表に一喜一憂されているご家庭を見ると、少しばかり心配になっていました。

通知表を過信せず、今後のための参考程度に捉えることの必要性を知っていただきたいと思い、この記事を作成しました。

ぜひ最後まで読んいただき、参考にしていただけたらと思います。

(※全ての学校、教師が下記やり方で作成されているとは限りませんので、多少の違いはご了承ください。)

通知表を過信してはいけない
2つの理由

①作成基準が学校、教師により曖昧

 

②成績が教師の主観により左右される

これらの理由から通知表は過信してはいけないと言えます。

それでは詳しく説明していきたいと思います!

過信してはいけない理由その①
【作成基準が曖昧】

作成基準が曖昧なので成績がバラつく

はじめにぶっちゃけた話をすると、通知表の作成基準は学校、学年、担任によってまちまちです。

文科省に決められた基準といえば、【絶対評価】で子どもの成績をつけましょうということくらいです。

絶対評価とは?

あらかじめ決めておいた点数をクリアすれば、誰もが【A】評価をもらえる評価の仕方。

 

例えば、

・100点~95点までは【A】

 

・ 94点~40点までは【B】

 

・ 39点~0点までは【C】

テストの平均点が100点~95点の子は誰でも【A】評価がもらえます。

 

(後で出てきますが、平均点が良くても【A】評価がもらえない場合もあります。)

私は3つの学校で勤めてきましたが、校風、地域性、管理職の考え方、学年、教師の価値観などによって成績のつけ方の基準は大きく違っていました。

中学校では高校入試に影響があるので、成績は厳格な扱いになるのでしょうが、小学校の成績は基本ゆるいという印象があります。

ですので、もし途中で転校することがあって、前の学校では上位の成績だったのに、転校先ではいたって普通の評価しかもらえないということも普通にあり得ます。

各学年である程度は統一されるが・・・

新しい学年が始まる4月。
学年の担任が決まり、それぞれの学年で細かい決めごとを話し合います。

その際に、通知表の評価基準も統一します。

「【A】はテスト平均何点以上で、上限何人くらいまでにしておきましょう」みたいな内容です。

上限何人くらいまでと言っている時点で【絶対評価】ではなくなってしまっているのですが・・・。

なぜ統一したがるかというと、ある程度統一性がないと、1組は成績優秀者がゴロゴロいるのに、2組はえらい少ないなぁとなってしまうからです。

このように学年ではある程度統一されますが、学校全体で成績のつけ方を統一している学校はそう多くはないかと思います。

単学級だとさらにバラつく

少子化の影響で、学年に1~2クラスの小学校が増えています。

学年に1クラスしかない学級を単学級といいますが、ある意味担任のやりたい放題なところがあります。

管理職のチェックが甘ければ、担任の好きなように成績をつけることも可能です。

前年度振るわなかった学級が、今年はやけに成績が良いなぁということもあり得ます。

今年の6年生は評価基準がめちゃくちゃ甘いのに、5年生は厳しいということもありえます。

過信してはいけない理由その②
【教師の主観に左右される】

教師の主観によって成績が操作される

通知表の成績は大部分がペーパーテストでの結果によるものです。

ですが、テストの結果が全てではなく、教師の主観が成績に大きく影響を及ぼします。

そのよくありがちな事例をご紹介します。

【成績操作その1】
次への足掛かりに利用するケース

例えば、【A】評価を与える基準点をペーパーテストの平均95点以上と設定していたとします。

ある学級のB子ちゃんは、これまでなかなか成績が伸びなかったものの、今学期は努力を重ねて今学期のテストの平均点が92点になりました。

機械的にみれば残念ながら今回も【A】評価はもらえないのですが、担任の裁量によってB子ちゃんは【A】評価がもらえました。

ここでの担任の意図は、努力を重ねることで自分も成長できるんだという達成感を味わって欲しい、さらに学習意欲を高めて欲しいといった親心のようなものだったりもします。

テスト平均は92点だけども、提出物、授業態度、これまでの成績からの成長度合いをみて、今学期は【A】評価をあげましょうということです。

中学校でこんなことをすれば問題になるでしょうが、小学校ではわりと普通に行われているかと思います。

ちなみに、私は評価について緩い方だと思います。

小学生、特に低・中学年に厳格な評価、階層分けは意味がないと考えるからです。

しっかり頑張っている子には正当な評価をし、思うように伸びきれていない子にもどんどん勘違いしてもらってやる気になってもらいたいと思っています。

これまでに成績不振で頑張る意欲をくじかれている子にはまず、努力したら自分も成長できるんだという成功体験を積ませてあげないといけません。

そのために通知表の成績も必要な時は利用してきました!

ここで気をつけないといけないのは、子どもは大いに『デキル子』を味わってもらえばよいのですが、保護者まで一緒に安心して気を抜いてしまったら足掛かり作戦は失敗に終わってしまいます。

通知票は【A】だった。とはいえ、テストの内容を見ると、まだこの子はここが苦手そうだから、冬休みはここを伸ばしてあげないといけないなと分析できる冷静さが保護者には必要です。

【主観主義 VS 客観主義】

温情の成績操作を嫌う、客観主義のきっちりタイプの先生もたくさんいます。

成績操作はその子のためにならない。
白か黒かじゃないといけないという考え方です。

どちらが良い、悪いはなく、どちらも子どものことを思ってのことなのですが、明確な決まり、基準がないため、評価をどうするかで衝突することも稀にあります。

【成績操作その2】
お灸として利用されるケース

逆のケースでは、学習塾通いのB君の事例があります。

いつもテストでは100点や95点を連発。
ただ、彼の中では学校の学習活動は暇つぶしでしかない。

提出物や宿題は出さない。授業中の態度も良くない。

こういう子は、わりと真面目なタイプの教師の主観的評価のターゲットになりやすいです。

「人間、そんな態度じゃだめ!」
「社会出たら通用しない!」

という理由で、テストはできているけど、提出物、授業態度などで大幅に減点されて、【A】評価はもらえないということはよくある話です。

当然、中学校でもテストだけできても提出物や授業態度が悪ければ内申点に影響がでるので、その練習と考えればこの操作もありだと思います。

ただし、あまりに真面目すぎる教師の、ガチガチの価値観に当てはまらないと評価されないというケースがあれば問題視してもよいのかもしれません。

成績は教師の思いのままに子どもを操るためのものではないですし、そもそも教師の正しいとする価値観が全てではないですからね。

成績の半分は担任の主観的評価によるもの

極論を言えば、ペーパーテスト以外の評価は全て教師の主観によるものです

特に、図工の評価なんかは教師の主観の極みです。好みもあるでしょうし。

絵や工作の専門的知識があれば、評価の仕方も大きく違ってきます。

ですが、小学校教員は全ての教科をまんべんなく教えないといけないため、全ての教科においてエキスパートな評価ができるわけではありません。

多くの教員は、作品の完成度や授業態度をみて、主観的に評価を下しています。

さらに言えば、子どもの人間性に対して主観的な評価が加味されることも無きにしも非ずです。

(簡単に言うと、好き嫌いで左右されることもあるかもしれないということです。)

体育や家庭科も担任によって評価の結果は大きく変わってきます。

というように、成績をつける基準は意外と曖昧な部分が多いのです。

まとめ

通知表を過信してはいけない2つの理由

①作成基準が学校、管理職、教師によって曖昧

②教師の主観によって成績が左右されてしまう

このように、通知表の成績はそこまで厳格なものではないということがお分かりいただけたでしょうか。

大事なのは、学期末に通知表の【A】が増えたことを喜ぶことではなく、学習の積み重ねが確実にできているかを親が把握することです。

その差は、長期休暇中の子どもの過ごさせ方に大きな違いを生みます。

学習不振の子への起爆剤として、【A】を取れたことを大いに承認することは次につながる良い手立てだと思います。

ただし、保護者は客観的事実、つまりテストの結果からの課題点にしっかり目を向けてサポートし、取り組ませる姿勢が大切です。

この記事がお子様の今後の学習活動にお役に立てば幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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