【教員の給与明細】小学校教員の年収・給料は?給料表の号給・等級・手当について解説
思ってたよりも少ない気もするし。
給料のことって人に聞きにくい感じがするし、事務で聞いてもいまいち理解できないんですねよ。
当ブログにお越しくださりありがとうございます。
今回は、小学校教員の給料について詳しく解説したいと思います。
私は10年以上、公立の小学校に勤めてきましたが、毎月の給料の決まりや仕組みなどほとんど知ることもなく過ごしてきました。
これから教員を目指そうとお考えのかた、現役の先生にもお役に立てる内容となっていますので、ぜひ最後まで読んでいただけたら幸いです!
教員の給料について
・教諭1年目の給与明細はこれ!
手取りは25万8019円
・教員の給料は給料表を基に決定される
・号給・等級で基本給の額が変わる
・初任給は学歴や職歴、年齢によって違う
講師や職歴があると若干プラスされる
・教員には残業手当・休日手当がない
給特法の悪夢
・教員への優遇は年々減縮されている
ブラックで間違いない
・生涯教員だけで生きていくのはリスクが大きい
転職サイトで情報を集めまくる
このようなことについて詳しく説明しています。
それでは早速、実際の給料明細からから見ていただきましょう!!
講師歴4年、教諭1年目の給与明細はこれ!
会社経験年数+講師歴が加味され、私の給料は2級48号給からのスタートしました。
基本給は28万1000円です。
教職調整額の4%をかけた29万2240円にいろいろな手当てを加えると、いい感じの額にはなるのですが・・。
最終的に控除等が差し引かれて、手取りは25万8019円でした。
控除等で7万円引かれています。
年収はどのくらい?
この年の年間の手取り額は概算で、
258000 × 12
=309万6000円
450000 + 550000
=100万円 (ボーナス)
年収手取りは、
3096000 + 10000000
=409万6000円
年収はおよそ、409万6000円くらいです。
教員の給料はこのように決定する
公務員の給料算出で用いられているのは、『号給』と『等級』を掛け合わして算出する給料表(俸給表)というものです。
小学校・中学校教育職給料表 (大阪府)
教員採用試験に合格した翌年4月から、晴れて正規雇用である”教諭”として働くことができます。
4年制大学を卒業後、教諭としてすぐに働き始めた”新卒”の教師は2級17号からスタートします。
大学新卒の初任給は20万~23万円くらいです。
各自治体によって、初任給は変わってきます。
教員採用試験に合格できなくても講師登録をすれば、講師として働くことができます。
講師であれば、1級の欄の月額になります。
僕の担任の先生の給料はどうやったら分かるの?
僕も将来、先生になりたいんだー。
知りたいときはGoogle先生に、あるワードを打ち込めばO.K!
給料表の調べ方
知りたい自治体の給料表を調べたいときは、
『職員の給料に関する条例 知りたい自治体名』で検索すれば見つけられます。
ちっちゃくリンクされてて見つけにくいですが。
自治体HPや検索で「公務員 教員 給料表」などで探しても詳しい情報はなかなか出てこないんですよね。
意図してのことなのかは分かりませんが・・。
【教員の給料に関する条例】
このようなページが出てきたら、教育職給料表(別表第四)をクリックすれば給料表にたどり着けます!
号給について
号給(縦軸)は、基本的に1年ごとに4号給ずつ上がります。
(講師時代は3号給ずつ上がっていました)
号給が上がることにより、給料額が8000~10000円ほどUPしていきます。
(1号給 2000円くらい)
号給(縦軸)の額は各自治体により若干の違いがあります。
校内で特別な活躍をしたり、研究発表が評価されたりすると、6~8号給ほど一気に上がることもあります。
若手のうちはなかなかそのような評価は頂けませんが・・。
逆に、”問題ありの教員”の烙印を押された教員は0~2しか昇給できません。
等級とは?
等級(横軸)は、1級から5級(6級)まであり、役職を表しています。
1級が講師、2級が教諭、3級が教頭で4級が校長を表しており、級が上がるほど職責が重くなり基本給も高くなります。
大阪市の等級
大阪市では、特2級が増設されていますね。
また、この表では出ていませんが、大阪市ではさらに教諭と主幹教諭の間に『主務教諭』という職責を与えて、教諭の給料を37歳で頭打ちにする施策を実施しています。
その浮いたお金を、なり手の少ない管理職の給料に回すのだとか。
現場からは強い反発が生まれたようですが・・・。
大阪府堺市の等級
堺市では1級から5級まで採用しています。
各自治体により微妙に違いがあるのが分かりますね。
教諭の給与モデル例
教諭3年目
例えば、大学新卒で教諭になった3年目の教員の給料は、25号給と2級の重なったところの、21万8500円となります。
21万8500円に教職調整の4%を上乗せし、地域手当や義務教育特別手当などを加算します。
一瞬、今月給料多い!!
って勘違いするんすよねー。
しあげに、共済掛金(健康保険的なもの)などの控除、給食費や親睦会費などをごっそりと差し引いた額が手取りになります。
手取りこんだけすかー!?
基本給が高いはフェイク!残業代が出ない法律”給特法”に収入が搾取されている
教育公務員には、『国立及び公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法』、略して”給特法”が適用されています。
この法律により、教員には給料の4%が上乗せされて支給されます。
これが教職調整の4%です。
教員ラッキー!!!
総務省による平成30年・地方公務員給料の実態のデータををもとに、各職種の平均給料をみると、教職調整の4%が上乗せされているため、教員の給料は一般行政職や警察職よりも飛びぬけて給料が高いように見えます。
ですが、ここには残業手当や休日勤務手当は含まれていません。
上記2つの手当てを加算した平均給与額を比べると、このような結果になります。
合計すると、一番平均給料の低かった警察職よりも1万5000円程低くなっています。
仕事内容からしたら当然といっちゃ当然なんですけど。
警察の職務形態上、残業や泊りの勤務はざらにあると考えられますので、時間外勤務手当が多くつくのも当然のことでしょう。
(実際の勤務時間で計算すると、予算の都合上、満額は支給されていないようですが。)
名目上は他職種よりも多く与えられているようになっている教員の給料ですが、この給特法のおかげで、教員には残業手当が支給されないばかりか、休日勤務手当も出されません。
実質、”残業代4%定額制働かせ放題”という、とってもお得なプランになっております。
このことが世の中ではあまり知られていないんですよね。
教員でさえも知らない人もたくさんいます。
ちなみに他の諸手当を加えると給与の月額はこのようになります。
月額給与
一般行政職 | 40万1242円 |
小・中学校教員 | 41万7208円 |
警察職 | 45万6228円 |
一般行政職と教員の差はだいぶ縮まりましたね。
※ボーナスでは、教員の額が若干高めに設定されています。
なぜ教員には給特法が適用されるの?
昭和43年、全国一斉に教員による訴訟運動が起こりました。
超過勤務に対する手当の不払いに対する訴訟です。
『超勤訴訟』といいます。
公僕の乱だね!
教員は仕事の特性上、勤務時間内外の差別化がしにくいため(自宅での教材準備や急な家庭訪問など)、一般の公務員より気持ちばかり高い俸給が設定されていました。
その代わり、残業手当も出さないし、使用者は超過勤務をさせてはいけないよという文部省の指導があったわけなんですね。
しかし、実際の教育現場では超過勤務はバンバンに行われていいる(せざるを得ない?)状況に対し、超過勤務手当は支払われるべきでしょ!という考えが広がり、昭和43年ごろに訴訟運動が全国で一斉に起こりました。
そして、労働基準法や地方公務員法に則って判断すれば、教員も労働者としての扱いを受けるべきであり、超過勤務の手当は支払うべきとの判決がいくつもの裁判で出されました。
この結果を受けて、文部省と人事院との話し合いが行われ、昭和41年度の教員の勤務状況の調査が行われました。
パソコンも携帯もないし100時間くらい??
その調査の結果、平均的な超過時間数が8時間と出たので、それに見合う教職調整額を4%として給料に上乗せする法案が成立されました。
1971年(昭和46年)のことです。
僕は先月の残業90時間すよ!!
48年経った今、残業時間が100時間にせまる教員は腐るほどいますが、今もなお4%のままです。
改正給特法が成立し、2021年4月からは、『残業時間の上限が月45時間、年360時間』が適用されることになりましたが、それでも調整額4%は少なすぎのぼったくりプランと言えますね。
義務教育特別手当とは?
昭和49年に公布された、『人材確保法』という法律に基づいて作られた手当のことです。
1970年代初頭の高度経済成長により、民間の給与水準が上がり、教員の給与は低いままだったため、優秀な人材の産業界への流出による教員不足が懸念されました。
そりゃあ、どげんかせんと!!
1972年に誕生した田中角栄内閣により、優秀な人材を教育界に取り入れ、教育の高い水準を保つというねらいから、”人材確保法”が成立されました。
その後、段階的に教員の給与水準は引き上げられ、5年でおよそ25%の給与改善が行われました。
その結果、優秀な教員の確保に成功したそうです。
ですが、平成18年に施行された行革推進法を皮切りに、人材確保法に基づいた優遇処置の縮減が進められました。
そして現在では、20200円を超えない範囲で号給・等級をもとに算出され、2000~8000円程の支給となっています。
(※ちなみに、休職中や育児休業中の教員には支給されません。)
それに比べて今は・・。
厳しいんだね。
やっぱり教師になるのはやめとこっかな~。
まとめ
教員の給料について
・教諭1年目の給与明細はこれ!
手取りは25万8019円
・教員の給料は給料表を基に決定される
・号給・等級で基本給の額が変わる
・初任給は学歴や職歴、年齢によって違う
講師や職歴があると若干プラスされる
・教員には残業手当・休日手当がない
給特法の悪夢
・教員への優遇は年々減縮されている
ブラックで間違いない
というような内容でした。。
世間一般的には、教員は経済的にも恵まれた職業のように思われているかもしれません。
けっして間違いではないですが、実際には勤務時間に見合う給料は支給されておらず、教員の使命感や善意によって成り立っている部分も大きいです。
教育の質を高めるための必要な投資は、設備や教材を充実させるだけでなく、優秀な人材を確保するためにも必要だと思います。
教職が魅力的な職業だと思えるような環境が今後作られていったらいいのになぁ、と個人的には思うところです。
貴重なお時間を頂き、最後まで読んでくださりありがとうございました!!