担任を疲弊させる保護者対応9選~ここから教師は病んでいく~【教師の体験談】
当ブログにお越しくださりありがとうございます。
この記事は、教師が疲弊する保護者対応の事例【9選】 について書きました。
教師にとって、保護者対応は切っても切れない仕事の一つです。
保護者様との関係が良ければ、1年間は安泰といっても過言ではありません。
逆に保護者対応のしかたを間違えれば、一気に信用を失い、即地獄行き・・・といったこともあるかもしれません。
学級経営において、保護者の存在はとても大きいものです。
大きな力になることもあれば、一瞬にして教師のパワーを奪い去ることもあります。
ということで、教師を疲弊させ、病ませる保護者対応とはどういうものなのかを詳しく書いてみましたのでぜひ読んでみてください。
担任が疲弊する保護者対応
- 連絡帳での長文クレーム
- 実りのない長電話
- 提出書類が出ない
- 宿題の内容を注文してくる
- 以前の担任の話を持ち出す
- 子どもの落ち度は棚に上げる
- 子どもの前で担任の批判をする
- 保護者同士で陰口を流す
- 教育委員会に連絡する
それでは詳しい内容に入っていきましょう!
①連絡帳での長文クレーム
小学校では、連絡帳を使って、家庭との連絡を取り合います。
多くの教師が朝の時間に、子どもの連絡帳をチェックします。
保護者から連絡帳で連絡が来ると、一瞬、身構えたります。
たいがいはお休みや体調不良の連絡であったり、物を失くしたみたいなので話を聞いてあげてくださいといった内容であったりします。
ただ、稀にやたらと長文で思いのたけをぶつけてこられる保護者様がいます。
書くことで気持ちがおさまるのかもしれませんし、
とにかくねじ伏せて、思いを通さないと気が済まないのかもしれません。
私も親の立場でみると、自分の子どものことが一番に思えるので、それはそれで仕方がないことだとも思えます。
しかし、朝一の長文クレームは思っているよりも破壊力があります。
不満のにじんだ文の羅列は、容赦なく教師の心を切り裂いていきます。
教師のやる気、元気、いきおいなどを一瞬にして奪い去ります。
そして、テンションが一気にピリピリモードに入ってしまうこともあります。
結果、そのしわ寄せがどこに行くか。
それは学級の子どもです。
ピリピリの雰囲気の中、ちょっとしたことで一気にお説教タイムになってしまいます。
良い学級を運営していくには、教師の健康なメンタルがとても重要になります。
教師の家庭環境、プライベートが上手くいっていなくても、子どもとの関係に歪みが生じます。
上手く仕事と切り替えができればよいですが、なかなかできない教師もたくさんいます。
私もかつては、自分のメンタルの波を学級に持ち込んでしまうことがありました。
そんなことが続けば、学級は荒れます。
私は好ましくない内容の連絡がきた場合は、長引くのが嫌なのと学級に悪い影響を及ぼしたくないので、すぐに折り返しの電話を入れて確認をするようにしていました。
文章だと細かなニュアンスが理解しきれないですし、早急に会話をすることで安心されるケースもあるからです。
至らぬところはすぐに謝罪する。
このようにして火種が大きくならないうちに対応をしていました。
それでもメンタルはダメージを受けます。
朝は子どもにとっても、教師にとっても、長い一日を元気に始める大事な時間帯です。
もし早急に確認したいことがあれば、朝一に電話で直接話すか、仕事で忙しければ放課後に連絡を取り合う方が、お互いのニュアンスが伝わりやすいので、こじれにくく解決が早いかと思います。
そして、子どもにとっても教師にとっても、回り回って保護者様にも良い結果を生むことでしょう。
②実りのない長電話
子育てには悩みが尽きません。
担任として1年間、子どもと関わっていると様々な問題に直面し、家庭と連携を取りながら解決していきます。
その際に、電話で話したり、直接会って状況を確認したりすることはとても重要なことです。
保護者対応は状況によっては1時間、2時間と話し合いをすることもあります。
大変ですが、それはそれで必要なことでもあるかと思います。
ただ、別のケースでは、週に何度も1時間を超える長電話になることがありました。
「これってただのお話相手?」と思ってしまうような、ただただ時間と体力を消耗する保護者対応でした。
電話を切った17時、18時からやっと自分の仕事に取りかかれるということが続くと、だんだんと疲弊してきます。
自分の仕事の時間が奪われるということは、学級のクオリティが下がってしまうことにも繋がります。
この1時間があれば、面白い授業の準備に充てられたのにということは往々にしてありました。
③提出書類が出ない
小学校担任は授業のほかに、事務処理等の雑務を多く行います。
むしろ雑務8割、教育2割くらいじゃないかと思うくらいです。
アンケートの回収、集計や懇談会の日時決めなども全て自分で行わないといけません。
学級で全員揃ってから、まとめて〇〇まで提出してくださいと指定があることもあります。
家庭訪問の日時を決める際には、兄弟がいる家庭は、別学年の教師と訪問時間をかぶらないようにしつつ、同じ日に合わせる配慮をとらなければいけません。
それが複数件あるので、日程を決めるのにも一苦労です。
できればささっと終わらせたい仕事でも、提出期限に出ていなくて揃っていない書類があると、後回しにせざるをえません。
そんな時に「ムキーッ!!」となることがありました。
子どもが親御さんにきちんと手渡していないケースもよくあるので、ある程度は仕方がないと割り切っていましたが、何度も続くと内心、「また〇〇さんかぁ・・・」と思うこともありました。
催促の電話のために名簿を調べ、かけてもすぐに繋がらない状況が続いたりすると、どっと疲れがたまってしまう保護者対応の1つです。
④宿題の内容を注文してくる
保護者により、宿題を少なめにして欲しい派の方や増やして欲しい派の方がいます。
毎年、面白いように分かれます。
少なめにして欲しい派の方の意見の大半は、「習い事で宿題の時間を長く取れない。床につく時間が遅くなりすぎる。」といった意見が多くあります。
増やして欲しい派の意見としては、「子どもが家に帰ってから遊んでばかりで勉強をしないから、勉強をさせる口実のために宿題をもっと出して欲しい」という意見があります。
他には、「もっと子どもの学力を上げたいからたくさん出して欲しい」という親御さんもいます。
分からないでもないですが、毎回、「なんで???」とクエスチョンマークが頭に浮かんでしまいます。
特に、子どもに勉強させるためにたくさん宿題を出して欲しいという要求には正直、
「自分で増やせ~ぃ!」と内心ツッコミを入れていました。
学校、担任の強制力を働かせて無理やりにでも勉強をする環境を作って欲しいということだと思いますが、全くもって意味がないと思っていたので、
「検討しておきます!」とサラッと流させていただいておりました。
学力を伸ばしたいのであれば、宿題の量に頼るよりは、塾やタブレット学習、家庭教師などを利用する方がよっぽど効果があります!!
宿題は、家庭学習を身につけさせるねらいのもとに毎日出されていますが、大量に出してもそれほど学習効果は望めないというか、逆効果という研究データも出されています。
実際に、学習塾や習い事に通っている子は、帰宅後、夜12時までかけて宿題を終わらせたというのを別の学級の子どもに聞いたことがあります。
そんな現代の子どもたちの多忙な状況も考えながら、負担のかからない範囲の中で宿題の量を考えていますと伝えても、そんなことはお構いなしに、宿題の量を増やせの一点張りのときもありました。
「子どもとの衝突や嫌われる関わりを自分はしたくないけど、先生が強制すれば子どもはやらざるを得ないから」
これが本音ではなかろうかと思いながら、結局、宿題を増やして欲しいとの要求は一度も受け入れたことはありませんでした。
経験年数のない教師や、押しに弱い教師であれば、いろいろな保護者の意見に翻弄されてしまい、自分のやるべきこと、やりたかったことを見失ってしまうこともあるかと思います。
そうなると、教師の心はどんどん疲弊していってしまいます。
子どもを良くしたい思いがあるほど、摩擦が生まれてしまうジレンマに苦しめられる保護者対応例です。
⑤以前の担任の話を持ち出す
保護者との信頼関係がまだ築けていない春先に、特に起こりやすいことです。
子どもが言うならまだしも、保護者に言われたら相当キツイですね。
経験豊富な教師や、人気のある教師の翌年を担当した若手教師が言われたりします。
間接的にですが、言われている話を聞いたこともあります。
私が直接言われた経験では、2年前の私自身の実践と比べて、
(内心ちょっと残念な表情)
と言われたことがあります。
子どもの実態や学級の育ち具合によって、やれることも変わってくるので、過去や誰かと比べられても、
「そんなこと言われましても・・・」という気持ちになってしまいました。
『 あら、そんな違いますかねぇ。
えへへへへ。』
とはいえ、99%の保護者の方は直接は言ってはこられません。
意図的なのか、無自覚なのかは分かりませんが、このようなことを言ったら相手が傷つくかもってことも、平気で言ってしまう方とも上手く付き合っていかないといけないのが保護者対応の辛いところです。
こんなことが続けばそりゃ病みますね。
⑥子どもの落ち度は棚に上げる
親にとっては自分の子どもが一番大事な存在であることは間違いありません。
それゆえに起こる悲劇も時にはあります。
『子どもがなくした学習道具を、先生がきっちり探してくれなかったから、翌日の活動に参加できなかった。』
ということで、学校にクレームを言いに来られたケースがあります。
たしかに、教師に落ち度はあります。
もう少し協力的に探してあげたら良かったのと、代替品で翌日の活動に参加できるように手配してあげるべきだと思います。
ここは教師が未熟で至らない点です。
平謝りするしかない状況です。
ただ、物の管理の責任は誰なのか。
学習道具の補填は誰がするのか。
という視点がこのクレームの保護者様にはありませんでした。
子育て、公教育、ほんとにこれでいいのかなと思いました。
私の子どもがその状況であれば、
「失くした自分の責任と、翌日までに必要な道具を買い与える親の責任」
も考えないとな思いました。
そのうえで、「先生のその対応はいただけない」と指摘するかと思います。
20年前と今では、教師と保護者の関係性、保護者対応のしかたは大きく変わってきました。
何か問題が起きれば学校はとにかく事なかれ主義の平謝りの状態です。
当然、非があれば認め、謝罪すべきです。
ですが、「なんでも屋」を請け負い、失態があれば徹底的に叩かれる今の状況では、
教師なんてやってられない!という方が今後も増えるでしょうし、優秀な教員のなりても減っていくのではないかと思います。
⑦子どもの前で担任を批判する
これは意外とあるかと思います。
これまで数回、リアルに学級崩壊したクラスや、担任が途中で辞めてしまったクラスを間近で見てきました。
崩壊したある学級では、保護者が家で話しているんだろうなというような内容のことを、子どもが学校で話しているのを何度か聞いたことがあります。
「〇〇先生は新卒で世間知らないから、保護者とうまく関われないんよ」
親が教師を見下し、批判すると、子どもは教師を尊敬できなくなります。
それどころか、教師を見下げ、教師の指示が入らなくなってしまいます。
それは学級崩壊の一途をたどることになります。
子どもにとって、学級が崩壊してしまうことはマイナス以外の何物でもないのですが、保護者自ら望ましくない結果を招いてしまうことがあります。
学級崩壊に至らないとしても、子どもが尊敬できない教師のもとで、1年間過ごさなければならない状況は、やはり子どもにとってマイナスに変わりありません。
私は毎年、年度当初の保護者懇談会で保護者に必ず伝えてきたことがあります。
それは、子どもの前で担任の批判は絶対にやめてくださいということでした。
「批判、クレームがあれば直接いくらでも対応しますので、これだけは協力してくださいね!」
と念を押してお願いしていました。
『 クレームいつでも大歓迎!
ただし、私に直接お願いします!!』
それくらい、重要なことだと私は思っています。
⑧保護者同士で陰口を流す
これは数年前に経験して背筋がゾッとしました。
問題を起こした、ある子どもへの指導のしかたが適切でなかったということが、保護者のLINEグループで出回っているらしいから気をつけた方がよいですよ。
と別の保護者に教えてもらったことで知りました。
まさか批判されるような対応を取ったとは自分では思っていなかったので、そういう捉え方もあるんだなと反省しました。
同時に、全くそんな雰囲気を感じさせなかった保護者が、LINEでそんなやり取りをしていることにSNS時代の怖さを感じました。
クレーム、批判は一気に広まる時代なんだなと身をもって体験しました。
学生の間では、こういった問題が存在するのは知っていましたが、大人になって自分がそのやり玉に挙げられるとは思ってもみなかったので、その後は気をつけないとなと思い、過ごしてきました。
もしかしたら、学級崩壊しそうなクラス、保護者とうまくいっていない学級担任はSNSで、あることないことを書かれているかもしれません。
あくまで推測ですが。
そのようなときに一人でも、「先生、気をつけた方がいいよ」と忠告してくれる存在がいることは、その後の学級の運命、子どもの運命をも変えるかもしれません。
風評が一気に広まる時代だからこそ、個々のつながりはより大切にしたいものです。
⑨教育委員会に連絡する
私の友人である教師が、実際に教育委員会に匿名で連絡されたことがあります。
普段の子どもとの関わりや教師の言動、修学旅行の様子までも詳細にクレームとして報告されたそうです。
ただこの件に関しては、あまりにも事細かい内容で保護者が知り得ないような内容もあることから、内部リークの可能性もあると話していました。
どちらにせよ、教師にダメージがあるのには変わりありません。
どうしようもない教師、子どもにとってマイナスでしかない教師は教育委員会に相談することもよい手段かもしれないと思います。
ただし、自分一人の思いをつき通すために教育委員会へクレームの連絡入れるのは、ちがうなぁと思います。
教育委員会に連絡が入れば、管理職に確認の連絡が行き、当該教師の事実確認が行われます。
場合によっては現場視察であったり、教員が委員会へ直接出向くケースもあります。
これもまた、とてつもなく実りのない不毛な時間であり、自分のやるべき仕事ができないジレンマに教師の心は疲弊していきます。
まとめ
- 連絡帳での長文クレーム
- 実りのない長電話
- 提出書類が出ない
- 宿題の内容を注文してくる
- 以前の担任の話を持ち出す
- 子どもの落ち度は棚に上げる
- 子どもの前で担任の批判をする
- 保護者同士で陰口を流す
- 教育委員会に連絡する
いかがだったでしょうか。
保護者対応の事例は挙げればきりがありません。
今回は自分の経験や周りの教員から聞いた、よくある事例をピックアップして書いてみました。
くり返しになりますが、良い学級を作るには教師の心と体が健康でなければいけません。
特に心は目に見えない分、ある日突然崩れ出すこともあります。
そして、よい学級を維持するには保護者の協力が必要不可欠です。
子どもたちにとってよい学習・生活環境を提供するためにも、教師の働きやすい環境づくりに目を向けていただけたら幸いです。
貴重な時間を使って最後まで読んでくださりありがとうございました!