大人の価値基準だけで子どもの行動を見てると、ほとんどが「ダメ出し」になる
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この記事は、
【大人の価値基準だけで子どもの行動を見てると、ほとんどが「ダメ出し」になる】
というテーマで書かれています。
やたらと社会の常識にこだわる大人という生き物
規律に対してうるさい人ほど、社会の常識がとか、社会に出たら通用しないよ!という理論を振りかざして子どもに同じ価値基準をもって
行動することを求めがちです。
教師がよくやりたがることですね。
僕は学生時代から集団生活が苦手で、ちょっと変わっているところもありますので、とにかくこの価値観の押しつけっていうのがすごく生きづらかったんですね。
今もそうなんですけども・・・。
そしてこのような教師や親によるダメ出しや価値観の押し付けは、無意識的にしている場合も多く、悪気があってやっているというよりは、むしろその逆で、教師や親という立場での責任感を強く感じている人ほど、
子どもをきちんと教育せねば!
ちゃんとした人間に育てねば!
広く言えば、教師として親として、
ちゃんと仕事せねば!
という思いが強く出すぎてしまうんですよね。
その思いから、子どもが何かするたびに、
それはダメ! ダメでしょ!
あれもだめ、これもだめって、軌道修正するために言ってしまいがちなんですよね。
そしてやっかいなことに、言っている本人は、ダメを連呼していることにあまり意識がないんです。
僕も学生時代の自分のことは棚にあげて、30歳で教員になりたての頃は、
子どもたちが社会に出てから困ってはいけないという思いから、
学級経営において、ずいぶんと規律にはうるさくしてきた時期もありました。
だけど今は伝えたいことが山ほどあったとしても、
伝え方と、タイミングと、量を意識して伝えるように心がけています。
なぜなら、ダメを連呼したところで効果はないし、反発も生まれるし、空気も悪くなるからです。
つまりそれほど意味がないからです。
そして何より、大人の視点から見た物事の良し悪しは、子どもの発達段階においての良し悪しとは全く違うからです。
また、一人の大人感じる「良し」が絶対に正しいとは言い切れないわけで、伝えることを仕事である教師であれば、
慎重に物事をみることが大切だと思うようになったからです。
子どもにとって意味のあることは山ほどある
大人にとっての、「余計なことすんなー!」と思える子どもの行動であっても、
子どもにとっては、貴重な経験を積むチャンスにもなっていることってたくさんあるんですよね。
子ども、特に幼い段階では、たくさんの経験を通して、脳にプログラミングしていくんですね。
その中で同じ失敗を繰り返すこともあるし、同じいたずらを何回もすることもある。
その際に、
これはダメ!それはダメ!これもダメ!あれもダメって
もぐらたたきのように子供の行動や考えを正そうと躍起になっても、
まったく効果はないし、むしろ子どもの好奇心や自尊心も奪ってしまうことになる。
なので、あまり大人はでしゃばりすぎない方がよいんです。
子どもは教師や親のコピーロボットではありませんからね。
放任していればとんでもないことになるのでは?
こんな話をすると、じゃあ子どもに望ましい行動や常識を教えずに放任すればよいのかと言う方もいますが、
0か10の話ではなく、
ダメ出しを思いついたまま10行っているのであれば、意識的に1か2に抑えてみることが大切だということです。
もちろん、僕もすぐに注意して正したくなるときはありますけども、
そこは、「学習ターイム!」と心で唱えて、ぐっとこらえて、あえて子どもたちを泳がせるんです。
時間も労力もかかりますけどもね。
指摘や注意は量・頻度・タイミングが重要
単純に、ダメ出しばかりする人の話を、素直に聞けるかと言えば、当然、聞けなくなります。
逆に、反発して、言われたことの反対のことをやってやろうくらいになってきます。
だから注意をいれる頻度や量は大事なんです。
「あの子、全く言うこと聞かないんです!」
て職員室で聞いたりしますけど、たいがいその子が初めからそうだったのではなく、これまでの大人の関わりが、その子をそうさせてきた可能性が大きいんです。
もし4月当初から、受けもった子がそのような感じであれば、
それはそれまでの大人の関わりがそうさせていた可能性が大きいですから、
じっくり、丁寧に時間をかけて、その子との関係性を築くことが大切です。
間違っても威圧的、強制的にすぐに従わせようとしてはいけません。
子どもと戦い始めれば、いずれ追い越されるときがきますから。
どのように伝えるのか、そしてタイミングは?
そして、その1か2に抑えた伝え方も、「それはダメ!」ではなく、
・適切な行動はこんな風にしてほしいな
であったり、
・その行動をすることでこんな良くないことが起きるよ
という望ましい行動や理由を丁寧に教えてあげることが大切です。
細かいこといいますけど、「〇〇してほしかったなー」は個人的にオススメしません。
過去の行動を否定するニュアンスが含まれているので受け取った側は、済んだことをグチグチ言われている感じがして、あまり気持ちよくありませんからね。
その子を否定するように伝えるのではなく、
「私はこう思うんだけどな、こんな風にしてほしいな」
と提案型で伝える。
こっちの方が断然受け取りやすくなります。
そして、すぐに受け取ってくれなくても、くり返し投げかけることが大事です。
そして、子供が聞けるタイミングをしっかり見定めることです。
不適切な行動をしたら、その直後に伝えるのがよいですが、他に意識が集中していたり、ふて腐れていて聞く耳を持とうとしない時に、
無理やりこっちを向かせて、どれだけ熱心に伝えても入りにくいものです。
なのでしっかり子どもの動き、表情をみてタイミングを見定めることが大切です。
価値観やルールは人それぞれ、環境によっても違う
大人はこれまでにたくさんの経験を積んできて、善し悪しの基準も分かってきて。
世の中の大体の平均値が何となく分かってしまっているように思っているんですが、
それはあくまで、その大人が感じている世界観であり、世の中のルールなんですよね。
特に教師は社会全体でみれば、中流のちょっと上くらいなもので、経済的な成功者なわけでもないですから、
「先生の言っているこはとは全て正しいんや!」
なんていう姿勢で子どもに関わってしまうのは超危ういです。
教師だって、分かっていないことの方が断然多いんですから。
いち教師が良しとみている世界観を子どもに押し付けるということは、
よくて中流程度の物事の見方しかできない人間を再生産してしまう可能性も大いにあるってことです。
なので、教師は子どもにダメを出して禁止する際も、
ほんまにそうなんかなって常に自分にツッコミをいれて、自問自答することが大切だと僕は思っています。
僕らが受けてきた教育の常識と、子どもたちが大人になった時の常識、価値観ってまた全然違いますからね。
子どもには、教師くらい簡単に追い越していける大人になって欲しいなと常々願っています。