算数の成績が上がらないと悩む小学生を引き上げる6つの手立てを小学校教師が解説!
当ブログにお越しくださりありがとうございます。
今回は、算数の勉強をしても成績が上がらないと悩む子を家庭で引き上げる6つの手立てについて書いてみました。
このような内容です!
算数の成績が伸び悩んでいる子を引き上げる6つの手立て
①下の学年の学習をやり直す
②簡素化して考える
③親と一緒に勉強する
④事前に予習する
⑤テストの練習をする
⑥気長に見守り、継続的にフォローする
これらを意識して行うことで成績は改善されていきます。
小学校教諭として働く中で、たくさんの子どもと出逢い、それぞれの学力差も痛いほど感じてきました。
学力を向上させるための長年の研究の中で得た、手応えのあった対策法をご紹介したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
それでは詳しく説明していきたいと思います!
下の学年の学習に戻る
算数の成績を上げるポイント1つ目は、
下の学年の学習をやり直すということです。
これが効率的で確実な成績の伸ばし方なので、ぜひとも伸び悩んでいる子には取り組ませてあげて欲しいです。
3年生のわり算でつまずいているなら、2年生の九九を。
4年生の筆算でつまずいているなら、2年生のかけ算なのか、3年生のわり算なのか、苦手な部分をはっきりさせて、その部分から立て直す必要があります。
算数は1年ごとのぶつ切りの学習ではなく、系統的に積み上げて指導してきます。
なので、目の前の学習を頑張っているのに伸び悩んでいるのであれば、過去のどこかの学習でマスターできていないことがある可能性が高いですね。
今つまずいている学習に関係する、前年度までの学習内容は、担任の先生に確認すればすぐに教えてくれるかと思います。
もし計算でつまずいているのであれば、ドリルなどの反復練習が効果的です。
計算が得意・不得意の差は、どれだけ問題を解いて、無意識でもできるくらいに身についているかにかかっています。
かけ算の土台ができていない上に、いくらわり算の筆算をマスターしようとしても、同じところで引っかかってしまいます。
そうすると、また今回もできないという負の連鎖に陥ってしまいます。
いつ、どこでやるか。家? 学校?
学習のつまずき、遅れがある場合は、取り戻す作業を学校以外の環境で取り組まれることをおすすめします。
家でお母さんがフォローしてあげるか、個別型の塾がおすすめです。
なぜ、学校以外なのか。
それは、学校の先生には子ども個人にかけてあげられる時間が圧倒的に足ないからです。
担任を持っていると、ジレンマを感じることがあります。
じっくり個別で教えてあげれば、すぐに引き上げてあげられるのに。
だけど、放課後も会議や打ち合わせやらで、全然時間が取れない。
日中は授業もあるし、他にも目をかけてあげないといけない子もたくさんいる・・・。
こんな感じで、学校は年々やることが増え、子どもとじっくり関われる時間が取れなくなっているのが現状です。
学校でなんとかしてくれると考えているうちに、時間はずるずると過ぎていき、学習の遅れは広がる一方ということもよくあることです。
『 そんな状況をなんとかしたいと、
学童まで行って勉強を教えたり、土曜に教室を開放したりしてフォローをしていたこともありました。』
多くの先生が、忙しい中でもなんとか成績をあげようとあの手、この手と工夫して指導していますが、圧倒的に足りないのが”時間”なのです。
なので、家に帰ってからの時間や長期休暇中が勝負になります。
学校でも担任次第で成績を引き上げることは可能ですが、時間がかかってしまうのと、不確実というリスクがあります。
また、一時的に担任の力で成績が上がったように見えても、本人の中に学習習慣が身に付いていなければ、すぐに元に戻ってしまいます。
成績を上げるよりは、学習の仕方を身につけさせる方が大事です。
失敗経験よりも小さな成功体験をたくさんさせる
同じ間違いばかりを繰り返すと、”やっぱり自分はできない”という思いを強化させてしまうので、勉強嫌いが加速していきます。
勉強において、失敗をたくさん経験すれば心が鍛えられて、たくましくなるということはまずあり得ません。
子どもは小さな体いっぱいに、”やってもできない”という思い込みのダメージを蓄積していきます。
それは、その子のその後の生き方にも影響を与えてしまいます。
なので、できるだけ早く手を打ってあげて、やればできる経験を少しずつでいいので、周りの大人が作ってあげる必要があります。
根本原因をあぶりだす
現在、学習している単元(学習内容のかたまりのこと)は、前年度に関連した内容の学習をしています。
かけ算の筆算なら、3年生で3けた×2けた、3けた×3けたをやったうえで、4年生では小数のかけ算の筆算をやります。
整数が小数になっただけなので簡単ですが、かけ算の筆算をマスターできていないと、筆算のところで引っかかってしまいます。
小数のかけ算の筆算でつまずいているなら、3年生の問題に戻ってみて、これくらいなら解けるのか、これすらも解けないのか、まずそれを判明させることが大事です。
その際に、つまずき個所を判明させる作業を子ども一人でさせないでくださいね!!
これめちゃめちゃ重要なことなんです。
大人がしんどい事にも向き合えるのは、その先に取り組むことのメリットを知っているからです。
しんどい仕事に行くのも、食べていくためであり、家族を養うためであるメリットがあるからなんですよね。
子どもにとって、自分の出来ていないところの原因分析など、苦痛な作業でしかないですから、必ず途中で頓挫してしまいます。
ここは大人が寄り添ってあげて、引き上げてあげる気持ちで丁寧に取りかかることが大事です。
なぜやる必要があるのかを示す
子どもは、なんで下の学年の勉強なんてしないといけないの!と、はじめは嫌がるかもしれません。
子どもなりにプライドがありますので、無理強いするのはよくありません。余計反発してやらなくなります。
子どもに何か行動させるさせる前には、必ず趣意説明が必要です。
なぜ、それをするのか。なぜ、必要なのか。
することで、自分にどんなメリットがあるのか。
なんて声かけをしようものなら、子どもは絶対やらなくなります。
そうではなくて、
最近テスト難しい?
大きなかけ算の筆算が苦手なんだ?いつから?
お母さん、勉強も遊びも楽しそうにしてる太郎のこと見るのが好きだからちょっと心配だな。
一緒に苦手なところ得意にしない?太郎なら必ずできるようになるよ!
という、寄り添った声かけを丁寧にしてあげる必要があると思います。
その際、「あなたは〇〇だから、△△をやりなさい!」ではなく、
「お母さんは〇〇と思うんだけど、一緒に△△やらない?」と、私はこう思うんだけど、どう?
というふうに、提案型で話すと受け入れられやすくなります。
先ほど述べたように、失敗を積み重ねていると、自分はできないというダメージを受け、これ以上傷口を広げられたくない気持ちになってしまうので、
はじめは「べつに」や「ほっといて」というふうにつれない態度をとるかもしれません。
ですが、それは無意識で自分を守っているためであり、案外一緒にやり始めると素直に受け入れてくれるものです。
つまずいた時は簡素化して考えるクセをつける
算数の成績を上げるポイント2つ目は、
苦手に感じた問題は、シンプルにするクセを付けることです。
これまで述べてきたように、算数は毎年、全く新しいことを学ぶということは少なく、前年度までの内容を少し応用して複雑に見せかけているのがほとんどです。
なので、私が授業をする際、子どもたちが理解しきれていないなと感じたときは、数字を小さくして、問われている文章を削ってできるだけシンプルにして考えてもらいます。
すると、問われている本質が見えてくるので、子どもたちは、「なぁんだ、簡単やん!」と気づきます。
ここでの本質とは、”基礎的な学習の使いまわし”ということです。
例えば、『936は24の何倍ですか』と問われると、一瞬固まってしまう子、戦意喪失の子などがぽつぽつ出てきます。
「何倍を求めるってどういうことだったけ?」
「どうやったら求められるんだっけ??」
「数字が大きいし、なんだか難しそう・・・」
と、一気に混乱してきます。
そのときは、数字を極力小さくして考えるようにと声かけして、ヒントを出します。
『6は2の何倍?』
『2のかたまりのいくつ分?』
『2年生でやったよね。
それを式に表すと、どういう計算になるの?』
『
なんだ、わり算で求めるんだ。
じゃあ、848は24の何倍かな?』
というふうに、数字を小さくすると、やっていることは同じようなことがたくさんあります。
この法則は、いろいろな単元に応用できるので、身につけると役に立ちます。
親と一緒に勉強する
成績を上げるポイント3つ目は、
親が横に付いてあげて学習のサポートをしてあげることです。
これは超強力な効果を発揮します。
これまでの経験上、低学年から学習習慣がついているお子さんの多くは、何かしらの形で親が直接サポートしてもらっています。
ですが実際問題、働きながら子育て、家事、育児されているお母さんにとっては、さらに一緒に学習の時間を費やすというのは、結構な負担になってしまうのかもしれませんね。
『私は育児休暇を取ったことで、その大変さの一端を経験することができました。
そんな忙しい中でも、お子さんの成績の心配までされているお母さんには、ただただリスペクトです!!』
あまりお家でのサポートの機会がなく、成績が伸び悩んでいる子を受け持った際、放課後や土曜に特別授業をして学習のサポートをしていたことがあります。
その際、感じたのは、元々勉強が嫌いな子はいないんだなということです。
横についてあげて、つまずいた時にサポートして、できるようになっていくと、すごく表情が晴れやかになります。
今、どれだけ成績が伸び悩んでいる子でも、そばでサポートしてくれる環境があれば、今より確実に伸びるのは間違いありません。
「教える内容が分からなくて・・・」とおっしゃられる親御さんもいらっしゃいますが、ぜひ、一緒に問題について悩んだり、子どもに教えてもらってあげていただきたいです。
学習はインプットよりもアウトプットすることの方が脳への定着率を高めるので、横で説明を聞いてあげるだけでも効果があります。
お母さん、算数苦手だから習ったこと教えてほしいな。
というふうに、教えてもらうかたちで学習内容を話してもらうだけでも、記憶の定着率がグンとあがります。
事前に予習をする
成績を上げるポイント4つ目は、
予習をすることです。
事前にやることを知っておくことで、授業は復習やサポート的位置になるので、気持ち的にも楽になります。
小学生は事前に予習はしない方が良いとの一説もあります。
初めて課題に出会った際に、これまで学んできたことを活用して問題を解決する力を養うためであったり、ワクワク感を抱かせるためだったりするそうです。
ですが、すでに苦手意識が根付いてしまっているお子さんは、授業で初めて出会う課題に対して、ワクワクなんてしている余裕がありません。
そして、一斉指導の中で45分間の中で、きちんと学んだことを身につけることができるかと言えば、若干不安がありますよね。
指導者としては、課題との初めての出会いで、子どもたちがキラキラと輝いて創造的に思考するのが理想ですが、多くの子どもは塾や公文などですでに学習済みで解き方を知っています。
なので、授業が始まる前から、力差が大きくついていることはどの学級でも普通にあります。
一斉授業の多くは、一番進度が遅い子に合わせて進めると全体が停滞するので、だいたい中間くらいの早さの子に合わせて進めていきます。
算数が苦手な子にとっては、45分間、なんとかついていくのに必死なのがリアルなところです。
ですので、現時点で苦手意識が強いのであれば、できればお母さんと一緒に、明日やるところに目を通して、要点はここだねということを予習しておくだけでも、次の日の学習内容が理解しやすくなり、成績は上がりやすくなります。
テストの練習をする
成績を上げるポイント5つ目は、
テストのための練習テストを繰り返しすることです。
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これをすることで、テスト慣れして、テストに対するアレルギーを無くしていきます。
また、力がついていないところがあぶり出されるのと、どこを重点的に学習すればよいかが分かります。
また、本番でないため、間違うことへのダメージが少なくてすみます。
お母さんはこの機会を利用して、
間違えることは、悪い事ではないんだよ。
と、声をかけてあげることで、トライ&エラーから成長に繋げられる思考を育てられるようになります。
だめなのは、エラーの繰り返しで傷つきっぱなしになることです。
『 できるようになったところは大いに認め、うまくいかなかったところは、次うまくいくためにどうすれば良いかを一緒に考えてあげるのも良いですね。』
テストのためのテスト練習は、一気に大量にやって日を空けるよりよりは、毎日少しずつ継続的に行う方が脳に定着しやすくなります。
一気に変化を求めない
成績を上げるポイント6つ目は、
一気に変化や結果を求めないことです。
変化をはやる周りの空気感は、子どもにとってプレッシャーになってしまいます。
気長に、一歩、一歩着実に力をつけることが大切です。
これまで述べてきた取り組みを継続的に取り入れるだけでも、成績は確実に向上していくでしょう。
繰り返しになりますが、算数は積み上げが肝心なので、現時点でつまずいている部分をあぶりだして、反復練習で得意にすれば、目の前の問題は容易に解決し始めます。
積み上げが関係のないような単元、例えば、コンパスや定規を使った作図であったり、分度器の計り方も、正しいやり方で、これまでにどれだけ手に触れて扱ってきたかで、得意、不得意が大きく分かれてきます。
なので、現時点で作図や計測が苦手であるならば、とにかくたくさん触れて、書くことです。
ノートをとる時も、いちいち定規を使って、使い慣れることで、作図に生きていきます。
そのような、1つ1つの積み重ねが特に算数の学習では重要になってきますが、何より大切にしていただきたいのは、一気に変化を求めないことです。
親が焦って変化や結果を求めないことです。
子どもは見た目以上に繊細で、傷つきやすいです。
表には出そうとせず、「勉強なんて興味ないもーん」とフラフラ開き直ってそうな子でも、内心はできるようになりたいものです。
「あぁ、やっぱり自分でだめだわ」って、元の住み慣れた自分に戻ってしまわないように、継続的な親のサポートと声かけが重要です。
伸びる時もあれば、停滞するときもあるし、下がることも普通にあります。
どうやったら、次はうまくいくかな。一緒に考えてみよ~。
ここは前よりも伸びてるね。他も次は伸ばせるといいね!
と、上手くいかなかったことばかりに囚われずに、次につなげる声かけと、長い目で見守る気持ちが大事です。
失敗を失敗と捉えずに、成長に繋げるチャンスと思えるようになれば、子どもはチャレンジングになり本来の生き生きした姿を取り戻します。
学級では、
「ネクストチャンス!」という声かけが日々飛び交います。
出会って数か月で子どもを変えようとはしません。
本当の力を自分の中に芽生えさせるためには、繰り返し継続的なサポートと声かけが重要になります。
そうすれば、必ず子どもは主体的に合う勉強する子になり、成績は上がります!
まとめ
引き上げる6つの手立て
①下の学年の学習をやり直す
②簡素化して考える
③親と一緒に勉強する
④事前に予習する
⑤テストの練習をする
⑥気長に見守り、継続的にフォローする
学力不振は様々な要因が重なって生まれます。
はじめから勉強が嫌いだったわけではなく、どこかの時点でつまずいたまま進んでしまっているために悪循環から抜け出せずにいます。
お母さんのお家での協力の効果は絶大です。
ぜひ、お母さんのサポートで子どもの自信を取りもどしてあげてください。
何かしらのお役に立てれば幸いです。
お忙しい中最後まで読んでくださり、ありがとうございました。