「おつり投資」で資産運用の常識が変わる?

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おカネを増やすことに興味はあるけれど手を出しづらい、という人は多いのではないだろうか。

「資産運用で稼ぐ」というとリスクの高いFX投資(外国為替証拠金取引)や新興国株の投資などを思い浮かべるかもしれない。こうしたハイリスクの商品を含め、日本で売られている金融商品は8000~9000ほど。素人が自分に合った商品を選ぶのはやっぱり難しい。

実際、金融庁の統計によれば、日本で現在投資をしている人の割合は30代で約16%、40代でも約19%と少ない。「日本で資産運用をする人が少ないのは、信頼できる相談相手を見つけにくいからなのです」。こう話すのは、ウェルスナビの代表・柴山和久さん。

柴山さんは2016年1月、資産運用を自動で行うサービス「ウェルスナビ」を始め、17年春から、買い物のおつりを自動的に積み上げて投資する「マメタス」もスタートさせた。

運用する・しないで老後に差

コンサルティング企業のマッキンゼーで金融サービスを担当していた柴山さんは、あるとき、米国人の義母から「プライベートバンクの運用先をチェックしてほしい」と頼まれたという。「驚いたのは、富裕層ではない彼らがプライベートバンクを使うほど資産を持っているということでした」(柴山さん)。

話をよく聞いてみると、義両親は若い頃から会社の福利厚生で、給与の一部を資産運用に回してきたそうだ。といっても、自ら株式の銘柄を選んで売り買いするような運用ではなく、毎月の投資額を決めるだけでプロが代わりにおカネを運用してくれていたのだという。

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「日本人である僕の両親は、稼いだおカネを預金と保険に回していた。同じくらいの年数、同じようにはたらいていたのに、妻の両親の資産とは10倍ほどの開きがあった。資産運用はより豊かな人生を実現する手段だと実感しました」(柴山さん)

アルゴリズムは誰でも使える

プライベートバンクには投資の専門家がいて、イチから運用メニューを組んでいるのかと思いきや、実はいくつかの有名なアルゴリズム(計算方法)に頼っていることが多いそうだ。

「アルゴリズムそのものは万国共通。富裕層だけのものではないから、一般の人が使えるサービスも作れると思ったのです」(柴山さん)

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コンピュータによるアルゴリズムを使った運用提案は、「ロボアドバイザー」と呼ばれ、年代や収入、リスクをどれだけ許容できるかといった質問に答えると、運用方針を自動で組んでくれる。国内でも、お金のデザイン社による「THEO(テオ)」やエイト証券による「8Now!」など、ここ1~2年でいくつか出てきた。

投資家一人ひとりに担当者がつくわけではないため、低コストで運営できることがメリットだ。ウェルスナビの場合、手数料は、預けるおカネが3000万円までなら1%。資産運用の手数料は平均3%前後なので割安感がある。

ロボアドバイザーの多くは、国際分散投資といって主に海外の投資信託(ETF)に分散して投資をすることで、リスクを小さくしながらリターンを狙っている。国内のロボアドバイザーサービスで、採用しているアルゴリズムを開示しているのは今のところウェルスナビとTHEOの2つ。ウェルスナビは月々の積み立て式で、ほかは都度振り込み式が多い。

“絶対儲かる”わけではない

気をつけておきたいのが、ロボアドバイザーに任せれば絶対に儲かるわけではない、というところ。資産運用には波がある。預金と違って元本保証がないので、相場が下落すれば手元の資産が投資した金額より減ってしまうこともある。ロボアドバイザーはあくまで助言をするサービスなので、運用を任せるかどうかは使う側が責任を持って決めなければならない。

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ウェルスナビは登録前の無料診断で、リーマンショック並みの金融危機が起こったときのシミュレーションを確認できるようにしている。あるシミュレーションでは、金融危機後しばらくは資産が減り続けるが、数カ月や数年といった単位で持ち直し、最終的に投資した額を超えるリターンが得られると示される。

「資産が減るタイミングで我慢できなくなって買い戻すと損をする。一時的に減っても我慢できる金額を、10年、20年といった長期で投資するのがコツです」と柴山さんは言う。

ウェルスナビで資産運用を始めるには、キャンペーン期間などを除き、最低額は30万円から。これをハードルが高いと感じる人はいるかもしれないけれど、柴山さん曰く「資産運用で人生を豊かにするなら100万円は投資に充ててほしい」。最低投資額を低く設定するほかのサービスとあえて違いを打ち出している。

おつり投資で体感

一方で、17年春に始まったおつりの運用サービス「マメタス」は「買い物の主役である女性を意識した」(柴山さん)。電子マネーやクレジットカードを使って買い物をしたとき、100円玉、500円玉、1000円札のいずれかで支払ったことにして「おつり」を積み立てるという仕組み。

たとえば500円玉で支払うことにして300円の買い物をすると、200円が積み立てられる。「おつり」は500円貯まるごとに運用に回る。

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もちろん500円ごとの投資では「人生を豊かにする」だけの資産は築けない。おつり運用は、まだ一歩を踏み出していない人向けのきっかけ作り。体感してみて自分に合うと感じたなら、本格的に資産運用を始めてみるのもいいかもしれない。

(2017年4月4日に掲載した記事を再編集しました)

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