ワンコインで作れる、家族のすてきなフォトブック

小さな子どもを持つお母さんの悩みの一つが「写真の整理」だと思う。スマホで気軽に写真を撮れる時代ではあるけれど、撮った写真を現像して整理し、アルバムに収めるのはなかなか大変な作業だ。

そんなお母さんたちが頼るのは、デジタルのフォトブック。アプリやパソコンでレイアウトし、コメントなどを自由に入れて編集すれば“製本”されて自宅に届く。手軽できれいに出来上がるとあって市場はどんどん大きくなっているようだ。

両方の実家に送っても1500円

数あるフォトブックの中、「ワンコイン」を売りにしているのが、2011年に始まったTOLOT。パソコンではなくスマホのアプリで作るサービス、かつ1冊当たり数千円という単価だったフォトブックを1冊当たり500円という低価格で販売したのは画期的だった。

TOLOTを運営する末松亜斗夢さんによれば「注文する人の多くは、子どもの成長を記録したいお母さんたち」。市場規模はTOLOTを始めた当初80億と言われていたのが、今では120億円に迫る勢いだ。TOLOTも急成長し、登録者数は250万人(17年8月現在)、年間150万冊以上のフォトブックを作っている。

TOLOTのフォトブック。一度作った冊子のデータはアプリ上にずっと残る

「送料無料・税込みで500円」というシンプルな価格は、そんなお母さんたちに気軽に頼んでほしいという思いから。「何かとおカネがかかる子育て期でも、自宅用に1冊、両方の親に1冊ずつの計3冊作って1500円なら選択肢に入れてもらえる」(末松さん)。

ワンコインが実現できるワケ

500円という低価格、TOLOTはどうやって実現したのだろう。

「決して無理な価格設定ではないんですよ」と末松さんは言う。そのカギは「自動化」にある。

一般的な工程では、注文が入ったら担当者がパソコンで内容を確認して面付け(ページ配置)ソフトにかけ、印刷ボタンを押す作業までを行う。TOLOTでは、注文から面付けまでが自動なので担当者は印刷ボタンを押すだけ。多ければ1日1万冊を製本するという印刷工場は6人で回している。工場の人件費が抑えられるから、安い価格でフォトブックを提供できるのだ。

毎年人気のカレンダー。写真は16年発売のデザイン

仕組みを作ったうえで、デザインやサイズのラインナップを広げてきた。メモ欄やカレンダーなどのデザインを変えたテンプレートは200種類を超える。

お客さんが完成させる

安いからといって品質が悪いわけではない。むしろ末松さんは「個人向けの製本サービスととらえているくらい、高品質を意識しています」と話す。

TOLOTが使っている印刷機は、1部から印刷できるオンデマンド印刷機としては最上レベルの「HP Inigo 7500」(ヒューレット・パッカード社)。熱に強いから、海外の高級車のパンフレットにも使われているという。

特殊な液体インキを使用しているから、印刷した紙同士が張り付くことがなく、油性ペンはもちろん、水性ペンで直接文字を書き込むこともできる。競合のフォトブックは粉末状のトナーが付属されたカラーコピー機を使うケースがあるが、熱に弱かったり、暑い場所でインクが溶けてしまったりすることがあるそうだ。

赤ちゃんの成長記録を自分の手で書き込める

水性ペンで書き込めるようにしたのは「手書きの温かさを大切にしたかったから」(末松さん)。フォトブックは工場で完成するのではなく、お客さんの手元に届いて楽しく作り込まれて初めて完成する。

フォトブックの枠を超えたアイデア

フォトブックの枠組みを超えたユニークなデザインもある。「おくすり手帳」はその一つ。薬局で配っているおくすり手帳と同じフォーマットだが、好きな場所に何枚でも写真を入れることができる。ユーザーからは「孫の写真を入れておばあちゃんにプレゼントしたらおくすり手帳を持ち歩くようになってくれた」という感想も。

家族の写真が入った、オリジナルの防災手帳が作れる

東日本大震災の後に発売した「防災手帳」もひそかな人気商品。自治体が発行するものは地域の防災情報が載っているが、TOLOTの防災手帳はもっと個人寄りだ。

家族の写真や電話番号などの個人情報、非常持ち出し袋の場所などを自分で書き込んで作る。子どもが見てもわかるよう、待ち合わせ場所までのルートを写真と文字で示す欄もある。「TOLOTの防災手帳をきっかけに家族で話し合ってもらえれば」と末松さんは話す。

単に思い出が残るだけでなく、作った後も家族の輪が広がっていく。そんなお得感も、TOLOTがお母さんたちに支持される理由なのだろう。

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