じわじわとファンを増やす日本発の知育ブロック

使うパーツはたったの7種類。四角形と三角形の基本パーツと、5種類のジョイントパーツを組み合わせれば、平面はもちろん、立体も球体も作ることができる。パーツ同士をパチッ、パチッとはめているうちに、いつの間にか夢中になってしまう――「LaQ(ラキュー)」というブロック玩具だ。

LEGOブロックなどに比べるとまだまだ知名度は低いかもしれない。けれど、1994年の発売以来じわじわと人気を集め、今では国内外で年間700万箱、約10億円を売り上げる隠れたヒット商品だ。

恐竜や昆虫、動くロボットも

ブロックにもかかわらず、カーブのついたジョイントパーツで曲線が表現できるので、球体も作ることができる。恐竜や昆虫、動物などは得意分野だ。引っ張ると体を反らせるヘビや、手足が動くロボットだってできる。ちなみに最近は、ケーキや花、クマやうさぎなどが作れる女の子向けの「スイートコレクション」も人気だ。

今にも動き出しそうなステゴザウルス(Copyright YOSHIRITSU CO.,LTD.)

「平面から立体を作るという点では折り紙に共通している」とLaQを製造販売するヨシリツの菊地誠さん。赤、青、黄色、緑にパステルカラーを合わせた12の色を組み合わせれば、思っていた以上にいろいろな表現が楽しめる。

「スイートコレクション」のケーキ(Copyright YOSHIRITSU CO.,LTD.)

「よく知らなかったけれど子どもに欲しいとねだられた」という親は多い。全国で教材として採用する幼稚園・保育園が増えているからだ。また、おもちゃなのになぜか「書店で見たことがある」という人が多いのも、この商品ならでは。全国の取扱店2500店のうち2200店は、玩具店ではなく書店だからだ。

ブームが到来したわけではないのに、「知る人ぞ知る」ヒット商品。ちょっと変わったこの知育玩具は、その生い立ちも変わっていた。

最初はアイデア商品の一つ

「最初は『子ども向けのおもちゃを作ろう』とは思っていなかったんですよ」と、菊地さんは言う。ヨシリツはもともと、アイデア商品の製造販売を目的として1983年に設立された奈良県の会社。アイデアマンの吉條宏社長が自ら考え出した最初の商品、ワンプッシュ栓抜き「セントル」は、メーカーのノベルティなどとしてヒットした主力商品。LaQも最初はそんな中で生まれたアイデア商品の一つだったという。

「限られたパーツでさまざまな生活雑貨を自由に作れるもの」。これがLaQの最初のコンセプト。それは決して子ども向けというわけではなかったという。子どもたちが夢中になって根気よく遊んでくれることがわかったのは、本格発売を前に行った試験販売でのこと。「知育玩具」として発売することになったのはそこからだった。

子どもが夢中になる

ところが当時はプレイステーションなどのゲーム機全盛の時代。通常のおもちゃの販売ルートでは当然扱ってもらえず、なかなか子どもたちの手に届かない。一度試してもらえば確実に楽しさがわかるのに……。とにかく手に取ってもらうしかない。そこで、ガソリンスタンドや理髪店などに置いてもらって来店客に試してもらうという委託販売の形で始まった。

そんな中で開拓した販路の一つが書店だった。「書店には、何かおもしろいものはないかなという探究心を持って訪れるお客さんが多い」と吉條社長は考えた。そのもくろみは大成功で、本以外の新しい商材を求めていた書店のニーズとも合致し、児童書のコーナーに置かせてもらえることになった。ある書店では1週間で完売。こうして、徐々に扱う書店が増えていったという。

子どもと40代がハマる

まずは手に取って、遊んでみないとそのおもしろさがわからない。でも一度遊んでみると夢中になる――。それはLaQのいちばんの特徴かもしれない。

そのためヨシリツが力を入れているのが体験イベントの開催だ。書店で、玩具店で、ショッピングモールで、その回数は年100回以上にも上る。イベントは「保護者同伴」が絶対のルール。「買うつもりはなかったのに、子どもが夢中になっていたので買っちゃいました」。そんな親が続出する。

8月に開催された「丸の内キッズジャンボリー」でも体験コーナーに大勢の親子連れ

また、子どもにねだられて買った親が、その後自分ではまってしまう現象も多くみられる。実際、毎月行われているコンテスト「LaQ芸術祭」には、年間3000点以上の応募があるというが、子どもの作品と並んで40代の大人たちが作った作品も多く寄せられている。コンテスト常連の大人の作品は、大きな城の天守閣や精巧な作りの自動車など目を見張るものばかり。こうしてコンテストに寄せられた作品は、社内でより作りやすい形に変えて商品化することもある。

カブトムシも(Copyright YOSHIRITSU CO.,LTD.)

一度買うと、その後は別のシリーズが作りたくなったり、パーツを買い足したくなったりする。どんなものでも作れるLaQは、ファンを飽きさせることがないようだ。数多くの「公式ガイドブック」もシリーズ累計で80万部が売れている。

LaQは現在世界28カ国でも販売されている。日本生まれの知育ブロックとして、世界中でじわじわとファンを増やしている。

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