大人気「パクチーポテトチップス」開発の舞台裏

先日、コーヒー豆がもうすぐ切れることを思い出してカルディコーヒーファームを訪れた。いつもと違う種類の豆にしようかなと思いつつ、セール価格になっていた珍しいパスタを手に取った。レジの列に並びながら、新商品と思われるレモン味のお菓子のPOPについ見入ってしまう。カルディでの買い物は、いつも発見の連続だ。

輸入食品やワインがところ狭しと並ぶカルディ。もともとはコーヒー豆の卸売業者だったが、取引先からのさまざまな要望に応えているうちに扱う商品が増えたそうだ。海外から輸入した知られざる食材や、ここでしか買えないオリジナル商品を眺めて歩くだけで楽しい。

パクチー好きが納得する味

ここ数年、自社で開発したお菓子などのオリジナル商品がかなり増えた。今は、常時700種類ほどのオリジナル商品が店頭に並ぶ。

水で好みの味に薄めて飲む「ブラックティー レモン」

「お客様の要望に応えているうちにどんどん新しい商品ができたのです」と教えてくれたのはカルディコーヒーファームを運営するキャメル珈琲、商品開発部の小井土明美さん。

オリジナルのお菓子で大人気なのが、2015年の11月に発売開始した「パクチーポテトチップス」。パクチーが今ほどブームではなかった頃、商品開発部のスタッフが開発を始めた。パクチーの風味を前面に出すだけではなく、数種類のスパイスを使って仕上げるなど工夫をこらした商品だ。

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特定の店舗に商品が集まりすぎないよう、店舗側に発注制限をかけるほどの人気だという

パクチーはそもそも好き嫌いがはっきり分かれる食材。くわえてカルディの「パクチーポテトチップス」は、味の主張がかなり強い。「好き嫌いが分かれるということは、とことん好きな人が納得いく味わいだということ。ほかで買えない味わいだからこそ好評なのだと思います」(小井土さん)。

熱烈なパクチーファンにはもちろん、「お菓子ならトライできるかも」というパクチー初心者の支持も獲得。発売から2年近く経った現在も多い日で1日1万袋以上売れる。

現地の食材を日本人好みに

普段見聞きしない海外の食材を日本人好みの味付けに変え、使い方を指南することでヒットしたという事例もある。

最近登場したのが、モロッコなど地中海生まれの万能調味料、「ハリッサ」。唐辛子をベースにした辛味調味料で、現地では日々の料理に欠かせない。

小井土さんは中東料理のレストランに行くと必ず置いてあるハリッサが以前から気になっていたという。「日本ではニッチな調味料で、小売店にも置いていないから、レストランで食べ比べをしました。店によって辛さや味がさまざま。製作現場にどう伝えるかが難しく、リサーチと試作を繰り返しました」(小井土さん)。

「オリジナル ハリッサ」を使ったレシピ。地中海料理のほか、煮込み料理にも合う

現地のハリッサはかなり辛いが、オリジナル商品はパプリカをベースに赤唐辛子やコリアンダーなどのスパイスを加え、日本人好みの味に仕上げた。

出来上がった商品はそのまま売るのではなく、店頭POPでウリや使い方を細かく伝える。組み合わせるとおいしい食材と一緒に並べるなど、「これならトライしたい」と思ってもらうための提案を欠かさない。ちなみにPOPの一部は店オリジナルの手書き。店員さんの思いがお客さんにも伝わり、会話のきっかけにもなるという。

「これないの?」を逃さない

レモンやシークヮーサーなど旬の食材を取り上げるキャンペーンは、ほぼ毎月開催。「カルディに行けば何か見つかるかも」というお客さんの期待を意識している。

商品開発部では毎週、試作品を作って会議を行うが、流行の一歩先を見ていると、いつの間にかプロ寄りの視点になってしまいがちだという。「心掛けているのは、いち消費者としてどんな商品が欲しいか、買いたいか」(小井土さん)。店頭で商品がどう見えるか、どんなお客さんがいるか……。消費者の視点に戻るため、開発担当者は頻繁に店を訪れるようにしているそうだ。

全国におよそ400ある店のスタッフからは、定期的にお客さんの声が集まってくる。「こんな商品はない?」「こんな商品が欲しい」というお客さんからの声は、商品開発の大きなヒント。どんなに難しい要望や小さな一言であっても逃さないようにしている。

今日もまたどこかのカルディの店で、新商品のタネが生まれているかもしれない。

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