おいしくなったカフェインレスコーヒー

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妊娠してから、好きだったコーヒーが飲みづらくなった。産後も、授乳があるので気になってなかなか飲めない。

そんなとき、カフェインをほとんどなくした、「カフェインレスコーヒー」なるものがあることを知った。カフェインが入っていないコーヒーなんて薄くて味もしないのでは……と半信半疑だったが、飲んでみるとそうでもない。

広がるカフェインレス市場

「カフェインレス」や「デカフェ」という言葉を街中でよく目にするようになったのは、私自身がその“消費者”になったからだけではなかった。

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カフェインレスコーヒーの市場は、ここ数年で急速に伸びている。

2015年の「脱カフェイン生豆(なままめ)」の輸入量は2026トンと、3年前に比べてほぼ倍に増えた(全日本コーヒー協会調べ)。

日本のカフェインレスコーヒーを40年以上かけて育ててきたと言われているのがネスレ。いちばん売れ筋の「ネスカフェ ゴールドブレンド」にも、カフェインレスがあるのはうれしい。

「『ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス』を、カフェインの入っている商品と飲み比べてもらったところ、8割の方が『どちらがどちらかわからなかった』と答えてくれました。味には自信を持っています」と、レギュラーソリュブルコーヒービジネス部部長の島川 基さん。

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カフェインのデメリットをいちばん気にするのは、赤ちゃんがおなかの中にいる妊婦さんや、授乳をしているお母さん。

ネスレは、そうした女性たちにカフェインレスコーヒーを楽しんでもらおうと、2003年から数年かけて、産婦人科でのサンプリングを行ってきた。その結果、今ではスーパーだけではなくて、アカチャンホンポなどでも扱われるまでに。「妊娠したらカフェインレス」、という文化がここ数年でできてきた。

まだ全体の0.5パーセント

“カフェインレス先進国”であるヨーロッパでは、カフェインレスがコーヒー市場の10%近くを占めることもあるという。でも日本では脱カフェイン生豆の輸入量は全体の0.5%とまだまだ少ない。

理由の一つに、カフェインを摂りすぎることのデメリットがそれほど広まっていないことがありそう。カフェインをほどよく摂れば、集中力を高める、といった効果が得られる。「適量」は人それぞれだけれど、コーヒーでいうと一日に3杯くらいなら大丈夫だと考えられている。

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カフェインを摂りすぎると、目が冴えて眠れなかったり、トイレが近くなったりする。結果として健康にもよくないので、ここ最近、カフェインを控えようという人が少しずつ増えてきた。

ちなみに、カフェインがコーヒーより多く含まれる緑茶を昔から飲んできた日本人は、欧米の人より「カフェイン耐性」が強い、という見方もあって、それはそれで面白い。

夜だけカフェインレスに

そんな中、スーパーのコーヒー売り場に行ったら、オレンジ色のパッケージが目についた。UCCが、昨年秋から展開し始めた「お・い・し・いカフェインレスコーヒー」シリーズ。定番のドリップコーヒーの売れ行きが特にいいという。

豆はブラジル産を中心にブレンド。カフェインの抜き方を工夫して、コーヒーの持つ余韻のある後味と苦みを残した商品になった。

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UCCは08年に、もともとカフェインが少ない豆「ローリナ」も発見している。苗木をブラジルで大切に育て、時間をかけてようやく安定してたくさんの量を作れるようになった。こちらは、コーヒーひき売り専門店のUCCカフェメルカードやスーパーで販売している。

妊娠・授乳中の女性はもちろん、昼間は普通のコーヒーで寝る前にはカフェインレスといったように、飲み分ける文化も育てていきたいという。

カフェインレスの飲み物をお店で見掛けることも多くなった。

全国638店舗のうち約80店舗で、カフェラテなど好きなエスプレッソドリンクをデカフェ(カフェインレス)にカスタマイズできるというタリーズコーヒー。「デカフェのカスタマイズ」の売り上げは、去年と比べて30%ほど伸びている。

タリーズの「デカフェ エチオピアモカ」

ある女性の社員が4年をかけて見つけてきたコーヒー豆が、「デカフェ エチオピアモカ」。さまざまな産地の豆を試し、カフェインを除いてもコーヒーの香りと味が失われない豆を選んだ。

住宅街の中や商業施設に入っている店には、子連れのお母さんもたくさん来る。はたらいていたときにタリーズのコーヒーを愛飲していた人に、子育てをしながら家の近くのタリーズでもコーヒーを楽しんでもらいたいという思いがあるのだという。

種類も豊富なカフェインレスコーヒー。その文化を根付かせるためにさまざまな努力があったのだ……などと思いを馳せながら飲んでみるのもいいかもしれない。

(2016年8月2日に掲載した記事を再編集しました)

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