5000円の化粧水と1000円の化粧水の差は何?

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百貨店で買った5000円の美白化粧水と、ドラッグストアで買った1000円の美白化粧水。同じ「美白」をうたった化粧水で、なぜこんなに価格の差があるんだろう。

化粧水の原材料のうち90%以上は水。それはどこで売られている商品でも同じこと。

画期的な有効成分が入っていたとしても、その量は1本当たりほんのわずかにすぎないのだから、原材料費が商品の価格にかかわってくるということではないらしい。

では、いったいこの価格の差はどこから生まれるの?

素朴な疑問を感じ、化粧品ビジネスのコンサルティングを行うソフィアリンクス代表取締役の三原誠史さんに話を聞いてみることにした。

価格差の原因は?

「この価格差を生み出す要因の一つは、チャネル(販売ルート)の特性によるところが大きいのではないでしょうか」

と三原さん。どういうことなんだろう。

ドラッグストアで売る商品は、中~低価格帯が中心。メーカー、卸、小売店と、流通の各プロセスで落ちる利益が少しずつ上乗せされるものの、全国の店で販売されるため取扱数量はとても多く、化粧水1本当たりの値段は、わりと低めに抑えることができる。

片や、百貨店で売られる商品は、基本的に富裕層に向けた高価格帯のラグジュアリーブランドが中心。商品そのものの品質が高いうえ、百貨店に支払う出店料や、カウンター越しに対面販売を行うための人件費なども単価に反映せざるをえない。どうしても値段は高くなる。

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さらに、三原さんによれば、百貨店などで売られる高級ラインの商品の場合、効果が期待できる最新技術や新成分の研究開発にかかわるいわゆる「開発コスト」が乗ってくることが多いという。

ビューティーアドバイザーが丁寧に説明しながら売る商品であれば、こうした新成分や新技術を採用していることが大きな売りとなるため。

ただし、こうした新成分、新技術が採用されているといっても、実際どのくらい効果があるかはまた別の問題。

その注目の新成分が化粧水1本当たりどのくらい配合されているかなんて、そういえばどこにも書いていない。

クリームは価格差が小さい

ソフィアリンクスで行っているさまざまな市場調査の中に、スキンケアの各アイテムがどのような価格帯で売られているかを調査したデータがある。

美白化粧品を「化粧水」と「美容液」と「クリーム」というアイテム別に価格帯のボリュームゾーンを見ると、それぞれ1g当たり

化粧水:5~50円

美容液:100~400円

クリーム:100~300円

にあるという(容器などのコストを含む)。

ここでおもしろいことに気がついた。

それぞれのアイテムの価格帯を販売ルート別に見ると、「化粧水」と「美容液」はドラッグストアで売られているものと百貨店で売られているものの価格差が大きい。

それに対して、「クリーム」だけが百貨店でもドラッグストアでもそれほど差がないのだ。

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200mlの化粧水の場合、ドラッグストアでは約1000~3000円、百貨店では約6000~1万円がボリュームゾーン。

40gのクリームの場合、ドラッグストアでは約4000~8000円、百貨店では約4000~1万2000円がボリュームゾーンということになる。

その理由について三原さんはこう説明する。

「メーカーにしてみれば、利益率の高いアイテムほど価格を決めるときの自由度が高く、利益率の低いアイテムほど価格の自由が利かないということです」

つまり、「化粧水」「美容液」は「クリーム」よりも利益率が高いアイテムであるということ。

また、「クリーム」より「化粧水」のほうが消費サイクルが早く、ひんぱんに買う機会があるため、売る数量が多いということもその背景にあるようだ。

通販化粧品の場合は?

ところで、通販化粧品の場合はどうだろう。

メーカーから消費者に直接届けられる分、流通コストはかからないし、お店があるわけでもない。販売員の人件費もかからない。余計なコストがかかっていないように思える。

ところが、必ずしもそんなことはないようだ。

通販のシステムを成り立たせるのには、それなりのコストがかかる。

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配送や請求管理、顧客対応のコールセンターなどが必要だし、お客さんが商品を実際に見ることができない分、サンプリングを行ったり、広告宣伝を行ったりしなければならない。

こうしたコストが商品価格に反映されているのだという。

とはいえ、それは規模に応じての話。実は通販化粧品は最初にそれほど大きな投資が必要ないので、誰でも始められるビジネスの一つといわれている。

化粧品ビジネスはすぐできる

化粧品業界には、「OEM」といって他社ブランド品の製造を受託する企業が数多くある。

商品の内容やデザインを企画してこうした企業に作ってもらえば、生産ラインも研究所も販売ルートも販売店も持たずに、オリジナル化粧品ができてしまうのだ。

最近では、500個くらいの小さなロットでも対応してくれるOEMメーカーもあるため、数百万円あれば誰でも化粧品会社が作れてしまう。

「日本の化粧品OEMメーカーは世界的に見ても極めて技術レベルが高い」と三原さん。

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外資系メーカーの有名ブランドでさえ、あえて日本のOEMメーカーに製造を委託しているケースもあるほどだという。

そうはいっても、売れる商品を作るのはそう簡単な話ではない。

緻密なマーケティング戦略が必要なのは言うまでもないし、そのためのコストは当然必要になるわけだ。

(2016年7月15日に掲載した記事を再編集しました)

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