再就職のきっかけにもなるプログラミングアプリ

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2020年から小学校での必修化も決まり、子どもをもつ親にとっても身近な存在となりつつある「プログラミング」。「なんだか難しそう」「文系だから理解できない」……と思っている人も多いのではないだろうか。

「プログラミングはお母さんの再就職にも役立つんです」。そう話してくれたのは、株式会社マナベルの小林コトミさん。マナベルは、初心者が、簡単にプログラミングを学ぶことができる無料アプリ「codebelle(コードベル)」を16年2月にリリースした。

スマホのアプリは2万ダウンロードで「快挙」とされるが、「コードベル」はわずか1年で10万ダウンロードを記録。Appleストアの「2016年のベストアプリ10選」にも選ばれた。コードベルがここまで支持されるワケは、小林さんらが“女性目線”かつ“初心者目線”を徹底したからに違いない。

簿記よりプログラミング?

IT業界のエンジニアだった小林さんは、出産を機に仕事を辞めた。子どもが1歳のときに再就職しようとするも、“週5日の事務仕事”は激戦で何十社も落ちたという。

小林コトミさん

小林さんが住む湘南からは都内までは電車で1時間以上かかる。通勤時間がネックで仕事を辞めたお母さんたちが周りにたくさんいることを知った。「皆、子育てのスキルは社会で役立たないと悩んでいたんです」(小林さん)。

経理の資格を持っている人はわりといるけれど、今話題のプログラミングについて知っている人はなかなかいない。「お母さんたちに、“新しいこと”を身に付けて自信を取り戻してもらいたかった」と小林さんは起業のきっかけを振り返る。

“お母さんの3分”を借りる

コードベルは、時間がないお母さんでもプログラミングの基礎や“文法”を一通り学べるアプリ。全10章の構成で、各章は10~13のレッスンに細かく分かれている。1レッスン当たりにかかる時間はおよそ3分だ。

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「子どもが一人遊びをしているとき、自分がお手洗いにたったとき。そんなシーンを考えると“3分”が限度だなと思いました」(小林さん)。3分でも一つのレッスンが終えられるので、「学べた!」という達成感が得られる。10章終えるのにかかる時間は7時間だけれど、細切れで学べるから、お母さんでも無理なく続けられる。

コードベルのもう一つの特長は、レッスンがチャット形式で進むということ。アプリに登場する“先生”とのチャットはスムーズで、まるでLINEでやりとりしているかのよう。

“先生”は、難しい言葉が出てくるときはていねいかつ簡潔に説明してくれる。説明に出てくる例も冷蔵庫や猫、肉まんなど、生活になじみのあるものばかりでとっつきやすい。

iPhoneのアプリを作れるように

さまざまな種類のプログラミング言語のうち、コードベルで学べるのは「Swift」という比較的新しい言語。小林さん曰く「エラーを起こしにくい作り」になっていて、iPhoneのアプリを作る言語もSwiftだそうだ。

コードベルで一通り学べば、iPhone向けのアプリを自分で開発することもできるということになる。ちなみに、言語が違っても、プログラミングの考え方にあたる“文法”は共通していることが多く、一つの言語を学べば応用はラクになるという。

「プログラミングの“入門書”にあるようなセオリーを無視してでも、早く本質にたどり着けることを重視しました」と小林さん。初心者が抱くであろう「なぜ?」にすぐ答えられるよう、モニターの女性たちに何度も意見を聞きながら、チャットでの説明に工夫を凝らした。

チャットでのやり取りでスムーズにレッスンが進む

小林さんのもくろみどおり、コードベルをダウンロードする7割が30~40代の女性で、ほとんどがプログミングを初めて習う人。中には、ゲームアプリを開発する夢をかなえる手始めとしてダウンロードしたという女子高生もいる。プログラミングは理系の人向けと思われがちだけれど、「シンプルに考えて書けるという点でむしろ文系の人に向いている」と小林さんは太鼓判を押す。

小林さんの周りには「コードベルでプログラミングを学んでいる」と企業にPRし、再就職をかなえたお母さんがいるという。これだけで資格が取れたり独立できたりするわけではないけれど、「お母さんに一歩を踏み出してもらう」(小林さん)にはぴったりのツール。ちょっとした空き時間があるなら、スマホでプログラミングの世界をのぞいてみるのもいいかもしれない。

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