週末は“わたしの畑”に手ぶらで通う

家庭菜園を楽しめる季節がやってきた。今年は何を植えようかと考えるとワクワクする。

わが家には庭も畑もないので、野菜作りはプランターで行う。プランターが小さく、根の張り具合に限界があるためか、できる野菜は小ぶりなものばかり。種を植えても芽が出てこなかったり、枝葉を枯らしてしまったり、野菜を収穫するタイミングがよくわからなかったり。相談できる人がいないから失敗も多いのだ。


広い庭も野菜作りに関する知識もないけれど興味はある、という人にぴったりのサービスが、畑のレンタルサービス「シェア畑」。2012年にサービスを展開してから年々利用者が増え、今では首都圏を中心に全国60農園を展開。4000世帯以上の人がここで野菜作りを楽しんでいる。

最大のウリは、初心者でも気軽に野菜作りを始められること。「目指すは、“完全に手ぶら”で通える畑です」と、シェア畑を運営する株式会社アグリメディアの武藤弘樹さんは話す。

シェア畑の野菜は、殺虫剤などの農薬は一切使わない有機・無農薬野菜。年間を通して、約15~20種類の野菜を作ることができる。

経験豊富な菜園アドバイザーに質問できる

農園には、野菜の種や苗、肥料、農具一式のほか、防虫ネットや野菜を支える支柱まで、常備されている。経験豊富な菜園アドバイザーが週4日以上いるから、不安なことがあったら相談することもできる。

アグリメディアでは利用者に、週に1回は畑に足を運ぶようお勧めしている。畑の土はプランターの土と違って保水性が高く、水やりも週に1回で十分なのだそう。畑に行ったら、雑草を抜いたり虫を退治したりとお世話をする。週に1回通うことが難しい場合は、栽培代行サービスを使うこともできる。

実は親がハマる?

シェア畑の主な利用者は、子育てや会社勤めがひと段落した50代~60代と、子どもをもつ30~40代のファミリー層だ。「昨今の食育ブームもあって親子でシェア畑に来てくれる人も多いのでは」と武藤さんは分析する。

4歳と1歳の男の子を育てる松原朋美さん(仮名・38)一家は、この4月、シェア畑の一つである二子玉川体験農園に3㎡の畑を借りた。毎週末、都心にある自宅から、車で30分かけて農園へ足を運ぶ。畑を始めた理由は、「子どもに自然と触れ合う体験をしてもらいたかったから」(松原さん)。野菜を作る体験を通じ、子どもの野菜嫌いが治れば、という思いもあったという。

きっかけは子どもだったが、いざ畑を耕してみたら意外な発見もあったという。「朝早くから開放的な空間で土を耕したり種をまいたり、お日様の下で汗を流すことがとても気持ちよかった」(松原さん)。

初心者に寄り添うサイズ

レンタル農園をうたうサービスはシェア畑以外にもある。松原さんによればシェア畑は、「リーズナブルな価格で、困ったときに助けてくれるアドバイザーがいるし畑のサイズもちょうどよかった」。

畑の広さと利用料金は農園ごとに異なる。3㎡、6㎡、8㎡の3パターンであることが多く、友達と畑を共同利用ができる農園もある。面積や立地によって利用料金は異なるが、3㎡の場合は、ひと月当たり5000円前後で使える。

3㎡は、トウモロコシなら約20本、にんじんなら約50本が収穫できるくらいのサイズ。松原さんのように野菜作りが初めての人に適していて、この広さをこの価格で借りられるところは23区内にはなかなかない。

畑の特性上、契約は1年単位。夏野菜を作り始める4~5月、冬野菜の準備を始める9月に契約者が増える。毎年、7~8割の人が契約更新を行うそうだ。

遊休農地を生き返らせる

シェア畑は畑の持ち主にとってもありがたいサービス。農家の担い手が年を取ったことで、活用されずにいる「遊休農地」をシェア畑として使ってもらえるからだ。

アグリメディアには、さまざまなルートから使われずに放置されている農地の情報が入ってくるそうだ。地道な営業でシェア畑として使わせてもらえる農地を開拓する以外にも、横浜市や川崎市といった自治体や不動産業者、税理士から情報が届くことがある。登録農地は年々増加し、年内にすでに20畑が追加されることが決まっている。

今後は、関西や名古屋、福岡の都市圏でもシェア畑のサービスを展開する予定。農園体験とセットで温泉やレジャーを楽しめる場所も増やしていこうとしている。

都心で暮らしながら、思う存分に野菜を作る体験ができるシェア畑。「無農薬や有機野菜など“こだわり野菜”を取り扱うスーパーは増えたが、採れたての野菜に勝るものはない」と武藤さん。シェア畑で、採れたてならではの歯ごたえや味の濃さを楽しむ週末もいいかもしれない。

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