“子育て人脈”が生んだ、お母さんに優しいカメラスリング

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Photo by Sakura Sling project

出産に当たって何を準備したか聞いてみると、「子どもの成長を記録するためにカメラを買った」と答えるお母さんは多い。しかし買ったはいいが、一眼レフカメラは持ち歩くのに重いし、バッグに入れてもかさばる。カメラは家でホコリをかぶり、結局スマホで撮ってしまうという人も少なくないようだ。

そんな中、カメラの持ち運びを手助けしてくれる「サクラカメラスリング」(1万4800円~)が今、じわじわと人気を集めている。

サクラカメラスリングはその名のとおり、カメラを吊って持ち運ぶアイテム。華やかな花柄から、黒を基調としたシックな柄までさまざまなデザインがあり、14年末の発売からこれまでに累計2000本以上売れた。

赤ちゃんの抱っこひもがヒントに

サクラカメラスリングを作ったのは、3児の母である杉山さくらさん(36)。

杉山さんは趣味でカメラを始めたときにライカの一眼レフを買った。カメラには革のストラップを付けていたが、触れた部分の衣服が毛羽立ち、薄着の季節は素肌にストラップが当たって気持ち悪い。「もっと快適でおしゃれにカメラを持ち運びたいと思ったとき、頭に浮かんだのがベビースリングでした」(杉山さん)。

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サクラカメラスリングを開発した杉山さくらさん

ベビースリングは、赤ちゃんを大きな布で包み込み、お母さんの体と一体化させる道具。手を使わずに、赤ちゃんを軽々と“抱っこ”することができる。大きな布でお母さんの肩や背中をくるんでいるので、赤ちゃんの重みが分散され、手で抱きかかえるよりもずっとラクだ。

杉山さんは3人の子を育てた経験から、ベビースリングのメリットはよくわかっていた。布の面積が大きいので、オムツ替えシートなど別の用途でも使えるうえ、気軽に洗濯できる。「ベビースリングはミシンを使って自分で作ったので、カメラスリングも同じようにできるはず、と考えたのです」(杉山さん)。

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Photo by MARIA

しかし、実際に作ってみると簡単にはいかなかった。肩にかけたときに重さが分散されないのだ。バックルの位置や生地を変えたり、生地にひと工夫したりと、半年にわたって試行錯誤を重ねた。

シンプルでもハイスペック

サクラカメラスリングは、風呂敷のようにカメラを二重三重に包んで保護しながら持ち運べるようにした。杉山さんが凝らした工夫の詳細は“企業秘密”だそうだが、重さを分散させつつもおしゃれと強度を兼ね備えた商品になった。シンプルな見た目だが、実はアイデアがたくさん詰まっている。

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3つあるポケットの一つはファスナー付きで、なくしがちなレンズカバーやメモリカードをしまうのにぴったり。素材には、色落ちしづらく洗濯しやすいポリエステル生地、静電気防止の糸を使っている。カメラの位置を調整できる長さ調整機能もついている。

カメラスリングは、“丈夫な大判のストール”としても使える。杉山さんは、「子どもが寒がっていたらさっと首に巻いてあげるなど簡単な防寒具になる」と教えてくれた。

赤ちゃんが注目してくれる

サクラカメラスリングはお母さん業界に浸透し始めている。

背景を作って“ねんね”の赤ちゃんを撮影する「おひるねアート」。ここ数年で小さな子を持つお母さんには一般的になり、撮影会もよく開かれている。

おひるねアート協会理事長の青木水理さんは15年秋から、サクラカメラスリングを愛用している。青木さんは普段、一眼レフカメラを首からかけた状態で、長時間にわたって赤ちゃんを撮影している。「一般的なストラップだとどうしても首が痛くなるが、サクラカメラスリングを使ってからまったく痛みを感じなくなった」(青木さん)。

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カラフルなデザインに赤ちゃんも注目 Photo by Sakura Sling project

青木さんはカラフルなデザインを選んだので、撮影のときに赤ちゃんがスリングに注目して視線をくれるそうだ。「おしゃれなので身に着けるだけでテンションが上がります」と青木さんは話す。

おひるねアート協会の“撮影担当”である講師の多くは女性かつお母さん。「私が知っているだけで10人以上の講師がサクラカメラスリングを使っています」(青木さん)。

子育てで培った人脈

杉山さんは16年1月にサクラカメラスリングで会社を興す前は、保育士としてパートで託児所に勤めていた。子育てに追われていた20代の頃は、起業しているなど想像もしなかったそうだ。商品化すると決めてからは、平日の昼間は保育士としてはたらき、帰ってから試作を繰り返した。

カメラスリングの商品化を思いついたのは杉山さんだったが、起業を支えてくれたのは、子育てを通じて出会ったママ友、パパ友だった。

「カメラマン、デザイナー、スタイリスト、起業家……。第一線で活躍されている人たちにずいぶん助けてもらいました」と杉山さんは振り返る。商品化のカギとなった布選びも、ママ友のアドバイスが役にたったそうだ。

お母さんのアイデアがたくさん詰まったサクラカメラスリング。その誕生には、お母さんならではの“子育て人脈”も大いに生かされていたのだ。

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