40代からは“無期契約”の雇用を目指そう

派遣,直接雇用,直雇,紹介予定派遣

Photo by MARIA

春、子どもが成長の節目を迎え、再就職を考える人もいるのではないだろうか。

スマホを使えば指一本で手軽に職探しができるようになったのは便利だが、求人情報サイトに載っている「派遣」「紹介予定派遣」「直接雇用」といった単語の違いを知らないという人も多いのでは。いったいどんなはたらき方を目指せばいいのか、人事の専門家、社会保険労務士である糠谷栄子さんに聞いてみた。

派遣と直接雇用の違いって?

「派遣と直接雇用のいちばんの違いは、雇い主です」と糠谷さん。派遣会社が人手の足りない企業や官公庁などへ人材を送り込むのが派遣だ。たとえ勤務先が大企業だとしても、所属は派遣会社。社会保険なども派遣会社が負担する。

一方の「直接雇用」は新卒で正社員として就職するときと同じで、会社に直接雇われる関係となる。求人広告では「直雇」と書かれることもある。「直接雇用」では、所属も社会保険を負担するのも、勤務する会社となる。

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もう一つ、求人の記事でよく目にする「紹介予定派遣」は、最初の1年間は派遣社員としてはたらくが、次の年からは「直接雇用」に切り変わる可能性があるというはたらき方だ。

派遣社員のリスク

糠谷さんは「派遣」「直接雇用」それぞれにメリット、デメリットがあるという。

「派遣だと、時給の交渉や勤務時間といった労務交渉を派遣会社がしてくれます。直接雇用の場合、不服があれば自分で会社に話さなければなりません」(糠谷さん)。能力が高ければ派遣会社から企業の担当者に話してもらえることも多いそうだ。

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一方で、2015年に派遣法が改正されたことで、派遣社員は原則、同じ仕事を最長3年しか続けられないことになった、同じ会社ではたらく場合は3年ごとに仕事内容を変えなければいけない。大手企業の中には3年ごとに人を入れ替えるケースもあるそうだ。

もちろん派遣に限らず、直接雇用でも1年ごとなど期間の決まった契約の場合は、契約が更新されないというリスクもある。

「年齢が上がれば上がるほど仕事が紹介されにくい傾向があります。こうしたリスクは下げておきたいところです」と糠谷さんは言う。

スキルアップが近道

糠谷さんがお勧めするのは上限となる勤務期間を定めない、「無期雇用」の契約。直接雇用型の無期契約のほか、最近では、派遣会社による「無期雇用派遣」も主流になりつつある。この場合、仮に派遣先が見つからない「待機」の期間でも、派遣会社の中で仕事が割り当てられるなどして、給与が支払われる仕組みだ。

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ただ、「事務職で派遣会社に無期契約をしてもらうには、そこそこのスキルでは難しい」と糠谷さん。パソコンのエキスパートであったり語学力が求められたりするそうだ。

「無期契約をしてもらうには、パソコンや簿記の資格を取るなどご自身のスキルを磨くことから始めてみては」(糠谷さん)。特に経理関係のスキルに秀でた人は、年齢に関係なく引く手あまただという。簿記の資格取得に挑戦するのもいいだろう。

時給より契約期間

派遣社員としてはたらいているならば、派遣会社のコーディネーターに今はたらいている職場での無期契約の可能性について相談するのが一つの手だ。直接雇用になった途端に仕事量や残業が増えるといったケースもあるそうなので、子育てや生活を大切にしたい人は事前に相談しておいたほうがよさそうだ。

直接雇用で1年ごとなど有期の契約を結んでいるなら、会社に無期雇用してもらえないか打診してみるのもいいだろう。これから職を探すにしても、会社の大小や時給の良しあしより、無期契約であるかどうかに着目するのがよさそうだ。

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30~40代女性もよく利用するマザーズハローワークなどでは中小企業の求人が多いが、糠谷さんは「無期契約がかなうなら中小企業での直接雇用はお勧め」と話す。一般的に名の通った会社でなくとも堅実な経営をしている中小企業は多いという。

「国は同一労働同一賃金に向けて法改正へと動き始めています。まだガイドラインの段階ですが、今後はパートの待遇が時間当たりで見たときに正社員に近づく可能性は高い」(糠谷さん)。

知っておきたいのが、2013年4月に始まった、有期契約から無期契約への転換を促すための労働契約法改正だ。同じ会社で5年を超えて契約を更新した場合、本人の申し出によって無期労働契約に変更できるようになる。たとえば1年ごとの契約で5年以上はたらいた場合、「ずっとはたらき続けたい」と労働者が会社に伝えれば、会社は無期雇用に切り替えなければならない。

この2017年春で、改正から5年目を迎える。18年4月以降、無期契約の社員を増やしたり、契約更新をやめて新しい人を雇う準備をしたりと、会社によってさまざまな方法が取られるだろう。今後、有期契約から無期契約へと流れが変化するかもしれないので気に留めておきたい。

さまざまな知識を持ったうえで、納得できる再就職活動に臨んでもらいたい。

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