老舗メーカーが生んだ、女性に優しいDIYパーツ

ラブリコ,DIY
家の棚を自分で作ったり、壁を好きな色に塗り替えたり……。自宅にちょっと手を加えて自分好みの空間を手に入れる女性が増えている。DIY(ドゥー・イット・ユアセルフ)、いわゆる日曜大工の楽しみは、もはや男性のものだけではない。そんな女性DIY愛好家の心をくすぐるアイテムがじわじわと人気を集めている。

図面を引き、ホームセンターで木材を買ってきて切り、くぎを打つ。一昔前までDIYは複雑な手順を要する趣味だった。そんな常識に風穴を開けたのが「LABRICO(ラブリコ)」。女性でも楽しめるDIYパーツのブランドだ。

2016年7月にローンチされたラブリコは、男性向けや業務用に作られることが多かったDIYパーツを簡単かつおしゃれに生まれ変わらせた。工具がいっさいいらず安全にも配慮されているのが特徴だ。

くぎも金づちも使わないDIY

ラブリコを生み出したのは、突っ張り棒を主力とする平安伸銅工業の3代目社長、竹内香予子さん。2010年にまったく違う業界から家業に飛び込み、女性目線、使い手目線でイチから商品を見直したという。

ラブリコ,DIY

竹内香予子さん

収納スペースを増やしてくれる突っ張り棒は、確かに主婦にとって便利なグッズだ。ただ、使う人の声を拾ってみたら不満も聞こえてきたという。「ただ効率的に収納したいというよりは、温かく自分らしい空間を彩りたいという女性が多かったんです」(竹内さん)。

ちょうどDIYブームが主婦層にも浸透し始めてきた時期。DIYに興味を持つ人もたくさんいる一方、女性が金づち片手にくぎを打つのは大変だし、賃貸物件には向かない。平安伸銅には、プラスチックの成形技術と、突っ張り棒作りで培ったノウハウがある。それらを使って、くぎを使わずに済むDIYが提案できないだろうかと考えた。

穴を開けずに柱を取り付ける

ラブリコ,DIY

アジャスターで簡単に「柱」が作れる

ラブリコの商品の一つが「アジャスター」。天井の高さに合う木材を買ってきて、木材の端にアジャスターをぱかっとはめ込むだけ。あとは突っ張り棒の要領でネジを回せば、天井や床に穴を開けることなく柱を取り付けることができる。たとえば柱を2本取り付け、「棚受シングル」をそれぞれの柱にネジ留めし、木の板を渡せばたちまち「棚」ができてしまう。

ラブリコのパーツの使い方は、使う人によってさまざまだ。玄関に柱を作ってインテリアグリーンを飾ったり、オープンキッチンの一角にスパイスラックを取り付けてみたり。パーツの色は、白に薄い緑、黒と部屋の雰囲気や作りたいイメージから選ぶことができる。

実際DIYをテーマに数万人単位の読者を持つブロガーたちにもラブリコは支持されている。先日はブロガー20人にラブリコのパーツをサンプリングし、使ってもらった感想をインスタグラムなどで発信してもらった。

「ブロガーさんたちは読者を大事にするのでおカネでは動かない。そんな方たちがラブリコを快く使ってくれたことがうれしかった」と竹内さん。最近では暮らし系のムックや女性誌でもラブリコが取り上げられるようになった。

使う人の目線でものづくりを

ラブリコ,DIY
とはいえ、ここまでの道のりが順風満帆だったわけではない。「最初はイメージしているものが技術者にうまく伝わらなかった。社長の娘として小さい頃から知ってくれている社員がほとんどですが『香予子ちゃんがなんやけったいなこと言い出したわ』くらいにしか思っていなかったのでは」と竹内さんは笑う。

どうしても自分の思いを形にしたいと、企画を担当するプロダクトデザイナーや、PRに備えて広報をどんどん採用した。最初に採用したプロダクトデザイナーは、インテリア関連の開発者だったが、夫の仕事を機に移住してきた女性だった。彼女が竹内さんの思いやスケッチを図面に起こし技術者に提案してくれるように。技術者も、図面を基に話し合いに加わってくれるようになった。

ラブリコ,DIY

図面ができると技術者もがぜん乗り気になってくれた

ラブリコの売り上げは、まだ全体の数%しかない。ブランドの立ち上げに当たって人件費がかかったこともあり、ラブリコは主力の突っ張り棒に支えられている面がかなり大きい。それでも「突っ張り棒の市場はこれ以上大きくならない。より使う人の目線でものづくりをしていかないと」と竹内さんは強調する。

生活者目線の新風を吹き込むデザイナーと、平安伸銅の技術を受け継ぐ技術者。両者のアイデアはDIY業界にどんな化学反応を起こしてくれるのだろうか。

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