夫婦で目標を立ててから考える、妻のはたらき方

小さい子どもを抱えながらはたらこうと思ったとき、一体どれくらいのバランスがベストなのだろう。将来のためにできるだけたくさん稼ぎたいと思う人もいるだろうけれど、プライベートの時間とのバランスを見誤るとうまくいかないこともある。

“おカネのプロ”とされるファイナンシャルプランナー(FP)の私自身、自分や家族に合ったはたらき方を見つけるまでには、たくさんの失敗を経験した。

はたらくことと向き合うことはライフプランを考えること。一番に考えるべきは、金額や時間ではなく「家族とどう暮らしたいか」ということ。家族の目標を決めてから必要なおカネを見積もってはたらいたほうがうまくいく。

子どもの成長を見逃した

私は今、8歳と6歳の2人の子どもを育てながら、フルタイムで仕事をしている。2011年にファイナンシャルプランニングのサービスを提供する「ファミリーラボ」を立ち上げた。その後、2014年に同じくFPである夫と共同経営者となり、住宅購入を考えている人向けの資金計画(ライフプラン)相談、子ども向けマネー教育を主な仕事にしている。平日は午前9時~午後4時まではたらき、週末に講演会やセミナーの仕事が入ることもある。

出産前は銀行員として勤めていたが、妊娠と夫の転勤が重なって退職。けれどもともと仕事が好きで、子育てをしながらもはたらきたいという思いが募っていき、下の子が1歳のときFPとして独立した。

Photo by MARIA

最初が肝心と、育児も家事もほとんどを会社員だった夫にお願いし、全力ではたらいた。そのおかげで仕事は徐々に軌道に乗っていったものの、私生活にはたくさんの問題が起こった。

「仕事は休めない」とがむしゃらになり、保育園に預けている子どもが熱を出しても迎えに行かず、夫に任せてばかり。夫はとても協力的だったけれど、そんなことが重なるうちに、とうとう怒らせてしまった。気づくと子どもが自分で着替えられるようになっていた。子どもの成長を見逃してしまったという後悔にも襲われた。

家事や育児を半分ずつに

その後、夫も退職して独立することになり、一緒にはたらくことにした。そのとき、これから互いにどうはたらいていくかを、徹底的に話し合った。まず考えたのは、自分たちがどう生きていきたいかということで、夢を10個挙げてリストにした。

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<わが家の夢リスト>
1. 毎年、家族全員で沖縄旅行に行く
2. 夕飯を家族で一緒に食べる
3. 結婚記念日には夫婦でデートする
4. 5年後に車を買い替える
5. 子どもたちのやりたいことにはとことん付き合う
6. 仕事と家庭のバランスを大事にする
7. 今は自宅兼事務所だが、5年後に独立した事務所を構える
8. 子どもが小学校高学年になったら海外旅行に行く
9. 健康に気をつける(ビールはほどほどに)
10. 英語を勉強する

私も夫も、「仕事も大事だが、子どもたちとの今しかない時間も大切にしたい」という点では一致していた。そうしたこともあり、わが家では沖縄への家族旅行が最優先で、毎年必ず行くことにしている。

次はおカネ。生きていくためには稼がないといけないが、子どもたちはまだ小さい。話し合いの結果、「ライフプランを考えて、子どもが小学生までの間は必要最低限のおカネを二人で稼ぐ」という結論になった。

普段はおカネに関するセミナーを開催している

具体的にどう分担するかも相談した。育児や家事は半分ずつ。仕事が終わったら二手に分かれ、夫は子どもたちを迎えに保育園に向かい、私はスーパーで買い物。私が夕食を準備している間に、夫は子どもたちをお風呂に入れて、夕食時には家族全員で食卓につく。

子どもの急病も分担するように取り決めた。講演会などでどうしても仕事を抜けられないことがあるので、事前にお互いのスケジュールをしっかりと共有し、どちらかが時間の融通を利かせられるようにしている。

「わが家の夢」をリストに

私が経験したように、子どもを持つお母さんが、どんなバランスではたらくのかを決めるのは簡単ではない。でも夫としっかり話し合うのが、「正解」への近道になるのだと思う。

話し合うときは、わが家のように夢や目標を夫婦で10個リストアップすることをお勧めする。マイホーム購入や子どもの教育(習い事や進路)といった大きなテーマだけでなく、「年に1回は家族旅行に行く」「この車を買いたい」のような、やりたいこともすべて挙げていく。そうすることで、目標となる世帯年収がより具体的になってくる。

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専業主婦の人がはたらこうとしているなら、リストアップした目標の実現のために必要なおカネから、“足りない分”を割り出すのはどうだろう。たとえば自分が稼ぐのは「夫の年収だけでは“足りない分”」と決めるのもいいかもしれない。もちろん金額を“足りない分”に抑えなくてもいいのだけれど、はたらき始める前に夫と話し合うことには意義がある。

それぞれの抱える事情が違うから、仕事と家庭のベストバランスもさまざま。家族全員が豊かで幸せな人生を送るためにも、「わが家にとっての正解」を見つけてほしい。

(ファミリーラボ代表・ファイナンシャルプランナー 草野麻里)

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