パート掛け持ちなら確定申告を

確定申告,パート

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今年も確定申告の時期がやってきた。「パートを掛け持ちしている人は、自分の税金がどのように支払われているか確認することをお勧めします」と話すのは中山美穂税理士事務所の中山さん。知らないうちに多く税金を支払っている可能性があるという。

通信教育会社でテストの添削の仕事を請け負っている阪川美佐さん(仮名)は、2016年から週に2日、事務職として別の会社でパートを始めた。添削の仕事は在宅ででき、締め切りさえ守れば時間の融通が利く。子どもの手が離れ始めたのをきっかけに、外に出る仕事も始めたのだ。

添削の収入は月に3万円ほど、一方の事務職パートの収入は時給1200円で月4万8000円ほどになる。確定申告は少しでも収入があればする必要があるのだが、阪川さんのように複数の勤め先から収入を得ている場合はなおさら申告をしたほうがいい。

収入で税率が変わる

正社員と同じくパートタイマーも、給与から源泉徴収税が引かれている。掛け持ちパートタイマーの場合は、引かれる税額が会社によって変わることがある。

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具体的には、収入の多い勤務先と、少ない勤務先で税率が変わる。収入の多い勤め先の場合、税金は月8万8000円の収入まで引かれない。ところが、収入が少ない2つめの勤務先では1円の収入から税金が引かれることになる。「収入が少ないパート先では、収入金額にかかわらず3.063%の税率で源泉徴収税が徴収されます」(中山さん)。

阪川さんの場合でいえば月額3万円の添削のパートがこれに当たる。基準となるのは収入金額であって勤務年数は関係ない。

「厳密に言えば『給与所得者の扶養控除等申告書』という書類を勤め先に提出している会社であれば、月8万8000円の収入までは税の徴収がありません。それ以外の勤め先は3.063%が徴収されます」(中山さん)

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掛け持ちパートをしていることをそれぞれの勤め先に報告していない場合、どちらの勤め先も8万8000円まで源泉徴収なしとして年末調整を終えている可能性がある。

どちらも徴収を受けずに済むため一見得をしたように見える。しかし、これまでは知らずに見逃されていた人は今後注意が必要だ。マイナンバーの登場で情報が一元化されるため、2カ所以上での就業は役所でもすぐにわかるようになる。知らずに済ませていたとしても、後から課税されるのはいい気持ちではないだろう。「勤め先から発行される源泉徴収票をよく見て、それぞれの勤務先がどのように年末調整を終えているかを確認してください」(中山さん)。

また勤め先で正しく税処理がされていても、税金を多く払い過ぎているケースもある。この場合は確定申告をすることで、払い過ぎた税金が還付されることになる。源泉徴収票があれば申告は簡単だ。わからないことがあれば税務署に問い合わせると丁寧に教えてくれる。

103万円超えでも配偶者特別控除がある

もう一つ、中山さんは気になることがあるという。「最近多いのが“年間の収入が103万円を超えているから”と配偶者控除をあきらめる人です」(中山さん)。いったいどういうことなのか。

配偶者控除とは、配偶者の給与年収が103万円以下の場合に使える、“税金の割引”のこと。妻が配偶者控除の対象となれば夫の所得から38万円の控除を受けることができ、所得税が安くなる。配偶者の年収が103万円を超えると使えなくなるため「103万円の壁」という言葉もあるほど。ただ、103万円を超えるとすぐに控除がゼロになるわけではない。

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「『パート不公平問題』を解消するために、段階的に控除額が減る仕組みがあります。これが配偶者特別控除です。配偶者の年収が103万円超~141万円未満の場合に使えます」(中山さん)。夫が会社員であれば、年末には夫の勤め先から調査書類が届いているはず。夫が勤務先に正確に伝えていないがために損をしていることがあるそうなのだ。

「『妻ははたらいている』とだけ報告したため、夫の会社は配偶者控除だけでなく配偶者特別控除も見落としているケースがありました。妻の収入がいくらかをはっきりと知らせておくことが必要です」(中山さん)

たとえば16年1月から新しくパートを始めた妻に、月10万円、年間120万円の収入があったとする。「103万円の壁」をはるかに超えているので、夫が受けていた38万円の控除はなくなり、夫の所得税は増えてしまう。この場合、配偶者控除は受けられないが、配偶者特別控除なら受けられる。

収入=所得ではない

ここで間違いやすいのが収入と所得の違い。所得は、収入から給与所得控除額65万円を引いた金額を指す。つまり、年120万円のパート収入なら「120万円-65万円=55万円」が所得となる。この場合の配偶者特別控除額は21万円。夫の会社に妻の所得額を報告しておけば、これだけの“割引”があるのだ。所得に応じた控除額については国税庁のホームページにも掲載されている。

各税務署ではこの時期、無料の申告相談窓口も設けられる。面倒がらずにやってみると、思わぬ収穫があるかもしれない。

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