男性の素朴な疑問から生まれたジェルネイル

指先のおしゃれとしてすっかり一般的になったジェルネイル。つやや輝きが長期間持続し、マニキュアのように剥がれる心配がないのも支持されている理由だ。

一方で、子どもが生まれる前は毎月のようにネイルサロンに通っていたけれど、子育てに忙しくなってからはなかなかその時間が取れなくて……と、ネイルから縁遠くなってしまうお母さんは多い。

自分もその一人で、妊娠してからはずっと素の爪の状態。一度足が遠のくと、ネイルサロンをそのつど予約して通うというのもちょっとおっくうになってしまう。

子育てや多忙な日々の中で、ネイルサロンに定期的に通うのは難しいけど自宅で手軽にジェルネイルを楽しみたい、という女性の間にじわじわ広がっているのが、セルフ用のジェルネイル商品。

その一つ「GRANJE(グランジェ)」は、マニキュア状のカラージェルを自分で爪に塗るだけという手軽さと、スタイリッシュな形状が受けて人気を集めている。

使い方はいたって簡単。まず「ベース」を塗ったらLEDライトを10秒間あてる。その上に「カラー」を塗って、またライトを10秒当てる。仕上げに「トップ」を塗って、ライトを20秒当てる。これを全部の指に繰り返すだけなので、合計20分もあれば完成だ。

マニキュアは表面が乾いたように見えても、中まで乾ききるのに時間がかかるため、塗り終わった後もしばらく待つ必要があるけれど、ジェルネイルは硬化してしまえば形が崩れる心配がない。塗った後、すぐに洗い物や料理に取りかかることもできて、マニキュアに比べるとだいぶ“時短”になる。

男性の素朴な疑問から

グランジェが開発されたのは今から5年ほど前、ジェルネイルが流行し、ネイリストだけでなく自宅でジェルネイルを楽しむ女性も増えてきた頃のこと。当時ネイル用品を扱う会社に勤めていた大山彗さん(現在はグランジェを取り扱う「モンテ」社長)は、彼女たちを見て素朴な疑問を感じたという。

「もっとラクにできないものなのか?」

ジェルネイルは爪にジェルを定着させ、持ちをよくするためにあらかじめやすりで爪の表面を削る必要がある。当時は紫外線で固まる樹脂を使用していることが多かったため、そのライトの中に手をさらすという過酷さを強いられた。男性にしてみれば「おしゃれのためにそこまでするのか」という驚きばかり。また、デザインも装飾的で、肌や爪に負担をかける「雑貨」としての印象が強い。

でも、よりシンプルに、そして安全でかつ品質の高いコスメとして販売すれば多くの女性に喜ばれ、受け入れられるのではないか。そんな率直な思いがグランジェの開発を後押しすることになった。

削らなくてもいい

一般女性が自宅でジェルネイルを行う場合、必要以上に爪表面を削って傷めてしまうというのはネイル業界全体としても大きな課題だった。そこで、大山さんは開発会社と試行錯誤を重ねて、削らなくても爪に定着できるようなジェルネイルの開発を進めた。決め手となったのは「ベースジェルの密着にかかわる成分の一つを高精度で精製できたこと」(大山さん)。

2011年にグランジェを発売。当初は、ジャータイプのボトルからジェルを筆に取って爪に塗るものだったが、2014年にブラシのついたマニキュア型のボトルでリニューアル。LEDライトもコンパクトに、ボトルと同じデザインにしてスタイリッシュなブランドイメージを作り上げた。

また、人体に有害とされているトルエンやホルムアルデヒドなどの化学物質をいっさい使用せず、ツンとしたにおいもないため、子どもやペットがいても安心して使えるという評判も広がったという。

アパレル系の店で販売

グランジェのユニークな点は、販路にもある。商品が並んでいるのは、ネイル用品店やコスメショップよりも、ユナイテッドアローズやエストネーション、リステアといったアパレル系のセレクトショップが中心。ファッション感度の高い層から広めていったのだ。

そのため、これまでセルフネイルの商品といえば、20代女性が中心顧客であることが多かったが、グランジェに関しては、20代後半~30代と中心層はやや上。70代の女性にもファンがいるという。

オフの手間が課題

ただ、目下の課題はオフの手間。通常のジェルネイルと同様グランジェも、リムーバーを染みこませたコットンをジェルの表面に置き、アルミホイルで包んで10~15分ほど放置しなければならない。マニキュアをオフするのと同じようにリムーバーで拭き取るだけで済むようになれば、セルフジェルネイルはもっと手軽なものになる。グランジェも開発を進めている。

ネイルのトレンドもかつてのような派手なアートを施した華美なものから、最近では単色や2色程度のシンプルなものに移行している。グランジェのようなキットがセルフジェルネイルの市場をさらに広げていくことは間違いないようだ。

  • この記事をシェア
トップへ戻る