無印も自主回収 実は身近なホルムアルデヒド

Photo by MARIA

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つい先日、2016年12月に無印良品が乳児用のオーガニックパジャマを自主回収した。宮崎市で売られていた商品から、毒性のある化学物質「ホルムアルデヒド」が国の基準値を超える値で検出されたためだ。

赤ちゃんの服、それも“オーガニック”と付いたものから「毒」が見つかるなんて衝撃的。でも今回のケースは実は珍しいものではない。このホルムアルデヒドはこれまでにもたびたび取りざたされ、問題となってきた。

シックハウス症候群の原因

ホルムアルデヒドという言葉にピンとこない人も、標本などに使われる「ホルマリン」なら聞いたことがあるはず。ホルムアルデヒドを水に溶かすと、ホルマリンになる。

ホルムアルデヒドは生産現場などでよく使われる化学物質のうち、どれが毒物や劇物に当たるかを定めた「毒物及び劇物取締法」で「劇物」(医薬用外劇物)に指定されている。毒性の強いものが毒物、やや弱いものが劇物だ。

この化学物質は発がん性が高く、目や鼻、のどなどを刺激してアトピー性皮膚炎やアレルギーを引き起こす。けれど便利な作用があって安いため、“毒”にもかかわらずさまざまな場面で広く使われている。

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その一つが“住まい”。建築資材や家具、壁紙などの接着剤・塗料・防腐剤などに含まれることが多く、1990年代後半に大きな問題となった「シックハウス症候群」の原因となった。

その後、03年から建物にはシックハウス対策が義務づけられた。でも家具やインテリア雑貨には今も基準がなく、一部の事業者が自主的に検査結果を公表しているだけ。今年に入ってからも、国民生活センターには「ソファから検出されたホルムアルデヒドのせいで家族3人に被害が出た」「2段ベッドを購入後、体調を崩した」といった相談が寄せられており、被害はまだなくなっていない。

ベビー服が袋入りなワケ

もう一つ、ホルムアルデヒドがよく使われているのが今回も問題となった服。縮むのを防いだりシワを伸ばしたりするために衣類を樹脂で加工するが、その樹脂にホルムアルデヒドが多く含まれている。00年代後半には日本で売られていた中国製の衣類から相次いで検出され、数社が自主回収した。

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肌の敏感な2歳未満の乳幼児向け繊維製品には、かなり厳しい基準がある。3歳以上や大人用繊維製品の基準が75μg/g以下なのに対し、乳児用は16μg/g以下。大人の2割程度の水準しか許されていない。

製造過程で使わなかったとしても、ホルムアルデヒドには衣類に吸着されやすい性質があり、途中で付いてしまう可能性もある。よく赤ちゃんの服がビニール袋に個包装されているのは、ホルムアルデヒドの「移染」を防ぐため。運んでいるときやしまっているとき、店頭に陳列しているときなど、いつどこで付くかわからないからだ。

布オムツやスタイも検査

今回の自主回収は、宮崎市保健所による独自検査がきっかけ。「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(「家庭用品規制法」)に基づく検査でわかり、メーカーの自主回収につながった。

保健所を設置する自治体は、家庭用品規制法に基づいて、毎年1回検査を実施することが義務づけられている。宮崎市保健所の中原伸治郎さんによると、保健所の職員が市内で売られている商品の中から、実際に店舗で商品を見て買っているのだそう。

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今回は、布おむつやスタイ、下着、手袋、靴下、帽子など特に注意すべきものを中心に15種類27点を選んだ。98年に宮崎市保健所ができて以来、初めてのホルムアルデヒド検出となった。

宮崎市ではホルムアルデヒドの検査のみをしているが、家庭用品規制法に定められている物質は全部で21。厚生労働省によると「検査項目などは各自治体が決めていて、ホルムアルデヒドはこの法律が施行された40年以上前からリスト化されているので、検査環境が整っている自治体が多い」のだという。

たとえば、今回は宮崎市で発見されたが、宮崎県としても独自に商品を購入し、昨年度は乳幼児用製品19点、大人用の製品22点を独自の計画に基づいてホルムアルデヒドの検査を行っている。

「水通し」で防げる

危険物質にもかかわらず、意外と身近にあるホルムアルデヒド。だからこそ、心配しすぎずうまく付き合うことが必要だ。宮崎市と同じように各自治体は定期的な検査を行っており、その結果はホームページなどで公表されている。

自分でできる対策もある。「赤ちゃんの肌に触れるものは事前に水通ししましょう」とよく言われるが、それはホルムアルデヒドが水に溶けやすいという性質があるから。着る前に洗うだけで、被害を防ぐことができる。

シックハウス症候群かなと疑う場合は、簡易型検査キットも販売されている。正しい知識や情報を手に入れて、しっかり対策しつつ、必要以上に不安にならないようにしたい。

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