知っておきたい“お仕事ハンドメイド”のルール

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近頃、「自分の作った作品を売る」ことが、とても身近になってきた。ミンネやクリーマといったハンドメイドの通販サイトの人気が高まっているし、対面販売のマルシェも各地で盛んに開かれている。「いつかチャレンジしてみたい」とぼんやり思い描いている人もいるだろう。

おカネをもらって販売する以上、ハンドメイドは趣味の枠を超えて「仕事」になる。実はそこには意外と知られていないルールがあり、守っていないと法律に違反してしまうことも。ハンドメイド作品を売るのなら、ルールをきちんと押さえることが重要だ。

布を買うときに確認を

マルシェやネット通販では、手作りの布製品がたくさん売られている。布製品の作り手がいちばん気を付けたいのが、作品に使う生地。「かわいいから」「売れるから」といって何でも使っていいわけではない。

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無断使用が禁止されている代表例は、キャラクターの布。バザーのような小さなイベントでも、キャラクターの布で何かを作ったり、キャラクターの刺しゅうをしたりして販売することは避けたい。

商品作りに使えないのは、キャラクターの布だけでない。「マリメッコ」「ソレイアード」「nani IRO」といった有名デザイナーの生地も、商用としては利用できないものが多い。中にはドットやボーダー柄、無地であっても“使用禁止”の場合があるので、注意が必要だ。

これらはすべて、著作権や意匠権などの知的財産権が絡んだ問題。ハンドメイド製品には型紙(パターン)を使う場合もあるが、この型紙にもデザインの権利があり、使えないものが多い。ソーイング本に載っている型紙も商用としては使えないものがほとんどだ。中には小規模販売のみOK、「〇〇の型紙使用」と書けばOKというものもあるので、型紙を使う場合は条件を必ずチェックしてほしい。

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オリジナルブランド「maku」の子ども服が人気のハンドメイド作家、島津順子さん(34)。島津さんも初めのころはこのルールを知らなかったという。

「始めたころは知らなくて、お客さんから指摘されて気づきました。その時はとても悲しくて――。今では必ずお店の人に聞くようにしています。ネットで輸入生地を仕入れる時も、確認しているのですが、それがいちばん確実です」と話す。

生地の耳に「Not For Commercial Manufacture」「この商品を製品として販売することは禁じられています」などと書いてあることもあるが、そうでない場合も多い。ケース・バイ・ケースなので、販売する作品に使うなら、お店に確認してから購入するのがベストのようだ。

ハードルの高い石けん

布製品と並んで、ハンドメイドの石けんもとても人気。でも肌に使う「洗顔石けん」や「手づくり化粧品」といったものは、医薬品医療機器等法(旧薬事法)で規制されていて、都道府県から「化粧品製造業」と「化粧品製造販売」の2つの許可を受けなければならない。たとえ無料でプレゼントする場合でも、許可がなければ違法になってしまう。

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でもこの許可をもらうのは、かなりハードルが高い。「化粧品製造業」なら責任者や設備を確保して手順書を提出し、4万円ほどの手数料を支払う。「化粧品製造販売業」なら手数料は約6万円だ。そのうえ、いずれも5年ごとの更新が必要になる。

一方、“洗剤”としての石けんであれば「雑貨」として扱われるため、許可は必要ない。ただし、靴や衣類、食器を洗うもので、「人や動物を清潔にするものでない」ということが明らかにわかることが条件だ。購入者が体用の石けんと想像できるようなものには当てはまらない。「いちばん怖いのは健康被害です。実証された安全性と有効性があるのかという点がいちばんの問題となります。目分量で作って被害が出てしまってからでは遅いのです」(神奈川県薬務課)。

「よく眠れるアロマ」はNG

「アロマ」もハンドメイドの世界では人気のあるジャンル。でも、アロマオイルの販売も“言葉ひとつ”で違法になる可能性がある。

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アロマオイルも石けん同様、肌に触れるものは「化粧品」などの許可が必要。香水として使う場合も同じ。ただし、香りだけをウリにしたアロマは「雑貨」扱いだ。許可を取らずに販売するなら、「リッチな香り」「バラに包まれたような香り」など表現に気をつけてほしい。「睡眠や血圧、肌の状態をよくするもの」としてしまうと、法律にひっかかってしまう。

ちなみに入浴剤は肌に触れるもの扱いになる。目的や成分によって「医薬部外品」「化粧品」と分類が変わり、それぞれ許可が求められる。手作りのバスボムやバスソルトなどを販売する場合は、大掛かりな準備が必要になりそうだ。

グレーゾーンは避けて

マルシェやネット通販をのぞくと、こうしたルールを守れていない人をちらほら見かける。石けんや入浴剤などを「雑貨」として販売するか、正式に許可を取って「化粧品」として販売するかの間には、負担に大きな差がある。作り手側にとっては悩ましい問題で、負担を避けるために、本来の販売意図と販売名目を変えるなど、“グレーゾーン”で販売しているケースも多い。

女性の起業家を支援する一般社団法人「ハーサイズ」の代表理事、道喜道恵さん(45)は「長く続けたいなら“グレー”ではなく“白い”ほうを歩くべき」と指摘する。「きちんと努力して許可をとっている人もいます。“ハンドメイドだから適当でいいや”ではなく、販売する以上はビジネス。公的機関や専門家に相談してルールを守ってほしいです」(道喜さん)。

イベントやネット販売では同業者が目を光らせていることも多く、違反を見つけた人が公的機関に通報するケースも少なくないという。ルールを知らずに法に反してしまわないよう、正しい知識を身につけたい。

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