泉質で選ぶ、秋におすすめの温泉

日に日に寒さが増してくるこの季節。温泉に入ってゆっくり体を温めたいと考える人が多いのか、アウトドアナビゲーター・温泉ソムリエである私の元にも「おすすめの温泉」についての問い合わせが増えてくる。

秋の紅葉の時期に行くならば、体を温め、ゆっくり長く楽しめるような温泉がお勧め。行き先を選ぶとき、泉質までこだわって温泉を選んでみるのはどうだろうか。

保温効果の高い温泉は

温泉はその性質ごとに10種類の泉質に分けられている。その中で、体を温める効果が高いのは「塩化物泉」。海水の成分に似た食塩を含んでいて、口に含むとしょっぱい。入浴すると皮膚に塩分が付着し、汗の蒸発を防ぐので保温効果が高く、湯冷めしにくいと言われている。

温泉に入った後、ぽかぽかと体が温かい状態が続き、汗がなかなかひかないという経験があるなら、それはきっと塩化物泉の効果。夏に入るとお湯から上がった後も暑くてたまらないけれど、夜の冷え込みが厳しくなってくるこれからの季節は、湯冷めから体を守ってくれる、頼もしい泉質だ。

塩化物泉のほかにも身体を温める泉質は「含鉄泉」。赤湯と呼ばれるような茶褐色の鉄分を含む温泉は貧血や冷え性などに効果的で、お湯から上がっても、じんわりぽかぽかと温かいのが特徴。

ただし、塩化物泉や含鉄泉は、成分が濃い場合、入浴に慣れない人に「湯疲れ」を起こすことがある。

ゆっくり楽しむなら

これからの季節、紅葉を楽しみながら温泉に入るなら、のんびりゆっくりと温泉を楽しみたいもの。湯疲れなどを起こさずに、温泉をゆっくり長く楽しむなら「単純泉」がおすすめ。

単純泉とは、お湯に含まれる温泉成分が規定の量よりも少ないことを示している。温泉成分が少ないということは、長く浸かっても疲れにくいお湯ということ。子どもやお年寄りなど体力のない人や、皮膚の弱い人でも安心して入ることができる。

湯疲れしにくい単純泉の中にも、塩パック効果で体を温める温泉がある。温泉分析表を見て、「陰イオン」の中の塩化物イオン濃度が高いようなら保温効果が期待できる。実際に行ってみないと確認できない部分ではあるが、分析表をウェブなどで公開している施設もあるので、事前にチェックできる場合は参考にしてみて。

秋にお勧めの温泉

青森県の「奥入瀬渓流」は、苔むした岩と清流が織りなす景観の美しさから日本を代表する景勝地として知られ、秋の紅葉の季節は多くの人でにぎわう。

奥入瀬渓流を歩いた後に、疲れた体をゆっくり癒やしてくれる山の温泉がある。「八重九重の湯」と名付けられたその温泉は、時間によって男女混浴で楽しむ昔ながらの温泉。森の中に満たされたほんのり白い湯は、肌のきめを整え、体を温めてくれる単純泉だ。

全国にあまたの温泉があるけれど、季節や目的に合わせて温泉を選ぶようになると、行きたい温泉は限られてくる。温泉に行くときは、ぜひ温泉分析表をチェックして。泉質で温泉を選べるようになると、きっと温泉旅行は今の数倍楽しくなる。

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