食の世界へと広がるハンドメイド市場

丸ごと苺のチーズケーキ

丸ごと苺(イチゴ)のチーズケーキ(菓茶みきや)

多くの人と同じデザインのファストファッションを身にまとっていた人たちが、作り手の顔が見え、ストーリーのある手作り品を求めるようになってきた。ネット上でハンドメイド品が手軽に買える「Creema」(クリーマ)や「minne」(ミンネ)はすっかり市民権を得た。

会員数は公開されていないが、より手頃な価格帯の手作り品が多いminneは、Creemaの約3倍の会員数を持つという。一方で、出品者一人当たりの売り上げは、Creemaのほうが高いのだそう。Creemaもminneも右肩上がりで成長している。

作品も食品も思いは同じ

そんな中、今年4月にCreemaが「フード」のカテゴリーをスタートさせた。一つひとつ丁寧に手作りされた焼き菓子やパン、ジャムが、おいしそうな顔でずらりと並ぶ。9月に入った時点でのフードカテゴリーの出品数は、4000品を超えている。

「アクセサリーや雑貨の作家さんと同じように、食品の作り手にも届けたい思いがある」。Creemaがフードカテゴリーを始めたのは、奥さんがジャム作りをしているという社員のこんな発言がきっかけだった。

Creemaフードカテゴリのトップページ

Creemaフードカテゴリーのトップページ

Creemaが主宰する日本最大規模のクラフトイベントでは、アクセサリーや雑貨といった「作品」が並ぶ傍らで、焼き菓子やパンといった手作りフードも売られている。作り手との会話を楽しみながら、多くの人が楽しそうにフードを買っていく。そんな様子を見た社長の丸林耕太郎さんは、フードの販売がネット上のサービスとしても成立するのでは、と感じたのだそう。

「Creemaで作品を売れば、全国に向けて発信できるし、買ってくれた人からのフィードバックも得られる。双方向のコミュニケーションができるのです。『作品』と同じく、手作りの『食品』もCreemaで扱いたいと思いました」(丸林さん)

個人や小さなお店に限る

扱うものが食品となると、アクセサリーや雑貨とは違い、掲載基準が厳しくなる。

作り手がフードカテゴリーに出店するには、自治体の保健所で食品の販売についての営業許可書を取っておく必要がある。使っている原材料やアレルギー表示対象項目も、法律にのっとって表示する。「Creemaをのぞいてくれたお客さんが安心して買えるよう、出店や出品に関するシステムやルール作りにはいちばん神経を使いました」(丸林さん)。

丹波黒豆のチーズケーキ(菓茶みきや)

丹波黒豆のチーズケーキ(菓茶みきや)

Creemaでは、同じモノを大量生産している企業の出店も断っている。あくまで個人や小さな店舗が「一つひとつ手作りしたモノ」が出店の条件だ。

出店者の中には、「自分の子どもに安心・安全な食材で作ったおやつを食べさせたい」という思いから手作りを始めたという主婦も。「材料一つにも妥協せず、真心を込めて作っている方の思いを届けたいですね」(丸林さん)

Creemaに決めたワケ

そんな作り手の一人が、「菓茶(かちゃ)みきや」(兵庫県)の店主・春下充代(はるしたみちよ)さん。4月からCreemaでチーズケーキを専門に販売しており、売り上げはつねにランキングの上位だ。シンプルな「プレーン」のほか、「フレッシュブルーベリー」「バナナと胡桃」「濃厚ショコラ」「丸ごと苺」と、常時13~16種類のラインナップが並ぶ。

実は春下さんは、レストランやケーキショップの菓子職人としてスタートしたわけではない。独学でお菓子作りを学び、十数年前から実家のスーパーの一角で手作りのケーキやパンを売り始めた。老若男女を問わず人気のチーズケーキを専門としたのは2年前のこと。4月からCreemaでの販売も始めた。

バナナと胡桃のチーズケーキ

バナナと胡桃のチーズケーキ(菓茶みきや)

対面とネットでの売上げ比率は半々(ネットには自社ホームページでの販売も含む)。お店でも、「Creemaで販売されているんですね」 と声をかけもらうことが多くなった。

食材は、信頼のおける農家から直接仕入れている。食材もいわば作品。「実際に足を運んで作る過程を見て、農家さんの人間性や思いを感じたいのです」(春下さん)。「笑顔になれる魔法のチーズケーキ」というお店のキャッチコピーは、春下さんの思いそのものだ。

菓茶みきや店主、春下さん

菓茶みきや店主、春下充代さん

ちなみに春下さんには食品を販売できるほかのウェブサイトからも声がかかったというが、Creemaを選んだ。春下さんは1月にCreemaが開催したイベントにも出店。「強い思いで作り手を支えてくださるスタッフの方々に感激し」(春下さん)、Creemaへの出店を決めたという。

実際、Creemaでは出店者のケアを大切にしている。ホームページ上の「よくある質問」では、写真の撮り方のコツや世界観の伝え方までアドバイス。専任のサポートメンバー5人は常時、作り手とのやり取りを通じ、売り方を提案しているという。

スーパーなどで売られている大量生産品とは違った素朴で温かみのある焼き菓子やパンに、Creemaを通じて出合える。作り手のこだわりと込められた思いを想像しながら、お気に入りのひと品を探してみてはいかがだろう。

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