おしゃれな“BOX”で災害に備える

おしゃれな外観をパッと見ただけでは、これが“防災用品”だとは思わないはず。大きめのグリーンの箱は、部屋のインテリアにもなじみやすい。

実はこの箱、フリーズドライ食品とパックご飯、避難マニュアルブックが入った、災害時向けの食品セットだ。その名も、「食べながら備えるローリングストックBOX」。フリーズドライ食品を作るアマノフーズと、アートで防災を啓発するNPO法人プラス・アーツが共同開発した。

朝食、昼食、夕食とパックご飯3食がセットに

朝食、昼食、夕食とパックご飯3食が1セットに

ローリングストックとは、普段から食べるものを少し多めにストックしておき、食べた分を買い足していくという備蓄法。こうしておけば、いざというとき、防災用リュックに入れたまま賞味期限の切れた乾パンを食べずに済む。BOXは大人1人が3日間食べることを想定したセットで、食べた分を買い足していく仕組みだ。

見える場所に置いておく

こだわりの一つが、「見た目」。デザイナーの寄藤文平さんが描き起こしたイラストはかわいいけれど主張しすぎず、キッチンの棚に置いても違和感がない。「押し入れの片隅に追いやられがちな防災グッズを、何とか“見える場所”に引っ張り出したかったのです」(プラス・アーツの小倉丈佳さん)。

おいしさや栄養バランスにも配慮した。かに雑炊に具だくさんの豚汁、五種の野菜入りにゅうめん、トマトとチーズのリゾット、中華丼……と、ラインナップはかなり幅広い。災害時に支給される食品は、おにぎりやパンなど炭水化物に偏りがち。だからこそ、和洋中かつ野菜がたくさん採れることを意識した。

トマトとチーズのリゾット

トマトとチーズのリゾット

栄養面を手助けするのが、フリーズドライ製法。マイナス約30度の凍結庫で凍らせた食品を真空状態で乾燥させるので、ビタミンをはじめとする栄養価が損なわれにくい。軽くてコンパクトにしまっておけるというメリットもある。カロリーは1食当たり200㌔㌍前後とやや少なめなので、普段からたくさん食べる人は、パックご飯などを追加でストックしておくといいかもしれない。

まずは「3日分」から

ローリングストックBOXは5000円で、アマノフーズのオンラインショップで買える。子どもを持つ30~40代のお母さんによく売れているそうで、買い足し用に人気なのが、リゾットとシチューを組み合わせた「昼セット」だ。

もちろん、このBOXでなくとも普段から食べているレトルト食品や缶詰、シリアルなどを多めに買っておけば、自分なりの「ローリングストック」ができる。“非常食”といっても特別なものを買う必要はなく、賞味期限が半年以上かつ常温で保存できれば何でもいい。

プラス・アーツでは、月に一度、“ローリングストックの日”を設けることをお勧めしている。たとえばその日の夕食では、ストックしておいた中から賞味期限の近いものを食べる。食べた分は、次に買い物に行ったときに買い足せばいい。実際に食べると味や量を確認できるし、何より賞味期限が切れる前に入れ替えができる。

ほたてのクラムチャウダー

普段から食べ慣れている味がいちばんだ(写真は「ほたてのクラムチャウダー」)

ストックしておく量は、「3日分」が目安。国の防災基本計画では、「一週間の食糧備蓄」を勧めているが、4人家族ともなると84食分になり、なかなかハードルが高い。

「『3日分』にとどめたいなら、大きめのクーラーボックスと保冷剤を用意してください」と、プラス・アーツの小倉さん。災害が起こったとき、冷蔵庫には数日分の食材が入っているはず。停電したら半分の食材と保冷剤をクーラーボックスに移し替える。まずは冷蔵庫に入っているものから消化し、なくなったらクーラーボックスへ移したものを食べる。これで3~4日は持つ。「3日分」にはそれから手をつければいい。

懐中電灯よりヘッドライト

災害時には避難所で食糧が支給されるが、届くまでに数日のタイムラグがある。避難経験がある人からは、「スープが飲みたかった」「和食ばかりで飽きてしまった」といった声がよく聞かれるそうだ。ストックにはパスタなど乾麺を含めるのもいいが、水(1人当たり2リットル×7日分)とカセットコンロ、カセットボンベの備えは忘れずに。これらがないと、お湯も沸かせない。

「地震イツモ」

地震ITSUMO」に載っている豆知識の一部

備えるべきは食品に限らない。介護用の口腔ウエットティッシュがあれば歯磨き時の水を節約できるし、片手がふさがる懐中電灯よりヘッドライトがお勧め。プラス・アーツが運営する「地震ITSUMO」では、こうした防災に関する豆知識を紹介している。

“ローリングストックの日”に家族で食卓を囲めば、防災について話し合うきっかけにもなりそうだ。

プラス・アーツでは防災知識を身につけるためのイベントも全国各地で実施

プラス・アーツでは楽しく防災知識を身につけるイベントも全国各地で行っている

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