キッザニアにまた行きたくなるのはなぜ?

消防士になって消火活動

消防士になって消火活動

ウエディングドレス姿の花嫁が緊張ぎみに式に臨む傍らで、真剣なまなざしの警察官たちが街をパトロール。消防士による本格的な消火活動が終わったら、かわいらしい声のラジオ放送が聴こえてくる。ピザを作るのもマンガを描くのも自動車の整備もみんな子ども……。実際の3分の2サイズの“こどもが主役の街”は、子どもたちによって立派に運営されていた。

ここは、キッザニア東京。およそ100種類の職業体験ができる施設だ。ANAに資生堂、三井住友銀行、三越伊勢丹ホールディングス、NTTドコモ、JTB……。さまざまな業界の名だたる企業58社がスポンサーとしてかかわり、本格的な職業体験を子どもたちに提供している。入れるのは、3歳から15歳までの子どもとその保護者で、大人だけでの入場はできない。

リピーターが7割

今年で開業10周年をむかえるキッザニア東京。夏休みだと遠出の親子連れも多いが、いつもはリピーターが7割。年齢によって体験できることや興味も変わるので、子どもの成長とともに、何度行っても楽しめるのだそう。

子ども向けといっても、決して“子どもだまし”ではない。スーパーバイザーと呼ばれるスタッフは、企業に訪問するなどして、臨場感たっぷりにその仕事を伝えられるよう努力を重ねている。

スーパーバイザーが丁寧に指導

スーパーバイザーが丁寧にレクチャー

たとえば資生堂が提供する「ビューティーサロン」。子どもたちはスーパーバイザーから接客レクチャーを受けた後、実際にメイクアップなどの接客対応を行う。お客さんも子ども。スーパーバイザーは、資生堂のビューティーコンサルタントから、手のしぐさやおじぎの仕方などの所作やメイクの仕方がや髪型まで細部にわたるまでレクチャーを受ける。

ミルクを使ったデザートを開発する、森永乳業の「ミルクフードマーケター」。スーパーバイザーが工場や研究所を見学し、商品開発の担当者に話を聞いた。自動車整備士の仕事を体験できるオートバックスセブンの場合、スーパーバイザーは東雲の店舗で実際にピットに入り、タイヤ・バッテリー・ワイパーの交換を間近で見学した。スーパーバイザーが企業の思いをじかに感じるからこそ、子どもたちに“先輩”として仕事を教えられる。

スーパーバイザーは、事前に実地研修を受けた

自動車整備士の仕事を体験

800人いるスーパーバイザーのほとんどはアルバイト。学生や主婦が多い。スタート時給は910円と決して高くないが、「職業体験を通じて子どもたちに生きる力をはぐくんでもらう」というコンセプトに賛同して応募してくる人が多い。

中でも子育て経験のある主婦は、大きな戦力。こんな言葉をかけると子どもがうれしくなる、といったポイントを押さえながら、子どもに接することができる。

こども議員が“事前審査”

ところで、キッザニアで体験する「仕事」が面白いのにはワケがある。それは、子どもが子どものために選んだ「仕事」だから。

キッザニアには約20人からなる「こども議会」の制度がある。こども議員の応募資格は小学校2年生から5年生で、任期は2年。月に一度、2時間ほど議員活動をしている。

森永乳業

どんな「仕事」なら楽しいか、こども議員が考える

こども議員たちは、新しく登場する「仕事」をいちばんに体験し、「こうすればもっとよくなる」「小さい子が体験したらどう感じるだろう」といったことを皆で話し合う。子どもたちの反応は、率直で厳しい。大人が考えに考え抜いた「仕事」でも、こども議会での反応がイマイチということはよくある。そんなときは、こども議員たちに認められるよう、大人が一から考え直す。

ちなみに、こども議員になっても報酬や特典はおろか、交通費も出ない。それでもキッザニアを自分たちの手でよくしたいという子どもたちが、毎年たくさん応募してくる。選考では、親の希望ではなく子ども本人がどれだけ熱意を持ってやりたいのかを見極めているのだそう。

中学生を呼びたい

キッザニア東京の売り上げの柱は入場料。入場料は、休日の6時間枠で、子どもが4050~4650円、大人が1850円。大人の入場料が安いのは、大人は基本的に何も体験できないから。とはいえ、消防士やビューティーコンサルタントになりきった子どもの生き生きとした表情を見られるという特権がある。

ゼクシィがサポーター

ゼクシィがサポートする「ウエディングセレモニー」

ちなみに、東京ディズニーリゾートの入場料(1デーパスポート)は、8時~22時までの14時間で大人7400円、子ども4800円。時間あたりの単価でみると、子どもの入場料はディズニーよりキッザニアのほうが高い。とはいえキッザニアは、「定員制」にすることで待ち時間が長くなりすぎないようにし、短時間でも濃い内容の体験ができるよう工夫している。

年間の入場者数は86万人(2015年度)。定員制なので、この数字から大きく増えることはないのだそう。売り上げは公表していないが、入場料やグッズの売り上げを含む「施設関連の売り上げ」が大きく、スポンサー企業からもらう「スポンサーフィー」もそれを下支えしている。リピーターの存在が、キッザニアの経営を支えている。

中学生だけが入れる「ジュニアキャンパスナイト」も開催

中学生だけが入れる「ジュニアキャンパスナイト」も開催

今力を入れているのは、中学生に来てもらうことだ。思春期の中学生は、幼児や小学生と一緒に職業体験することがやっぱり恥ずかしい。でも将来なりたい職業を考えるうえで、中学時代はとても大切な時期だ。

キッザニアでは、中学生限定の日程を設け、VR(バーチャルリアリティ)などより高度な体験を用意したり、パイロットやアナウンサー、コンサルタントといったさまざまな職業の人を囲んで話す「ソーシャルパーティー」を開いたりしている。

キッザニアで体験した職業や出会った人にあこがれて、実際にその仕事に就いた。そんな事例が今後どんどん増えそうだ。

  • この記事をシェア
トップへ戻る