「使い道」から選ぶ、ふるさと納税

認定子ども園「ほろん」で遊ぶ子どもたち Photo by 上士幌町

認定子ども園「ほろん」で遊ぶ子どもたち Photo by 上士幌町

普段は高くて手を出せない牛肉も、家族の記念日に食べたいフルーツも、わが家では「ふるさと納税」にお世話になっている。

ふるさと納税は、自分が住む自治体に払う税金の一部を、ほかの自治体に払う(寄附する)ことができる制度。たとえば今年2つの自治体に1万円ずつ、合計2万円の寄附をすると、翌年に自己負担の2000円を除いた1万8000円が返ってくる。寄附先を自由に選べるとあって、年々人気が高まっている。

寄附をすると、自治体によってはお礼の品を送ってくれる。コメや肉、フルーツに野菜など、お礼の品は自治体によってさまざま。食品だけでなく、家具や宿泊割引券を用意している自治体もある。

納める人が使い道を選ぶ

「寄附をする」ということよりも、「お礼の品をもらう」ことで有名になったふるさと納税。私も最初はそうだったが、あるとき、ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を見ていたら、「使い道」から寄附先が選べることに気づいた。実はふるさと納税は、税金を納める側が使い道を指定できる唯一の税金なのだ。

ふるさとチョイスには、全国1788すべての自治体の情報が載っていて、そのうち1000を超える自治体への寄附がサイト内でできる(クレジットカード決済)。「お礼の品で」「地域で」「使い道で」検索できるので、どの自治体に寄附をしようか迷っている人には便利だ。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

ふるさとチョイスによると、これまではお礼の品で寄附先を選ぶ人が圧倒的に多かった。最近になり、4~5の寄附先のうち一つは「使い道」から選ぶという人が増えているという。

「使い道」でよくあるのが、寄附をするときに「子育て・教育」や「自然保護」「観光」など、自治体が設けたカテゴリから選ぶ方法。ただこの方法だと、たとえば子育てのどんなことに自分のおカネが使われるのかはわからない。

犬の殺処分をゼロに

寄附するからにはもっと具体的なプロジェクトで自治体をサポートしたい、という人にお勧めなのが、ふるさとチョイスが独自で行っている「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」。その名のとおり、自治体(ガバメント)が広くおカネを集める(クラウドファンディング)ためのプロジェクトだ。

「犬の殺処分をゼロに」「難病を治す研究支援を」「美術館を開くために」といったテーマを自治体が掲げ、目標金額を定めて、寄附を募っている。目標金額に達しなかった場合でも、集まったおカネの中でできることを行うので、寄附したおカネが別のことに使われるという心配はない。

Photo by ピースウィンズ・ジャパン

Photo by ピースウィンズ・ジャパン

広島県神石高原町がNPOのピースウィンズ・ジャパンと一緒になって企画したのは、犬の殺処分をゼロにしようというプロジェクト。年間約4万頭が殺処分されている犬たちを少しでも救おうと始めた。

14年からこれまでに行った計4回のプロジェクトで、集めた寄付は4億5000万円以上。1万円以上の寄付で「神石高原米2kg」などをお礼の品として返すため、集まった寄付金のうち、9割弱を殺処分ゼロのプロジェクトに使う。ピースウィンズ・ジャパンが殺処分前の犬を引き取り、獣医師による診断、ドッグトレーナーによるしつけをした後、新しい飼い主を探している。

新しい犬舎で暮らす保護犬たち Photo by ピースウィンズ・ジャパン

新しい犬舎で暮らす保護犬たち Photo by ピースウィンズ・ジャパン

今年4月からは、広島県内の殺処分対処犬を全頭引き取れることに。当初は予定をしていなかった保護犬舎の建設もスタートした。新しい飼い主さんへの引き渡しをする譲渡センターの開設や、現在保護している450頭の犬の医療費や飯代に充てるため、9月から5回目のプロジェクトとして寄附を募る予定だ。

何に使われたかが「見える」

GCFのプロジェクトほど具体的に指定はできないけれど、寄附したおカネがどんなことに使われたかがきちんと「見える化」されている例もある。

Photo by 上士幌町

Photo by 上士幌町

北海道上士幌町は、牛肉などのお礼の品で人気の自治体。寄附金のうち「まちにおまかせ」と「子育て・教育」の使途のおカネを、「子育て・少子化対策 夢基金」として蓄えている。夢基金のおかげで、新しくできた認定こども園「ほろん」の保育料は、今年4月からの10年間、「完全無料」になった。

はたらきたいお母さんたちが子どもを預け始め、現在ほぼ定員いっぱいの130人近くが元気に通園している。こども園の敷地には、水遊びのできる井戸や池、どろんこ遊びのできる砂場やたき火ブースを設ける「きぼうの森(仮称)」も作る予定だ。

Photo by 上士幌町

Photo by 上士幌町

お年寄りが増えてここ30年ほど「自然減」が続けていた町民の数は、こども園の完全無料化のニュースのおかげで、ここ1~2年で一転増え始めている。子育てをしやすい町に移住したい、という子育て世帯が増えているのだそう。ふるさと納税が、とても良い循環を生み出してくれた。

はたらいている人の名前で

ふるさと納税をするに当たって気をつけたいことがある。今はたらいていない場合、自分の名前でふるさと納税をすると、負担額は実質2000円にはならない。夫がはたらいているなら夫の名前で、クレジットカード決済も夫の許可を得て夫の名前で行うことが原則。

いくらまでだと2000円の負担で済むかは、年収によって異なる。ふるさとチョイスの「私はふるさと納税をいくらできる?」では前年度の源泉徴収票などをもとにその目安を調べられるほか、総務省の「ふるさと納税のしくみ」でも、金額の目安や確定申告の方法を調べられる。

ふるさと納税をしたら「お礼の品」がほしいと思うのは自然な気持ち。ただ、寄附したおカネがどんなことに使われるのかにも目を向けてみると、世界がより広がるかもしれない。

  • この記事をシェア
トップへ戻る