暑い夏、支出はどのくらい増える?

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関東地方もようやく梅雨が明ける。気象庁の予想によれば8月以降は、全国的に平年並みか平年よりも高い気温が続くそう。

暑くなると、私は日中しょっちゅう冷たい飲み物が飲みたくなるし、ビールを飲む回数が増える。外出先から帰ってきて、部屋のエアコンがつけっ放しになっていたことに気づき、愕然とすることもしばしば。8月の電気代なんてあまり見たくない。

ところで、こうした行動をする人たちが日本全体に及ぶと、経済や景気の動きに大きくかかわってくるらしい。

「気温や日照時間、花粉の飛散量などは、個人消費に大きく関係してきます」と説明するのは、第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣さん。

平均気温が1度上がると

永濱さんが、内閣府の「国民経済計算」(GDP統計)を用いて、気象の変化と家計消費の関係性を調べたところ、7~9月は気温が上がったり日照時間が増えたりすることで、家計の支出がはっきり増えることがわかったという。

具体的には、7~9月の平均気温が前の年よりも1度上がると、同じ時期の家計消費を5100億円押し上げる。1人当たりにすれば4015円。

つまり「7~9月の平均気温が1度上がると、4人家族の夏の支出が1万6060円増えるということです」(永濱さん)

目薬や花粉グッズも

1898年の統計開始以来、最高の暑さを記録した2010年の夏は、世界的に異常気象をもたらすラニーニャ現象が発生していた。

この年、コンビニ業界では麺類や飲料など夏の主力商品がよく売れ、店の売り上げは7月、8月と2カ月連続で前の年を上回った。百貨店、スーパーもしかり。家電量販店でもエアコンがよく売れた。

外食業界も売り上げが増えた。ドリンク剤や日焼け止めなどのスキンケア商品がよく売れたし、飲料向けを中心に段ボールの販売数量までもが大きく増えたという。

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そのほか、こんな業界がプラスの影響を受けた。

・ビール、お茶・飲料、冷菓、冷凍・製氷
・製缶、ラベル、アルミニウム、段ボール
・エアコン、家電量販店
・電力
・目薬、日焼け止め、日傘・虫よけ、花粉
・喫茶店、外食、コンビニ
・旅行、運輸、広告

飲料の出荷が増えれば、缶やPETボトル、それらに貼るラベルを作るメーカーや、段ボールメーカーなどに影響する。目薬が売れるようになるのは、プールや海水浴に行く機会が増えるため。花粉関連は、猛暑の次の春は飛散量が増えるためだそう。暑い中に外出が敬遠されて通販を利用する人が増えるため、宅配業界も忙しくなる。

一方、需要が減るのは、たとえばガス関連。確かに、暑い日に火を使う料理はなるべく作りたくない。また、お年寄りの通院が遠のくことから医療用医薬品も需要が減るという。

秋には反動が

多くの人の支出を増やした10年の記録的な猛暑。でも、その後に訪れた秋は、たちまち節約モードに入ったよう。10~12月の個人消費は、一転、前年比マイナスになった。「所得が上がっていない中で一時的に支出が増えても反動がきます」(永濱さん)。

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家計に影響を与えるような価格の上昇も待ち受けていた。

まず、記録的な暑さは農作物の成育に影響し、野菜や果物の価格を上げてしまった。10年の場合、レタスは平年の2倍に、梨や柿といった秋の果物も高くなったという。

また、海水温が上がってサンマが取れなくなり、旬の時期に1匹1000円近くにまで上がってしまった。夏バテするのか乳牛は乳量が減り、ニワトリは卵を産まなくなって、牛乳、卵も価格が上がったという。

今年の夏は、どのくらい暑くなるのか。気象庁からラニーニャ現象が夏の間に起こる可能性は低いという予想は出ているけれど、ほどほどの暑さで過ごしたいものだ。

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