オーガニックコスメは本当に肌に優しい?

Photo by MARIA

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オーガニックコスメにナチュラルコスメ、無添加コスメ。最近、こうしたタイプの化粧品がとても人気。「天然成分」や「植物由来成分」などが配合されていて、一般的なドラッグストア・コスメより高いものの、敏感肌の人を中心にニーズが高まっている。

オーガニックコスメはどことなく「肌に優しい」イメージがある。でも、化学的に見ると必ずしもそうとはいえない。

私はもともと肌が弱く、子どものころから化粧水やクリームでの保湿が欠かせなかった。大学や大学院で化学を専門的に学ぶうち、化粧品を化学的に調べるようになった。そうして見えてきたのは、一般的なイメージとはまったく違う化粧品の姿だった。

精油は肌への刺激が強い

日本でのオーガニックコスメの定義はかなりあいまいで、「オーガニックコスメはこういう化粧品」とはっきり言うのは難しい。一般的には、「植物由来の成分が入っている化粧品」が広くオーガニックコスメと言われている。

植物由来の成分というと、何となく肌に優しそうだ。けれど化学的に考えると、むしろ肌に悪い影響を与えるものもある。

たとえば植物成分の代名詞ともいえる「精油」。高級なオーガニックコスメには数種類の精油をブレンドしたものもある。

ところが、精油は皮膚への刺激が強く、アレルギーのリスクも高い。実際、アロマセラピーではキャリアオイルに加える精油の濃度に規制があり、精油の配合濃度は最低限に抑えている化粧品メーカーも多い。

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植物から直接抽出する成分には、美容成分だけでなくさまざまな不純物が混ざっている。その中には肌に害となってしまう成分も多い。

もちろんできるかぎりそうした成分を取り除く処理がされるが、完全になくすのは難しい。配合量が多すぎたり体質に合わないものが入っていたりすると、刺激やアレルギーの原因になってしまう。実は、植物由来成分よりも、化学合成などですべて人工的に作ったもののほうが害となる成分が混ざることがなく、肌への負担も小さい。

植物由来が害になることも

オーガニックコスメの由来をたどっていくと、ヨーロッパの化粧品に行き着く。ヨーロッパには100%オーガニック成分という商品が多く出回っている。

日本ではなぜか、ヨーロッパのコスメは日本製のコスメよりよいもの、と思う消費者が増えている。その影響か、最近たくさんのオーガニックコスメが日本に入ってくるようになった。

もともと「オーガニック」とは農薬や化学肥料を使わない「有機栽培農法」を表す言葉。ヨーロッパには、オーガニック認定機関というものがあり、化粧品に使われる植物が有機栽培農法で作られているかどうかを厳しく審査している。でも、100%植物由来成分ともなると、かなり刺激が強かったりアレルギーリスクが高くなったりしやすい。

日本人の肌質にあうかどうか

また、ヨーロッパのコスメの洗浄剤には、日本よりもかなり強い合成界面活性剤が使われていることがある。

ヨーロッパのほとんどの地域の水は「硬水」と呼ばれ、日本の「軟水」とは比べられないほど、金属成分を含むミネラルが多い。硬水では合成界面活性剤の効果が弱まるので、皮膚への刺激が穏やかなものは使えない。

軟水に恵まれた日本では手肌にほとんど害のない合成界面活性剤が使われるようになっているけれど、硬水のヨーロッパでは皮膚刺激や洗浄力の強い合成界面活性剤を使うしかない、という事情がある。

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最近ではこうした強力な合成界面活性剤を、植物から作れるようになった。原料がオーガニック製法で作られていればすべてオーガニック製品と認定されるので、強力な合成界面活性剤を含んだ化粧品も、オーガニックコスメとして出回っている。そうしたコスメに、わざわざ高いお金を払って使っている場合もあるのだ。

欧米では、肌質の違いもあるのか、刺激の強い化粧品や洗剤が問題になることはあまりない。けれど、世界的に見ても肌が敏感である日本人には、日本で作った化粧品のほうが安全な場合が多い。

ヨーロッパのオーガニックコスメは確かにおしゃれ。でも肌への影響を考えると、賢い選択とは言えないかもしれない。

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