おみやげ店の日本人形はなぜか鼻が高い

Photo by Koichi Imai

いまや日本を代表する観光地の一つとなった秋葉原に、クチコミで聞きつけた外国人観光客が押し寄せる人気の免税店「AKKY(アッキー)」がある。

家電・パソコンから、美容器具、キッチン用品までバラエティに富んだ商品を外国人の好みに合わせて幅広く扱っているほか、自社で企画したオリジナルのおみやげ品のコーナーもある。

そのオリジナル商品の一つ、日本人形をよく見ると、わたしたちの目にはどことなく奇妙な感じがする。パッと見ただけでは気づかないが、ところどころ普通の日本人形とは異なる部分があるのだ。

まず、顔。目の色が青みがかっていて、鼻が高く、欧米人のような顔つきをしている。そして、胴や手足はスラリと長い。ものによっては、10頭身はあろうかという、極端に顔の小さな人形もある。

もちろん、これらのアレンジはすべて意図的に行っている。外国人の好みに合わせているのだ。

この商品を考えたのは、アッキーを営むアッキーインターナショナルの阿部英行社長。この会社を創業する前は、28年間にわたって家電量販店のラオックスで免税店業務を担当していた。

本物の江戸前すしよりも

7~8年ほど前のこと。海外の見本市で、欧米人のような顔つきや体型をした日本人形を目にして、自分たちでも作ろうとひらめいた。

「外国人から見ると、純粋な日本人形は手足が短いので、違和感を覚えるらしいのです。だから外国人は、リアルさにこだわった芸者や侍の人形よりも、外国人の視点から見たゲイシャやサムライの人形が欲しい。

日本人から見たら異様かもしれませんが、外国人の好みに合わせて作ったほうが、売れると考えました」(阿部社長)

本物の江戸前すしではなく、カリフォルニアロールのような寿司のほうが、アメリカ人の間で受けるのと同じことなのだという。

以来、日本人形のデザインは、見本市で見つけた人形をデザインしていた、中国系のアメリカ人デザイナーに依頼している。鎧兜をまとった武士や黒装束に身を包んだ忍者の置物も、同じ人にデザインを頼んでいるそうだ。

鎧兜のデザインは、中世ヨーロッパの騎士なども参考にしているので、リアルさを追求する人には「間違っている」といわれるかもしれないが、そうした方が、外国人客からの反応は良いという。必ずしも「本物の日本」が喜ばれるわけではないのだ。

アッキーインターナショナルは、こうしたオリジナルのおみやげ品を空港などにある免税店や米軍基地などにも卸している。

有名ブランドでなくとも人気

アッキーの店内は品ぞろえにも特徴がある。

たとえば、中国や台湾を始めとしたアジアの観光客は、「日本製」が好き。ルーペの付いた爪切りのような、日本ならではのアイデア商品だけでなく、ごく普通のパンティストッキングでも、パッケージに「日本製」と書かれているものは、よく売れるそうだ。

時計に関しても同じだが、おもしろいのは、セイコーやシチズンなどの有名ブランドだけでなく、4000円程度で買える日本製の時計も売れること。

「安く買える日本製の時計はないのか」と問い合わせがあったものの、問屋に出回っていないことから、自分たちで工場を探してオリジナルで作った。すると、年間10万個も売れるように。どれだけお金持ちの外国人でも高級な日本製を求めているとは限らないのだ。

なお、日本では、シルバーの時計が好まれる傾向があるが、アッキーでは、ゴールドの時計を中心に揃えている。浅黒い肌に似合うことから、ゴールドを求める人は非常に多いという。また、外国人の腕の太さを考え、文字盤も大きな時計を豊富に揃えている。

一方、日本で人気の電波時計の品ぞろえが少ないのは、海外に行けば、電波が届かない地域がたくさんあるからだ。日本人ほど多機能な時計にも求めない傾向もあるという。

大使館員も店を訪れる

また、秋葉原の店には、英字キーボードや英語OS のノートパソコンを多数そろえた一角がある。こちらは観光客目当てというよりは、日本に駐在している外国人ビジネスマン向け。実は、英語対応のパソコンをそろえた店は意外と日本国内に少なく、大使館員などが買いに来ているという。

アッキーインターナショナルは、こうした免税店を日本国内で4店舗運営している。ちなみに、秋葉原には3店舗があるが、似たような品揃えに見えて、じつは一般旅行者向け、アジアの団体ツアー向け、在日外国人向けの店舗に分けている。外国人とひとくくりにされたら嫌がる人もいると考えてのことだ。

年間の売り上げは125億円に上る。外国人向けビジネスのプロフェッショナルといってよいだろう。

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