子どもが「やめたい」と言っても習い事は続けさせるべきか

酒井菜法のお悩み相談室

僧侶であり3人のお子さんを育てるお母さんでもある酒井菜法さん。一緒に悩みながら、人生を豊かに歩むヒントを探していきたいと、読者のみなさんからのお悩み相談を受け付けています。今回寄せられたご相談はこちらのお母さんからでした。

お悩み相談

小学校2年生の息子がいます。5歳のころからピアノ、体操、スイミング、空手、英語などいろいろな習い事をさせてきましたが、どれも途中で本人が「やめたい」と言い出し、今まで続いているものが一つもありません。
今春からお友だちと一緒に地域のサッカークラブに入部しましたが、それも夏休み頃から「おもしろくない。やめたい」と言い出しました。一緒に入ったお友だちがレギュラーになったのに、自分はなれなかったことがおもしろくないようです。代わりに今度は柔道がやりたいそうです。
親としては子どもの興味があるものは何でもやらせて、打ち込めるものを見つけてあげたいと思いますが、ここまでどれも長続きしないと、「やめたい」と言っても続けさせたほうがいいのではないかと思い始めました。
(Sさん 42歳/小学2年生の男の子の母 専業主婦)

好奇心旺盛なお子さんですね。無気力、夢がない、体を動かすのは億劫という子どもが増えて社会問題になっている現代において、さまざまなことに関心が持てるのはすばらしいことです。さらに、子どもの希望を叶えてあげられる経済力も誰にでもあるわけではありませんから、ご両親もすばらしいと思います。

でも、せっかく始めた習い事をお子さんがすぐに「やめたい」と言ってしまうこと、そしてそれに親が従ってしまうことにお悩みとのこと。その原因のひとつは、親が習い事をさせる意味を明確にしていないからかもしれません。

Photo by MARIA

子どもがやりたいというからやらせてみるというのはすばらしいことですが、何のためにその習い事をするのか、考えたことはありますか? たとえば「ピアノをやりたい」なら、その目的は何でしょうか? ピアノは継続が大事です。子どものころから習い続けるからこそ弾けるようになります。この場合の目的は「継続すること」ですね。

では、スイミングや英語、サッカーの目的は何でしょう。「ある程度泳げるようになればいい」「子どものうちから英語が話せるようになってほしい」「チームワークを学んでほしい」……。その目的はさまざまでしょう。でも、家庭内でその目的をはっきりさせることが大切です。

子どもに何を身につけてほしいのか、どのような子どもに育ってほしいのか。目的を明確にしない限り、どの習い事をしても長続きせず、親は子どもの言いなりになるだけになってしまいます。

習い事の目的は?

好きなことはたしかに、さまざまな経験から見つけられることが多いでしょう。下手でも、ほかの人に何を言われても「やりたい」「やめたくない」というものが成長とともに見つかるはずです。でも、小学校2年生の子どもには、それを自分で見つけるのはまだむずかしいはず。結局のところ、何を習わせるかは親の判断になります。自分の子どもは何を得意としているのか、何を伸ばしてあげられるか、それをたくさんの習い事の中から見極めていかなくてはいけません。

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そのためにも、ひとつひとつの習い事に目的を持たせることが大事なのです。それは結局のところ親の目的なわけですが、子どもが低学年くらいのうちはまだ判断できませんから、まずは親がそれをしっかり提示してあげる必要があります。

悔しい思いをすることも大事

その目的の視点からサッカークラブのことを考えてみましょう。お友だちはレギュラーになったのに、息子さんはなれなかった。悔しく、おもしろくない気持ちになったことでしょう。でも、そういう悔しい気持ちや、がんばってもうまくできないことがあるということを学ぶのがサッカーの目的のひとつでもあるはずです。

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それが「レギュラーになれず、おもしろくないからやめたい」というのであれば、目的は達成されていませんよね。確実に“逃げ”だとわかるのであれば、がんばって続けさせたほうがいいかもしれません。スポーツとはそういうものだということを学ぶいいチャンスだからです。

昨今では運動会などでも優劣をつけないため、学校で悔しい思いをすることはなくなりましたよね。習い事はそういう気持ちを経験する場として大事だと思います。子どもはお楽しみ会のために習い事に行っているわけではありません。そこで何に気づかせるか、何を身につけさせるか。いろいろな教室を見学しながら見極めていくことが親の役目でもあります。

親が上手に導いて

長続きしないことが悪いのではありません。どんな目的を持って習うのか、どれを長続きさせなくちゃいけないのかをしっかりと決めてから習わせることが大事なのです。そうすればやめたいと言われたときに「約束したよね」「今はつらいけど、もう少しがんばろう」と声がけもできます。ときには「がんばれ」とお尻を叩き、励まし、なだめすかして山を乗り越えさせることが子どもの成長につながります。

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子どもを信頼することは大事ですが、2年生では判断しきれないことも多いものです。ある程度は親が導いていかないといけません。悔しい思いをしたときでもやめさせずに、その悔しさをバネにがんばらせるように声がけすることも導きのひとつです。

子どもの変化を見逃すことなく、好きなことや得意なことを伸ばしてあげられるように背中を押すこと。それがどの習い事ならできるのか、夫婦や親子で方針をしっかり話し合うことが大事です。

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