中学受験を控えた長女が勉強に打ち込まない

僧侶であり3人のお子さんを育てるお母さんでもある酒井菜法さん。一緒に悩みながら、人生を豊かに歩むヒントを探していきたいと、読者のみなさんからのお悩み相談を受け付けています。今回寄せられたご相談はこちらのお母さんからでした。

お悩み相談

2人の子のうち長女にだけひどく感情的に怒ってしまいます。教育関係の仕事をしていることもあり、長女が小さい頃から熱心に教育に取り組んできました。その成果があって、塾の全国模試で上位を争うくらいの成績を取る子に育ちました。
ただ、このところ中学受験に向けて大事な時期なのに勉強に身が入っていないようです。この間も私に隠れて漫画雑誌を読んでいたのを見つけ、つい手をあげてしまいました。反省の言葉は述べていましたが、どうも何を考えているかわからずイライラが募ります。
入社して数年で妊娠し「キャリアを中断してまで産んだ」という意識があるのかもしれません。貴重な休日もすべて子どもに捧げてきましたが、長女の心に響いていなかったのかと思うと残念でたまりません。
(Mさん 37歳/11歳の女の子、5歳の男の子の母 会社員)

長男や長女、1人目の子どもにはどうしても熱心になってしまいますよね。熱心になるあまりに「もっともっと」という期待が高くなる。さらに「自分のやりたいこと(仕事など)を犠牲にしてまで育てているのに」という思いがよぎり、ついイライラしたり怒ったり。子どもが反抗的な態度をとると、いら立ちがどんどん強まります。これはどの親でも経験があることだと思います。

Photo by MARIA

でも、過去への後悔や未練は捨てるべきです。「この子のためにあんなにしてあげたのに……」というのは強制。子どものことを思いやっての行いではなく、自己満足の行いです。

子どもは宝です。でも、子どもの人生はあなたの人生とは違うのです。それに気づき、今をしっかりと見てください。あなたの今はとても豊かなはずです。

萎縮させず、導く

娘さんは親思いのすばらしいお子さんではありませんか。「お母さんに褒められたい」「お母さんを喜ばせたい」。そんな思いでここまでがんばってきたのだと思います。「それなのに、なぜ怒られるんだろう?」と思っているかもしれません。

「何を考えているかわからない」のは本心を言えないからかもしれません。怒られるのがイヤで、萎縮してしまっているのです。

萎縮した気持ちで勉強を続けると、自分で考えて行動する力が弱くなります。親の顔色をうかがいながら進む道は、子どもが自分で選んだ道ではないからです。「この子の人生のために」と思うならば、子どもが自立して生きていける力を身につけさせなければいけません。

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何のために受験をするのか、お母さんではなく子ども自身が本当に行きたい学校なのか。子どもを萎縮させることなく、上手に導いていくことが大切です。

お子さんに夢や目標があるなら、受験をして夢を実現させるために自ら勉強するでしょう。その合間に少し漫画を読んでも、友だちと遊んでもいいじゃないですか。それでもお子さんは目標に向かって十分がんばっているのですから。

もっと子どもの力を信じましょう。とてもがんばっている、すばらしい娘であるということを、あなた自身がしっかり信じていくことが大切です。

お母さん自身がまず変わって

あなたは仕事と育児を両立し、受験にも一緒に向き合われている立派なお母さんです。子どもがいなかったら仕事でもっと成功したかもしれませんが、お子さんたちと過ごす時間や成長していく姿はあなたにとってかけがえのない宝物ではありませんか?

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「貴重な休日を子どもに捧げた」のではなく、一緒に過ごすことがあなた自身の幸せと成長にもなっているはずです。

相手の思いを尊重し、ねぎらい、励まし、ときには背中を押してあげる。これは愛情がなければできないことです。愛情があるからこそ、ときには厳しく叱ることができ、子どもの心に響くのです。

まずはあなたが変わらないと。お子さんが悩みながらも懸命に自分の道を見つけられるように、干渉しすぎず、ほどよい距離で子どもを導いてあげることです。そうすればお子さんはもっと伸びやかに成長するでしょう。

実践は子どもに任せて

お釈迦様も「仏は教えを説くだけで、自分で実践することで真理を得られる」とおっしゃっています。この場合、仏=親。親は子どもに話して聞かせることしかできず、子どもが自分で実践しなかったら本当にやるべきことは見つかりません。親は子どもがもっともっと伸びやかに成長していけるように導くだけなのです。

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子どものがんばりを褒めてあげましょう。言葉だけでなく、スキンシップで愛情を表現するのもいいでしょう。ハグをする。あるいは、ハグをしないまでも、触れ合いによってねぎらいや喜びを表現することは大切です。そして息抜きに穏やかな気持ちで過ごす家族の時間を作りましょう。

そうした時間があるだけで、あなたにとって貴重な休日がより豊かになり、子どもには勉強に向かう原動力となります。

子どもも部下も、人を育てる事は思い通りにならずとても難しいですね。大らかな気持ちで信頼関係が築けることを願っております。

合掌

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