子どもの夢をつぶさないで!

Photo by MARIA

進学校として有名な灘高校の先生が仰った。「子どもの夢をつぶすのは、お母さんだったりするんですよ」。

先生が仰るには、せっかく子どもが夢を語っているのにお母さんがその夢をぶったぎることがよくあるらしい。特に高校生や中学生になるとそんなことが起きやすい。

たとえば、サッカーが大好きでサッカーばかりやっている子どもにお母さんは言う。「サッカーばかりやってないで、勉強もしなさい」。そこで子どもは言う。「僕の夢はサッカー選手になることだよ」。せっかく夢を語っているところで「何言ってるの。もうすぐ中間テストでしょ」と言ってしまう。

先生はこうも言った。「3歳の子どもが『サッカー選手になりたい』と言ったら『素敵ね』と言えるのに、中学、高校になるとそうじゃないんだよなあ」。そして、そこで夢を奪われた子どもは「どうせ、お母さんに夢を語っても仕方ない」となったり、一歩間違うと人生がうまくいかない時に、「あのときお母さんに反対されたから」ということになるらしい。

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この話を聞いて、私もちょっと耳が痛かった。きっとわが子もいろいろ夢を語っていた時期があったはず。でも、当時は仕事との両立でバタバタと忙しかった私は、ゆっくり子どもの夢の話なんて聞いてなかった気がする。それどころか、算数のとんでもなくひどい点数を見て、イライラして家庭教師などつけたりしていた。今から思えばほんまにひどい母親だったかもしれない。

現在、料理人として一流と言われる店で活躍している男性が言った。「僕は、ずっと料理人になることが夢だったんです」。「じゃあお母さんは理解があって、ずっとあなたを応援してくれていたんだね」と私が言うと、「ところが違うんです」と返ってきた。

彼は子どもの頃、一生懸命お母さんに夢の話をしたらしい。その時、お母さんはこう言った。「さっさとお風呂に入って寝なさい」。

その結果「言ってもムダ」と感じた彼は、高校を中退して、家を飛び出して料理の世界に入った。今では、母親の自慢の息子。「あの時、母親の言う通りにしていたら今の自分はなかったかも」と、笑っている。

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私の友人の男性。子どもの頃お母さんに「夢は何?」と聞かれた。「宇宙飛行士」と答えたら、「夢みたいなこと言わないで」と言われたらしい。ちょっと腹が立ったと言う。「夢を尋ねているのに変だよね」。いま彼は、技術者として活躍している。

灘高の先生は、こう仰る。「お母さんの気持ちもわかるけれど、夢に向かって真剣に頑張った経験のある人間は必ずそれが生きるから、夢を持って、そこに突き進む子どもを応援して欲しい」。

クラブ活動ばかりやっていて、成績が下がったら焦るお母さんの気持ちも痛いほどわかる。レギュラーだったらあきらめもつくかもしれないけれど、補欠や応援席ばかりだと「いいかげんに辞めたら」と言いたくなるかもしれない。

実際、私の弟は、それでクラブを辞めさせられて非行に走った時期があった。今は、医者をしているけれど「なんで、大好きなクラブを辞めなきゃならないのか納得がいかなかった」などと笑って言っていた。

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オリンピックでメダルを獲った子どものお母さんは、インタビューでみんなこう言っていた。「うちの子どものこと信じてました」。

そんなインタビューを見て、そんなお母さんたちを心から尊敬した。私の反省も込めて、これからのお母さんに伝えたい。子どもが夢を語ったら、5分だけでもいい。手を止めて聞いて応援してあげてほしい。本当は、20年前の私にいちばん言いたい(笑)。

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