自分のことを後回しにしないで

Photo by MARIA

子育て中の女性は、つい自分のことを後回しにしてしまう。今年6月に亡くなった小林麻央さんもそうだったらしい。「3カ月後に再検査したほうがいい」と言われていたけれど、延び延びになってしまったと聞いた。結果、がんが進行していたと報道されている。

でも、麻央さんを責めることなんて誰もできない。子育てしていると、つい子どもが優先になる。そして、やらなきゃいけないことなんて毎日、山ほど出てくる。「あれもしなきゃ」「これもしなきゃ」と思っているうちに、いつの間にか月日は過ぎて行く。

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知り合いの幼稚園の先生がおっしゃった。

「お母さんは、自分のことを後回しにしないでください」

彼女は、自分のことを後回しにしてがんが手遅れになってしまったお母さんを何人か見てきた。「お母さんが亡くなった後の子どもやお父さんがどれだけ大変か、どれだけ悲しいかを私は見てきたからこそ、お母さんに言いたいんです」ともおっしゃった。

「お父さんが亡くなっても大変で悲しいでしょ」と私が言うと、「意外と、お母さんは立ち直るのが早いんです」と返ってきて、お母さんたちはみんな苦笑した。

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私の弟は、奈良で開業医をしている。もともと勤務医で副院長にまでなっていたけれど、「お母さんと中小企業の社長のための医院をつくりたい」と開業した。彼が言うには、「中小企業の社長とお母さんは、どうしても自分のことを後回しにするので、手遅れになりやすい」らしい。

だから、子どもを連れてきても遊ぶ場所があって、お母さんが診察の間、スタッフが子どもの面倒をみることができる医院にした。「お母さんを手遅れにしたくない」と彼はいつも言っている。

私の友人で市議会議員の男性がいる。彼には3人の子どもがいて、奥さんは専業主婦だった。彼と話をしていた時に、私は「お母さんが、自分の時間を持てるために、一時保育などを充実させるべき」と訴えた。彼は、「俺は、子どもが小さいうちはお母さんが家にいればそれでいいと思う」と言った。そんな彼の奥さんは30代でがんになり、あっけなく逝ってしまった。3人の子どもを抱えて、彼は「こんなに子育てって大変だったんだ。こんなに子育て中の女性が自分の時間を持てないなんて思っていなかった」と言った。

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もし、彼女が一時保育で子どもを預かってもらうことができて、さっさと検診に行くことができたら、がんを早期発見できたかもしれない。誰のせいでもないかもしれない。それでも、幼い子どもを置いて、先に逝ってしまった彼女のことを思うとしのびない。

麻央さんだって絶対に子どもの成長をもっともっと見たかったはず。私なんて、子どもがもうすぐ30歳になるにもかかわらず「孫も見たい」「ひ孫も見たい」などと思ってしまう。

「もしダンナに捨てられても、ママがいるからね」と子どもを見守り続けたいと思う。もっとも、娘にしたら「余計なお世話」らしい。

子どもを遺してあの世に行くのも嫌だけれど、子どもが先に逝くのも嫌。結局、人間なんてスーパーわがまま。そして、スーパーわがままでもいいから、お母さんには自分のことを後回しにしないで欲しい。それでも、人の命なんてわからない。寿命と健康なんて関係ない。何時何分何秒まで生きていいのか、神様しかわからない。

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事故で逝くかもしれないし、病気で逝くかもしれないし、嫌われても、憎まれても長生きするかもしれない。麻央さんだって、こんなに早く逝くなんて思っていなかっただろうし、私の友人の男性だって、奥さんがそんなに早く逝くなんて絶対に思っていなかったはず。

運命だと言われればそうかもしれない。でも、運命は変えられるかもしれない。そのためにも、お母さんに私は言いたい。

「自分のことを後回しにしないで」

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