「すきま」を作れば人生はより豊かになる

Photo by MARIA

「すきま」は「隙間」だけれど、ここではあえて「透き間」という漢字を使う。

はたらきながら子育てしていると、つい家のことは後回しになってしまう。かつての私もそうだったし、子育てが終わった今でもそう。当然のことながら家が散らかっていく。そして、なぜかモノだけが増える。気がつくと、自宅もオフィスもモノであふれかえって、探し物に時間を費やしていたりする。「こんなんじゃダメ」と何度も思うけれど、ちょっと片付けてもすぐ元に戻る。だから最近、整理収納アドバイザーを学ぶ主婦が多いのもわかる気がする。

整理収納は断捨離じゃない

そして、私のところに、整理収納アドバイサー資格を持った主婦が何人か「講師になりたい」と、講師の勉強に来ている。そんなメンバーのひとりのこの一言が私には刺さった。

「整理収納って『断捨離』じゃないんです。『透き間』を作ることだと私は、思っています。透き間ができたら、新しいものが入って来るんです。透き間ができたら、今まで見えなかったものが見えてくるんです」

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整理収納を学んで実現して「整理収納の良さを伝えたい」と講師を目指すメンバーは、必ずといっていいほどこう言う。

「整理するということは、要らないものと要るものを選択するということで、要るものだけに囲まれた空間は、予想以上に快適です。空間が快適になると、心も元気になるんです」

実際、彼女たちもかつてはモノにあふれ、散らかった家でイライラして子どもに当たったりしたこともあるという。でも、整理収納を学んで、家が片付いたら、心も穏やかになって子育てもうまくいくようになった。

そして、大切なのは「透き間」。新しいものが入る場所ができて、見えなかったものが見えるようになると、大切なものが見えるようになると言う。私は、この「透き間」という言葉がとっても気になった。そこから整理収納に興味を持った。

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人は、たいてい1人3000点ものモノを持っているらしい。これは、コンビニ1軒分。2人だと6000点。そして、だいたい1人1日1個モノが増えるらしい。となると、1年で365個。わが家の場合、夫と2人なので約700個、これが家族4人だと1400個のモノが増えるらしい。ということは10年で……。やっぱりモノがあふれて散らかるはず。数字をつきつけられると、なんだか恐ろしくなる。

1日10個、モノを減らそう

「このままでいいわけがない」。私の心のスイッチが入った。「じゃあ、1日10個、モノを減らすことにチャレンジしてみよう」。それなら1日15分もあればできるんじゃないだろうか。「3年かかってもいいから、快適な空間を手に入れよう」くらいの気持ちでチャレンジしてみよう。心に決めた。

1日10個捨てると決めたら、意外とあるわあるわ。10年以上も前にもらってきたホテルのシャンプーとリンス。賞味期限の切れた調味料。これから先、絶対に使うことはないはず。それどころか、いつ手に入れたのかもわからない海外旅行のお土産のチョコレートなんかも出てきた。

ありがちだけれど、「パジャマになるかも」と、取っておいたTシャツ。「痩せたら着よう」と、思っていたワンピース。「これ思い出の品だから」と、捨てられずに残してきた数々の小物。そして、山ほどの写真や郵便物。「ぜんぶ、持って死ねない」と自分に言い聞かせて処分した。処分して困ったものは今のところ何ひとつない。

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いかに要らないモノと生活していたかということを身に沁みて感じた。10日もすると、少しだけ「透き間」ができてきた。「透き間」ができると、部屋にいるのが、なんだか嬉しくなってきた。「やればできるじゃん」とちょっぴり自信もわいてくる。

そして、部屋でコーヒーを飲んでいてふと思った。「この『透き間』、人生にも必要だよなあ」と。私も心の透き間があったから行動してきた。寂しいから人を好きになる。不安だから勉強した。時間ができたから本を読んだ。そして、それらが自分の人生を豊かなものにしたり、自分を成長させたりした。

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「透き間」があるって、結構大切なことかもしれない。そして、あえて「透き間」を作って「ここを何で埋めよう」「この空間を大切にしよう」と思うことはもっと大切かもしれない。

ちなみに、旅館やホテルの部屋を快適と感じるのは、一部屋に置かれているモノが100点くらいに限られているかららしい。そして人は1000点もあれば充分な生活ができるという。とはいえ、私に1000点の生活はほど遠い。まだまだ道のりは長い。それでも「透き間」をつくる作業を楽しめそうな気がしている。

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