夫婦の役割分担はこうしてうまく回り始めた

Photo by MARIA

今年3月まで会社員だった夫は、4月から念願の教師生活(非常勤)へ転身をとげた。それと同時に、私たち夫婦の役割分担も変わった。具体的には、私は家庭の懐を支える役目を分け持つことになり、夫は“主夫”としての役割も担うことになった。

夫婦間での仕事や家事の分担は、「大変vs.大変」「忙しいvs.忙しい」の戦いになりがちで、折り合いをつけるのが難しい。けれど、お互いのやりたいことが明確になると、分担の“目的地”が明確になり、妥協点を見出しやすくなる。そして、分担を変えることで新しく生まれる関係もある。

会社勤めだったころの夫は、朝の6時に家を出て、日付が変わるころに帰宅する日々。平日に子どもが夫に会える時間はほとんどなかった。そのがんばりで夫が得た給与に、私たちの家庭は支えられていた。代わりに、子育てに学校行事、料理に家のこと……ごみ捨てを除いては、ほぼ全部私の仕事だった。

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転職後の夫は水曜と日曜が休みになり、仕事からの帰宅時間も格段に早くなった。そしてお給料も減った。生活を維持するには少し足りず、私も本格的に仕事に就いて収入を支えることになった。となれば、今までのように家事すべてを担当することはできない。こうして私と夫は、「夫:仕事/妻:子育て・家事」という分担から、「夫も妻も:仕事・子育て・家事」という分担に変わることになった。

「やりたいこと」のためなら

毎朝、私は7歳の二女の真心(まこ)を特別支援学校のスクールバスに乗るバス停まで送り、それから仕事へ向かう。新しく就いた仕事は、NPO法人Ubdobe(ウブドベ)の広報担当だ。「医療福祉エンターテインメントを通じてあらゆる人々の積極的社会参加を目指す」ことを掲げるウブドべのオフィスは、自宅から電車で1時間ほどの距離にある。そこで夕方まではたらく。夫は夕方で勤務を終えて真心を学校へ迎えに行き、帰宅して夕飯をつくる。

そんな新しい分担は、夫にとっては葛藤もあったに違いないけれど、念願だった教師の仕事を続けるための“手段”でもある。夫は快く受け入れてくれて、「主夫力を上げるよ」とがんばっている。私は私で、ウブドべの仕事をとおして、やりたいと思っていた活動により深くかかわることができるようになった。「やりたいことに向かって進むために、変化を受け入れる」。そう考えれば、お互いに妥協もしやすくなるかもしれない。

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夕食の準備を任されることになった夫は、毎日台所で奮闘している。とてもありがたいことだ。いままでほとんど家事をしてこなかった夫には、ご飯の炊き方から教えた。それでもなかなかうまくいかない。野菜の切れ端がつながって連なっていたり、固いブロッコリーが出てきたり、そんな日々が続く。ときには「大人なのに」とイラッとし、「何やってんの」とキツい言葉が口をついて出てしまうこともあった。

さらに気になるのは栄養のバランスだ。もともと、食べたいものを食べたいタイミングで食べていた人だ。炭水化物ばかりの食生活でも気にせず、せっかく私が栄養バランスを考えたおかずを用意しておいても手を付けていないということは何度もあった。そういう人が、栄養のバランスを考えて食事を作ってくれるだろうか。

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百歩譲って、大人はかまわない。でも、成長期の子どもの健康は大切だし、旬や味わいというものに触れてほしいという思いもある。子どものことがどうしても気になり、正直に言って、夫に食生活を100%委ねるのは怖かった。そこで私は、長女のゆとりにサポートを頼むことにした。

思わぬ相乗効果も

今年10歳になるゆとりは、2歳のときから料理に興味をもちはじめた。今でも気まぐれにつくる料理が好きで、彼女が作るものは夫よりもはるかにおいしい。とはいえ、子どもに家事を全部任せてしまうことはしたくない。

そこで彼女には、お味噌汁だけをつくる担当になってもらうことにした。「これだけ」とお願いすると相手もとっつきやすいし、「お味噌汁を1000回作ったらプロになれるよ」という言葉に彼女も乗り気になっている。作るか作らないかは気まぐれだけど(笑)。

その傍らで、夫も料理のことを勉強して、いろんな失敗をしながらがんばっている。すると、その姿を見たゆとりが、夫を手伝ってくれるようになった。結果的に彼女の負担が増えてしまうが、おかげでいま、夫とゆとりの関係がとてもいいものになっている。それは思わぬ“相乗効果”だった。

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以前のゆとりのスタンスは“ママ寄り”だった。ゆとりからすれば、会える時間も少なく、ママに「何やってんの」と厳しく言われるパパに、どこか距離を置く気持ちが生まれてしまっていたのだろう。私の醸し出すピリピリした視線や口やかましくする姿を、ゆとりが真似してしまっていたのだ。

でも今は、できないことでもがんばる夫に対して、ゆとりの中に「ほっとけない」気持ちが生まれている。そして、彼女は父を見守るようになり、2人の距離が近くなった。私はつい口を出してしまいがちだけど、そばでそっと見守ることってすごく大事なことだ。夫と子どもから、それを教わった。

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