お母さんだってハイヒールを履きたい

Photo by MARIA

20代のお母さんが、まだ1歳にならない赤ちゃんを抱いてカルチャースクールにやってきた。受付担当の年配の女性は、「赤ちゃん連れは困ります」と言った。泣き出すとほかのお客さんの迷惑になるかもしれない。そんな思いから出た言葉だったようだ。すると、その赤ちゃんを抱いたお母さんが言った。「ペットはダメだと規約に書いてあるけれど、赤ちゃんはダメだと書いていません」。その言葉に受付の女性はびっくりしたらしい。

そのカルチャーセンターのプロデューサーと話をした。「ペットと赤ちゃんは違いますよね」「これからは規約に、お子様連れはご遠慮くださいと書くべきかなあ」と悩んでいた。「今までそんなことなかったの?」と尋ねたら、今まではなかったらしい。思わず突っ込んだ。「20代の女性が来たいと思うセミナーがなかっただけじゃない?」「確かに、そうかもしれない」。

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いろいろ尋ねると、それは若い女性に人気のメイクの先生のセミナーだったらしい。普段は、新聞の折り込みを見て来るお客さんがほとんどだけれど、赤ちゃんを連れてきた女性は、そのメイクの先生のSNSで知って参加したらしい。実際、メイクの先生は、赤ちゃんが泣いても気にしていなかったらしい。

私のセミナーでもときどき、赤ちゃんを連れて来る人はいる。赤ちゃんが泣くこともある。そんな時、いちばんつらいのはお母さん自身かもしれない。わが社のスタッフは、「わたしが外でみてましょうか」と、声をかけたりしている。その話をすると、「そんなこと、考えてなかったわ。そんなこともこれから考えなきゃならないんですね」と、そのプロデューサーは言った。「だってこれから先、若い子にも来てもらいたいでしょ」と、またまた私はツッコミを入れた。

転んだら危ないのに

また別の日、20代のお母さんからこんなことを聞いた。「会社に行くのにハイヒールを履いて、子どもを抱いていたら、近所の年配の女性に怒られたんです」。彼女によると、近所の年配の女性に、「転んだら危ないのに今の若いお母さんは、そんなこともわからないのかしら」と、聞こえるように言われたらしい。

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「私だって、そのくらいわかっているわよ。でも、子どもを預けたらきちんとした格好で会社に行きたいじゃないですか。子どもを産んで所帯染みた女性になるなんて嫌です」。赤ちゃんができても、メイクもしたいし、メイクも習いたい。おしゃれもしたいし、ハイヒールも履きたい。所帯染みたくない。その気持ちもわかるし、それを見てハラハラする人たちの気持ちもわかる。

かつての私もそうだった。夜の仕事や出張も含めて子どもを理由にいろんなことをあきらめるなんてことはしたくなかった。そんな私に周囲の人は、「子どもが小さい時くらいあきらめなさい」などと簡単に言った。あきらめられないからつらいのに。

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こうなると自己責任しかない。ハイヒールを履く彼女もメイク講座に赤ちゃんを連れてきた彼女も、きっとどこかで覚悟していると思う。そんな彼女たちを少し応援してあげたい気持ちが半分と、「年を取るとハラハラしてしまうものなんだよ」と、注意した人たちを弁護したい自分が半分。もっとも、50歳過ぎたら、ヒールもメイクも面倒くさくなる。「どうせ誰も見てないし」と、開き直る。これも女として問題かな(笑)

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