子どもは敏感!お母さんの不安はすぐに伝わる

「コーチ」は「ティーチ」と違う。コーチングする時は、相手の悩みをただ聴いて、質問して、本人が答えを出すのを待つ。ただし、人生の先輩としてアドバイスはする。これまでたくさんの人たちのコーチングをしてきた。

お母さんたちの悩みの一つに職場復帰がある。「ずっと家にいたから、ちゃんと子どもが保育所に行ってくれるかなあ」など子どもを心配してのものから、「3年もブランクがあるけどちゃんと仕事ができるかなあ」など実務を心配してのものなど、こちらもさまざま。

そして、子どもは敏感。お母さんの緊張が子どもに伝わったりもする。保育所に行くのを嫌がって泣いたり、職場復帰した日から子どもが高熱を出して呼び出されたり。

先日も「職場復帰する前後に、大谷さんのコーチングを受けたい」という女性がいた。彼女は、3人のお母さん。妊娠、出産、職場復帰を繰り返してきた。本人は「3人も子どもがいて、末っ子はまだ2歳。正直、仕事を辞めようかなあ」と思っていたらしい。ところが、上司に「一日も早く戻ってきてほしい」と懇願された。

彼女はもともと、その上司の片腕に近い存在だった。その上司も上司で、若い世代となかなかうまくいかず、この求人難の時代に代わりを探すこともできなかったという。あてにされるというのは、やっぱり嬉しい。3人目の子どもを保育所に預けて、職場に復帰することにした。しかも、部下のマネジメントを任される立場だ。

「ブランクがあるのに、いきなり6人の上司なんです。でも、ずっとお世話になった上司なので、やっぱり期待に応えたいです」。復帰前の彼女は明るく、モチベーションも高かった。そして私も、前向きに職場の未来を語る彼女にエールを送った。

久しぶりの職場。しかも上司には期待され、部下もいる。心は前向きでも「突然、私が上司になって、ほかのメンバーは納得してくれるのかなあ」「今の時代、スピードが速いから、わからないこともいっぱい出てくるような気がします」と、不安と緊張を抱えての職場復帰だ。

そんなお母さんの不安と緊張を子どもは察したのか、やっぱりいきなり熱を出した。職場復帰してすぐに早退。休みを取る羽目になった。それだけではない。保育所に行くのを嫌がって泣く。彼女は、焦りとイライラでブルーになった。子どもは追い打ちをかけるように、また熱を出す。

「やっぱり私のせいかなあ」。職場復帰後のコーチングでは、かなり落ち込んでいた。彼女の話を聴いて質問してみた。

「なんで、そう思うの?」
「やっぱり、自分が不安だからイライラしているような気がする」
「それだけ?」
「なんだか子どもに申し訳なく感じていて、後ろめたい気がする」

職場復帰する時にこの感情を持つお母さんは意外と多い。そして、子どもなりに「お母さんは、仕事に行きたくないんじゃないか」と感じて、熱を出したり、ぐずったりする場合が結構あった。

「ところで、今日、子どもはどうしたの?」
「保育所です」
「熱、出さなかったの?」
「そういえば、今日は大谷さんのコーチングの日だと思って、私がウキウキしていたからかなあ。子どももごきげんでした」
「じゃあ、仕事の時はウキウキしていないんだ」
「不安と緊張の固まりかも」
「職場復帰、後悔している?」
「そんなことないです。やっぱり、あてにされてうれしいです。そして、メンバーもすごくいいです」

そんな話をしながら、彼女は気付いた。「もっと、楽しそうに職場に行きます」「そういえば、1人目の時も2人目の時も、私が不安な時は、子どもはよく熱を出していました」そんな言葉が返ってきた。

子どもは本当に敏感。お母さんの心をキャッチして、こちらを困らせるような行動や状況をつくる。だから、お母さんの笑顔とごきげんがとっても大切。そんなお手伝いができたら私はうれしい。

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