はたらいているからこそ濃密な“家族時間”

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

Photo by Koichi Imai

ハレタルの“顔”としても活動してくださっている料理研究家の和田明日香さんと、株式会社ブラウンシュガーファースト代表取締役の荻野みどりさんによる対談の2回目。短い時間でも濃密な家族時間を過ごすコツについておしゃべりしていただきました。

◇荻野◇
5歳の娘は、週に3~4日、私に手紙を書いてくれるんです。私や自分の似顔絵の横に「だいすきだよ、こんどおりがみおしえてね」なんて書いてある。

◆和田◆
かわいい……。

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

和田明日香さん Photo by Koichi Imai

◇荻野◇
ものすごい宝物ですね。手帳に挟んだり、出張のときに持って行ったりして、「よし頑張るぞ」と自分を励ます。

知らない時間に“恋”をする

◇荻野◇
私はそんなにキャパシティは多くないので、仕事の時間がなくて、子どもと過ごす時間が100%だときっと“イライラママ”だと思うんですよね。

◆和田◆
そうだよ、みんなそうだよ。

◇荻野◇
娘には「ママは本当に怒らない」と言われていて。それは仕事に情熱も時間も傾けているぶん、娘といる時間は娘の話をできるだけ聞きたいから、怒ることがない。娘がグズグズしていたとしてもその理由を聞きたい(笑)

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

荻野みどりさん Photo by Koichi Imai

◆和田◆
私も仕事を始めてから、子どもの話を聞きたくなった。彼らが保育園にいた時間は、私の知らない時間だから。「今日は何があったの? どこにお散歩に行ったの? 朝なかったすり傷はどこで付けてきたの?」って。どんなことでもいいから、相手のことを知りたい気持ち。恋と一緒ですね。

子どもたちが一生懸命に思い出そう、自分の気持ちを説明しようとしているのがかわいいし、「あ~、はいはい」じゃなくて、「わかった、わかった」って、じっくり話を聞くようになりましたね。きっとこの余裕は仕事をしているから出てくるのかなって思います。

2歳でも話せばわかる

◇荻野◇
仕事を始めた当初は、「お母さんとして、100%自分がやらなきゃ」という思い込みがあったんです。母が専業主婦だったこともあって、自分の中に“理想の母”像があって。でもだんだん考えが変わって、今は「みんなで育てればいいじゃん」って思っています。仕事の時間は離れているぶん、娘と一緒にいる時間はギューッて抱きしめたり、チュッチュし過ぎて「やめて」と言われるくらいくっついたりしています(笑)

出張に行くときはしっかりと説明します。「お母さんはこのためにここに行くんだよ」「会社ではたらいてくれる人も、こうやって作った商品があって生活しているんだよ」って。意外とわかるんですよね、子どもって。2歳、3歳であってもきちんと聞いてくれる。

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

Photo by Koichi Imai

◆和田◆
そうなんだよね。きちんと話すと、「あ、マジだなママ」ってわかってくれる。

◇荻野◇
そうやって短い時間でもコミュニケーションを大事にしていれば、母親が仕事で忙しくしていても子どもは理解してくれると思う。

◆和田◆
子どもといる時間が長かったとしても、何かにつけて「子どものせいで自分の時間がない」と漏らしていたかもしれない。仕事を始めてから、一緒にいる時間が大事だと改めて気づけました。仕事でさみしい思いをさせてしまうときも、「お仕事でこんな面白い話を聞いてきて、ママこう思ったんだ」と子どもたちに伝えるようにしています。

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

Photo by Koichi Imai

それに、子どもたちは子どもたちで保育園での生活を楽しんでいるんだよね。入園したての頃は「ちゃんと泣かないで待っていられるんだ」というちょっとした感動があったけれど、今は逆。子どもに「なんだもう来たの」と言われて、遊びが一段落するのを待たされることすらある(笑)

◇荻野◇
本当にそう。親は「時間だ急げー」ってワチャワチャしてます。うちの園は規定の時間を1分過ぎたら500円の延長料がかかるので(笑)。

食にかかわる仕事をしているお二人は、食事の時間も家族であることを確認できる、短くて濃い時間として大切にしているそうです。

◇荻野◇
大事にしています。朝ご飯は和食だったりパンケーキだったりと手作りが多いけど、余裕がないときは娘を連れて近くのグッドモーニングカフェなんかにさっと行きますね。夜は「何がいい?」って娘に聞いて、揚げ物以外ならなるべくリクエストに応える。外食するときは、オーナーさんの顔が見える店に行くことが多いですね。外食することは店の応援になるし、私の心の余裕を買う意味もある。

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

Photo by MARIA

◆和田◆
うちは、週末の夜ご飯は外食だけれど、それ以外の平日とか日曜日の夜は、みそ汁を作ってご飯を炊いて、おかずもできるだけ作る。お皿にドンと盛って、「バランスを考えながら食べたいものを取ろう」とか「この料理には何が入っているでしょう」なんて会話しながら。結局子どもたち3人が騒いで私の話なんて誰も聞いてないことも多いのだけど(笑)、それでもホッとしますね。家族や友達がテーブルに座って、私のご飯を食べているという光景に。

◇荻野◇
お母さんになったら、食べることが“自分ごと”になる人が多いんじゃないかな。自分が与えたもので一人の人間ができあがっていくというダイナミックさを感じますよね。

和田明日香,ビビット,荻野みどり,ブラウンシュガーファースト

Photo by Koichi Imai

◆和田◆
この間、いちばん上の娘の歯が抜けたときに、すごいと思ったんです。乳歯は私のおなかの中で作った何かや私の母乳で作られたのかもしれない。でも乳歯が抜けて次に生えてくるものは、この子が自分で消化した食べ物の力で生やした歯なんだ、と。“この子が始まっている”と思うともう気が抜けないなあと思って。

◇荻野◇
歯一本だけれど、それってすごいことだよね。

対談の最終回は、5月上旬の掲載を予定しています。
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