苦手な人がなくなるコミュニケーションの方程式

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4月は新しい部署に配属されたり、子どものクラス替えがあったり、何かと新しい出会いがある時期。初対面は誰でも警戒してしまい、なんとなく苦手意識を感じる相手に出会ってしまうこともある。
どうしたら、苦手な人を作らず、ストレスのない人間関係を築くことができるのか。話し方やコミュニケーションなどについて独自のメソッドで多くの企業研修を行っている野村絵理奈さんが、日々のコミュニケーションが断然ラクになるちょっとしたコツを教えてくれた。

苦手は思い込みから

人は、自分の経験や価値観をベースに“思い込み”で生きているものです。たとえば、ある映画について「奥が深くてとてもおもしろい」と評する人もいれば、「アクションやどんでん返しが少なくてつまらない」という人もいるでしょう。

ただ、映画や食べ物などと同じように自分勝手に判断できないのが生身の人間です。社会人である以上、人とのお付き合いは欠かせません。「ちょっと苦手だな」「なんとなく嫌な感じの人」と思っても、避けることのできないお付き合いだってあるはずです。

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もし、苦手と感じる人がいたら「どこが苦手なんだろう」と分析してみてください。分析の結果、苦手なのは「あの人は目つきが悪くて、なんだか怒っているみたいで怖い点」だとわかったとすると、あなたの苦手意識は「目つきが悪い」という客観的事実と、「怒っているみたいで怖い」という主観に分けることができます。

主観とは、先に書いた映画の例と同じく、自分の価値観をベースにした見方、つまり“思い込み”であり、客観的事実ではありません。その人が「いつも怒っていて怖い人」というのは真実ではない可能性があるのです。

また、客観的事実といってもそこに主観が含まれている場合もあります。あなたには「目つきが悪い」と見えたとしても、ほかの人から見たら「つぶらな瞳でかわいい」と見えているかもしれません。

自分の思い込みだけで人の「好き」「嫌い」を判断することの多い人は、それだけでどっと疲れてしまいます。自分中心の価値観に相手を当てはめようとするよりは、「好き嫌いは、私のわがままなんだ」くらいに捉えたほうが、受け止め方が楽になります。

合わないのは「性格」ではない

具体的に嫌いな部分がなくても、なんとなく性格が合わないと感じる場合もあるでしょう。引っ込み思案で口数の少ない人が、初対面でどんどんプライベートな情報を聞き出そうとするおしゃべりな人を「合わない」と感じる場合などがそうです。

こんな時、早々に「この人とは合わない」と決めつけて避けてしまうのは、もったいない気がします。その人をよく知っていけば、とても気の合う相手かもしれません。初対面では仲良くなれないと思っていた相手が、気づいたら無二の親友になったなんていう話はよく聞くものです。

「合わないな」と感じたら、まず何が「合わない」のか具体的に考えてみるのがポイントです。

「おしゃべりなタイプで、誰彼構わずプライベートな話題を出してくる」という相手であれば、もっと具体的に「早口で話がとぎれない」とか「個人名を出してうわさをしている」とか、ブレークダウンしてみるのです。

すると、その人の性格全体が「合わない」というよりは、コミュニケーションにおける表現方法が合わないということだとわかります。声のスピードやトーン、言葉の多さ、使う言葉の種類など、対面して話すときの表現の仕方が自分と相手で異なるということはよくあります。

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相手に改善してほしい点であれば、上手に伝えてみてもいいですし、どうしても嫌なら、たとえば対面ではなくてメールで連絡を取り合うなど、「合わない」部分だけ触れないような距離感で付き合えばいいと思います。

相手の悪い点は自分にもある

性格占いなどを見ていると、誰もが当てはまりそうな要素がずらっと並んでいると思いませんか。「新しい事が好きで、友達付き合いも上手だが、警戒心が強く、いったん合わないと感じた相手とは心を閉ざしてしまう」とか。

新しい事が好き、友達が好き、警戒心が強い、などの要素は、強いか弱いかの差はあっても、ほぼすべての人が持っていると私は思います。だから「嫌い」だと思う相手の「嫌い」な部分は、実は自分も持っていると考えられます。人のことを悪く言っていると、どこか別のところで「あの人だってそうなのに」と言われる可能性があるということなのです。

相手の嫌な点を見つけたら、自分にもそういう部分がないか考えてみてください。「お互いさまだな」と納得できるかもしれません。

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もし、自分にはそういう部分はないと断言できるなら、試しにそういった要素をまねしてみてください。そうすると、凝り固まったあなた自身の価値観が緩んで、人間関係がよりラクになるかもしれません。

悪口の変換力をつける

人に対して「嫌だな」と思う点はほとんどが“思い込み”によるものであり、そういった要素が実は自分自身にもあるということがわかったら、次は、「嫌だな」と思うところを、好きなところにしてしまう練習をしましょう。題して、「悪口変換ゲーム」です。

物事は表裏一体です。一見悪いことに思えても、実は反対の見方もできるのです。たとえば、「私の下腹についたお肉が嫌い」でも、「2人の子を産んだ勲章で、愛着がある」かもしれませんし、「日曜日の夫はゴロゴロ寝てばかりで嫌い」でも「平日は毎日残業して頑張ってくれているもんね」と思えるあなたもいるでしょう。嫌いなところも自分の見方次第で好きなところになりうるのです。

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仕事も人間関係もストレスが少ない人はたいていこんなポジティブシンキングをしています。「悪口」が出てきそうになったら、「良(よい)口(くち)」に変えるクセをつけてみてください。

客観的な分析が大事

自分の価値観を相手に合わせて変えることは難しいものですが、異なる価値観を受け入れることはできます。そのために大切なことは客観的に分析すること。自分の思い込みと相手の課題をきちんと分けることができれば、苦手な人に振り回されない生き方ができるはずです。

【苦手な人をなくす方程式】

  • 苦手と感じるのは自分の思い込みから
  • 相手の苦手な点は具体的に分析しよう
  • 相手の悪い点は実は自分も持っている
  • 悪口の変換力をつけよう
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