夫の家事はなぜ妻をイライラさせるのか

Photo by MARIA

余計な仕事を増やしたり、今やらなくていいことを一生懸命やったり……。夫が家事をやってくれるのはよいのだけれど、要領が悪くてついイラッとしてしまうのは、誰にでもあること。

すみません。筆者(男)も、日夜、妻をイラッとさせている夫の一人。

ただ、夫たちの言い分を代弁すると、「ダメなところを直したいけど、なぜ怒られているのかがわからなくて、直せない」ということも。このすれ違いはなぜ起こるのだろう。

Photo by MARIA

「それは、夫が『家事とは何か』をよくわかっていないから。だから、なぜ怒られているかわからず、同じことを繰り返すのです」

こう話すのは、中村シュフさん。2人の娘を育てながら、家事を一手に引き受ける「主夫芸人」で、大学の家政学科を卒業した家事のエキスパートだ。

シュフさんがなぜ「主夫」なのかは前回のコラムに掲載したとおりだが、主婦の視点と夫の視点を合わせ持つのがシュフさんの強み。いったい夫は家事の何をわかっていないのか?

「それは『家事には流れがある』ということです。普段、家事をやらない“非シュフ”な夫のほとんどは、まず、これをわかっていないと思います」

夫は「流れ」をぶち壊す

家事の流れとは、大きく分けて二つある。

一つは、家事一つひとつの流れ。たとえば料理の場合、「冷蔵庫を開けて食品在庫をチェック」→「献立を決める」→「必要があれば買い出し」→「調理」→「家族で楽しく食べる」→「洗い物・ゴミ処理などの後片付け」→「明日のための冷蔵庫チェック」という流れがある。「主婦の人はこの一連の作業を無意識に行っているはずです」(シュフさん)。

もう一つは、1日の家事の流れ。料理、洗濯、掃除、買い物……。1日にやらなければならない家事はたくさんある。

「すべてを効率よく終わらせるために、主婦はいつも決まった流れ、いわば段取りがあるはず。子どもの発熱や突然の降雪など、イレギュラーな出来事があってもうまく調整して、家事を済ませていくわけです。そういう家事の“グランドデザイン”が、主婦の仕事の醍醐味であるともいえます」

Photo by MARIA

ところが、夫の多くはこの「家事の流れ」がわかっていない。だから、流れをぶち壊すようなことをするのだという。

たとえば、妻が料理をしていると、急に「手伝う」といって、フライパンで好き勝手に焼いてみたり、妙に味付けにこだわったりし始める。「男性はとにかく派手な家事、略して“ハデカジ”をやりたがりますが、そのせいで料理の流れが壊され、スムーズに進められなくなる。当然、『もう余計なことしなくていいから!』と言いたくなります」(シュフさん)。

また、1日の流れも崩してしまう。「料理に集中するために、子どもの面倒を見ていてほしいのに、延々とトイレ掃除をしている」「お湯で食器を洗っている最中に、給湯を切り替えてお風呂を沸かし始める」などは、その典型だ。

Photo by MARIA

「これでは終わるものも終わりません。妻としては『今はそれをやらなくていいから!』と言いたくなりますが、夫側は『なんだよ、せっかくやっているのに!』と反発してしまう」

家事にもリーダーが必要

夫が余計なことをしたり、やらなくていいことをしたりするのは、「家事には流れがあること」がわかっていないから。逆に言えば、そのことを伝えれば、夫も流れをぶち壊すような行動をしなくなる。

「そのためには、面倒だと思いますが妻が『非シュフ』な夫に『家事の流れ』を根気よく伝えるしかありません」

家事の流れをそのまま伝える手もあるけど、最初のうちは面倒でも、たとえば「いつもありがとう。今から食器洗いをさせてほしいんだけど、やり方にポイントとかある?」などと聞いてもらって、細かく指示していくとよい。

「どんなプロジェクトでも全員が対等な関係だと、勝手なことをやり始めてうまくいかない。全体を指揮するリーダーが必要です。家事というプロジェクトも同様で、家事の流れを考えている妻がリーダーとして采配したほうがうまくいくものです」

妻が指示するメリットはもう一つある。それは、多くの“非シュフな夫”が理解していない「家事の範囲の広さ」を伝えられることだ。料理・洗濯・掃除はもちろん、子どもの予防接種や保育園で使う道具の用意、野菜を送ってくれた義母へのお礼なども、広い意味での「家事」といえる。

家事のエキスパートでもある中村シュフさん

「さらに言えば、トイレに“座って”用を足すことや、仏頂面で帰ってきて家の中の雰囲気を悪くしないことも、『家事の流れを乱さない』という意味では、立派な家事。そうしたことを伝えていけば、家の中のことを広い目でとらえられるようになるものです」

たったこれだけのことでも、夫の家事に対するイライラは減るはずだと、シュフさんは言う。ぜひお試しを! 筆者も、仏頂面で帰らないことから始めてみたい。

  • この記事をシェア
トップへ戻る