相手を傷つけずに「イヤだ」と伝えるには

Photo by MARIA

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ある日の午後、私はリビングで横になっていた。その日は調子が悪くて、起き上がるのもつらい。安静にしていようと、体を休めることにした。

しばらく経つと、小学校に通う長女のゆとりが帰ってきた。「ただいま」「おかえり」の後、こう切り出された。「今日、友達とうちで遊ぶ約束をしたんだけど、連れて来ていい?」。

いつもなら気軽に「いいよ」と返すところ。でも友達が来れば、多少にしても騒ぐ声や音がする。2階の子ども部屋で遊ぶにしろ、1階のリビングに響いてきたらつらい。それにジュースやおやつを出しに行くのも、今日はとてもできそうにない。

こんなとき、どうしたらいいだろう?

どちらかが犠牲になる?

体調が悪いときに、子どもたちが家で遊んでいたらつらい。だからといって、単にイヤだとかダメだとか突っぱねるのは、ゆとりの気持ちを不必要に傷つけることになりかねないし、何だか大人げない。

もちろん、うちで遊ばせてあげたいという気持ちもある。子どもがお友達を連れて遊びに来るなんて親としてうれしいこと。人によっては、自分の体調の悪さを抑え込んで「子どもが遊びたがっているんだから、そうさせてあげなきゃ」と思うかもしれない。

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でも、自分の「つらい、イヤだ」という気持ちを無視して「いいよ」と答えても、結局、お互いにとってよくない結果になる。子どもたちがやって来て、自分がいるリビングにまで声や音が響いてくれば、それを我慢しなければならない。つらい体を無理に動かしてお菓子やジュースを出しに行けば、体調が悪化するかもしれない。

すると、ストレスを感じたり、イライラが募ることになる。それがひどくなると、相手のことを「自分の都合ばかり優先させる」「自分勝手」と感じるようになってしまうこともある。

「行動」にどう感じるか

こんなときは、「相手自身」と「相手の行動」を切り離して、行動だけを考えたほうがいい。そして、相手の行動についてどう感じるのかを、一つひとつ自分に正直に問いかけてみる。

たとえば、「友達を家に連れてくる」こと自体は「イヤじゃない」。でも自分の体調が悪いときに「騒がれる」のは「イヤ」、「おやつを持って行く」のも「イヤ」。こんなふうに、相手の行動に対して「イヤ」か「イヤじゃない」かを分けてみるのだ。

自分の中で整理がつくと、相手の行動にイヤと感じていたのであって、相手自身にネガティブな気持ちを持っていたのではないこともわかる。

「イヤだ」という気持ちに振り回されて、相手に「自分勝手な人」とレッテルを貼っても、何も解決しない。それだけじゃなく、それから先ずっと、その人を「自分勝手な人」という色眼鏡で見ることになってしまうかもしれない。でも相手ではなく、行動一つひとつに対する感じ方を考えれば、解決方法も見えてくるし、色眼鏡で見なくてすむ。

相手に伝えるときのコツ

イヤだと感じる行動がわかったら、イヤだと思わなくてもいいように、相手にアプローチする。

でも、さっきも書いたとおり、単にイヤとかダメとか言うのはいい伝え方ではない。ではどうやって伝えたらいいだろう?

そのコツは「行動」「影響」「感情」の3つを入れること。

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私はゆとりに、こんなふうに伝えた。「お友達を家に連れてきて遊ぶと、今日ママは具合が悪いから音や声が響いたりおやつを出したりするのはつらいから、困る」。

「お友達を家に連れてきて遊ぶ」が行動、「音や声が響いたりおやつを出したりするのはつらい」が影響、「困る」が感情。最終的に「困る」という言葉が入るけれど、何がどうして困るのかがわかるから、相手も納得しやすい。

相手に選択肢が生まれる

行動・影響・感情の3つを交えて伝えることには、もう一ついいことがある。それは、相手に選択肢が生まれるということだ。

「イヤ」と言うだけだと、相手はあきらめることしかできない。でも何がどうしてイヤなのかがわかると、それを避けるためにはどうしたらいいのかを考える余地が生まれる。

私からの返事を聞いたゆとりは、「音や声が響いたりおやつを出したりするのはつらい」という影響の部分を変えようと、「ぜったいに大人しくするし、おやつも自分で用意する」と提案してくれた。それで私も、イヤイヤじゃなく「いいよ」と言ってあげることができた。

私が我慢して「いいよ」と受け入れたり「イヤ」と断るよりも、ずっと前向きで、お互いにとっていい解決方法を見つけることができた。

長女のゆとりと二女の真心

長女のゆとりと二女の真心

誰かの行動に対して「イヤだ」と思ったら、一度立ち止まって、相手の行動の何をイヤと感じているかを考えてみる。そうしたらきっと、色眼鏡とは無縁でいられるし、誰にとってもいちばんいい答えが見つかるはずだ。

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