秋は体が「老化」する!? 内臓の冷えにご用心

Photo by Koichi Imai

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秋は老化の季節だから気を付けて―ー。そんなドキッとする話をするのは、漢方養生学の専門家、小野満幹彦さん。暑苦しかった夏が終わり、ようやく過ごしやすくなった、と喜んでいる人が多いはず。けれど肌で感じる体感的な心地よさと、体が受ける影響は別のものと考えたほうがいいらしい。

まずポイントとなるのは体温。私たちの体温は、いつも36.5度ぐらいに維持されている。夏の暑さは不快だけれど、無理なく体温をキープできていたので「体にとってはよい季節だったんですよ」と小野満さん。

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一方の秋は涼しくなるにつれ、体は体温を保つために頑張って代謝を上げなければいけない。代謝を上げるには酸素を使うので酸化が進み、実はとても老化する季節なのだそうだ。

それに、すがすがしい秋晴れの日は心地よい反面、空気が乾いている。体の中では特に肺が乾燥の影響を受けやすく、咳が出やすいので注意が必要。もちろん肌にとっても乾燥は大敵だ。

日中も温かい食べ物を

「特に注意したいのは、夏のうちに冷房の空間で長い時間を過ごし、肉などをたくさん食べていた人です」。そう小野満さんから指摘され、ギクッとした。冷房の寒さに対応したり、肉を消化したりするには代謝を上げる必要があるので、本来なら体が休息できていたはずの夏にも、体が休まっていない。そのツケが夏バテという形で現れ、秋になった途端、どっと疲れが出て風邪をひきやすくなるという。

Photo by MARIA

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また9~10月は気温の変動も大きく、日中は夏のように暑い日もある。汗をかくと毛穴が緩んで冷えが体内に入りやすくなるため、冷たいものを口にしたり、夜間に涼しかったりすると、内臓はいつも以上に冷たくなってしまう。「とにかく温かいものを食べること。日中、暑いと感じる日でも、冷たい飲み物や食べ物は避けるべきです。いまの時期に内臓を冷やしてしまうと、いい状態で冬を迎えられませんよ」(小野満さん)。

体温の面からすると、寒い冬は体にとって過酷な季節。その冬を乗り切るため、秋にしっかり養生して体のコンディションを整えておく必要があるのだという。秋の養生がうまくいかないと、免疫力が下がってウイルスに感染しやすくなるらしい。もちろん風邪もひきやすくなる。

夏に不養生したなら運動

夏に不養生した人も、頑張って養生すれば体の状態を“修復”できる。修復に必要なのは運動だ。夏に食べすぎて蓄えてしまった脂肪など余分なものをそぎ落とし、体をクリーンな状態にする。晩秋の11月ごろ、さまざまな食べ物をおいしく食べて、体に栄養を行き渡らせるようにする準備のひとつでもある。

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「実りの秋の恵みを、万全な状態で体内に取り入れることができれば、すべて自分の身になり、パワーになります。パワーとは、体温を36.5度に維持する力のこと。それができれば、寒い冬でも元気に過ごせるんです」(小野満さん)

運動するなら、少し「しんどい」と感じるぐらいのジョギングや速足でのウォーキング、縄跳びなどがお勧め。基礎代謝だけでは間に合わないので、運動をして代謝量を増やし、体温を上げることが秋の養生のポイントになる。

キノコや豆腐、豆乳がいい

秋の始まりは食べすぎず、体を整えることを意識する。お勧めは、キノコや豆類、海藻。豆類は、栄養価が高くて、体に潤いを与えてくれる豆腐や豆乳など大豆製品がいい。

晩秋から冬に向かっていく頃は、食べ物がなんでもおいしく感じられる時期。キノコや果物など秋の味覚を取り入れながら、バランスの良い食事をすることが、冬の乾燥と寒さに耐えられる体を作ることにつながる。秋から冬にかけては栄養を蓄えるため、肉、魚、野菜がしっかり食べられる鍋料理がお勧めだ。

Photo by MARIA

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食材は体を温め、潤いをもたらすものを意識して選ぶ。組み合わせるとさらにいい。たとえば、脂の乗ったサンマを焼いて食べるときには、大根おろしと一緒に食べると効果的だ。また、乾燥でダメージを受けやすい肺を潤すには、野菜ではユリ根や白きくらげ、山芋。果物ならミカンや梨、柿がいい。

読書の秋、芸術の秋でもあるけれど、悲しくなるもの、暗い気持ちになるようなことは避けたほうがいいそうだ。冬に向かって日没は早くなり、自然と「気」は下がりがち。小野満さんは「落ち込まないためには、動くこと」と言い、仲間と楽しくバーベキューをする、秋祭りに参加するなど、ワイワイ楽しい時間を過ごすのがよさそうだ。

都会で生活しているなら、休日は秋の自然に親しむといい。フルーツ狩りや酒蔵見学など、実りの秋を実感できる体験をすれば、人間の体は本能的に秋を意識できるようになる。

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日本には四季があるため、私たち日本人にはもともと、秋冬で老化した体を、春夏で戻す、というサイクルが自然にできていたそうだ。「四季の意味を知ること、それが養生なんです」という小野満さんの話は、やはりスッと心に入ってくる。

漢方養生学について学べば、涼しくて心地よい秋は、乾燥していて老化を招く厳しい季節でもあることに気づく。だから秋の養生は「冷えと乾燥」への対策が大切。このことをしっかり頭にインプットして、心身ともに心地よい秋を楽しみたい。

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