女性の悩みを救う“すごい”イソフラボン

Photo by Koichi Imai

Photo by Koichi Imai

安野モヨコ原作のマンガで、ドラマ化もされた『働きマン』(講談社刊/日本テレビ系列、菅野美穂主演)。その作中で、主人公が「大豆イソフラボンが女性ホルモンのはたらきをしてくれるから」と納豆巻きを食べているのに影響され、私がコンビニの納豆巻きばかり食べていたのは、もう10年以上も前のこと。

今では「大豆イソフラボン=女性ホルモンのような働きをするもの(エストロゲン様作用)」というのは、広く認知されている。

しかし「大豆イソフラボン」より、もっとすごい「スーパーイソフラボン」があるらしい。しかも、それは日本人の2人に1人しか体内で作ることができないという。

エクオールは「スーパーサイヤ人」

「長年大豆の研究をする中で、イソフラボンを使った試験を行っても、効果があったり、なかったり、一貫した結果が得られなかったんです。それで突き止めたのが、大豆イソフラボンの代謝物であるエクオールでした」と話してくれたのは、大塚製薬で「女性の健康推進プロジェクト」を推し進める土屋美沙生さん。

女性ホルモンが激減する更年期の女性で実験したところ、更年期症状が重い人と軽い人は、大豆イソフラボンでは差がなかったが、エクオールを産生できるかできないかに違いがあったという。そう。この「エクオール」こそ、スーパーイソフラボンなのだ。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

エクオールは、大豆イソフラボンの一つであるダイジンが、腸内細菌により作られる化合物。日本人でエクオールを作れるのは2人に1人。20〜30代など若い世代では4~5人に1人ほどしか作れないのだそう。日本や中国、台湾などアジアでは半分の人がエクオールを作れるのに対し、欧米人は20〜30%にとどまる。はっきりとはわかっていないが、食習慣によるものと推測されている。

といっても、「大豆イソフラボン」と「エクオール」は、ともに女性ホルモンと似た働きをする。違いは「『ドラゴンボール』で悟空(大豆イソフラボン)がスーパーサイヤ人(エクオール)になるようなもの」だという。

「体内には女性ホルモン受容体があるのですが、女性ホルモンと同じように大豆イソフラボンやエクオールもその受容体に入ります。それは分子構造がよく似ているから。大豆イソフラボンよりもエクオールのほうが、より女性ホルモンの一つであるエストロゲンの構造に似ているため、高い効果が得られるのです」(土屋さん)

更年期や肩こりに効果

「大豆イソフラボンとエクオールは、約5〜7倍、効果に違いがあるといわれています」と教えてくれたのは、名古屋大学のベンチャー企業、ヘルスケアシステムズの平岡正寛さん。

現在、体内でエクオールが作られているかどうかを調べるには、ヘルスケアシステムズの「ソイキット」で採尿して検査してもらうか、一部の病院で検査をするしかない。

「ソイキット」が誕生したのは2013年4月。初年度の検査人数は200人だったが、翌年は1000人、15年には1万人を突破した。16年8月現在で延べ8万人弱になった。

なんと3年で400倍。検査する人の9割は女性で、いちばん多いのは更年期世代だが、美容を気にする20~30代も増えてきているという。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

エクオールは、女性ホルモンが急に減ってしまう更年期症状を中心に効果が認められているが、月経前症候群(PMS)や乳がん予防との関係性も確認され、現在研究が進められているところ。

エクオールはエストロゲンと同じはたらきをする一方で、「抗エストロゲン作用」もある。つまり、過剰にエストロゲンが分泌されている場合は、それを抑えるという真逆のはたらきもしてくれるというのだ。新たな研究に期待したい。

ほかには、「首・肩こりの低減」「骨密度減少の抑制」「シワ面積と深さの緩和」「体脂肪」など、女性の体や悩みと切っても切り離せないものばかり。肩こりへの効果については、エクオールによる抗酸化作用で血流改善したことなど、複合的な要因が考えらるという。

まずは必要量の大豆から

では、この「エクオール」、どのような人が作ることができるのだろう。

「エクオール産生については遺伝性は特になく、詳しいことはわかっていないんです。腸内環境は4、5歳くらいの幼少期で決まるといわれているので、今作ることができない人が作れるようになることは難しい。一方で、作ることができる人でも毎日安定して同じ量を作れているわけではありません。おなかの調子が悪いときや抗生物質を飲んでいるときはまったく作られなくなる。そのために、サプリで補うことも必要でしょう」(土屋さん)

Photo by Yoshio Kon

Photo by Yoshio Kon

作れる人が1日に必要なエクオールを生成するためには、豆乳1杯、豆腐3分の2丁、納豆1パック程度。毎日手軽に摂取できる量だ。

「作られていない人は、大豆製品を摂っても仕方ない?」と思うかもしれないが、そんなことはない。

大豆は畑の肉と呼ばれるほど、栄養価が高い。植物性たんぱく質や大豆イソフラボンのほかにも、食物繊維、ミネラル、ビタミン、鉄、葉酸など、栄養素の宝庫。エクオールが作られていない人でも、大豆をまるごと摂るに越したことはない。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

今まで大豆製品をあまり食べてこなかった人の場合、「半年〜1年、大豆を取り続けて再度検査をすることをお勧めします」と平岡さん。

女性の体と切っても切り離せない女性ホルモン。その代わりをしてくれる大豆イソフラボンとエクオールを取り入れるには、まずは「大豆を食べること」からになりそうだ。

  • この記事をシェア
トップへ戻る