とにかく人をほめよう

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ほめられて嫌な思いをする人なんていない。人を巻き込むのが上手な人は、女性でも男性でもほめるのがうまい。吉本興業の社員時代、いちばんほめ上手だったのは、今いくよ・くるよさんだった。

私に対しては「ほんま、薬師丸ひろ子みたいやね」。同期の男性にも「どやさ、今年の新入社員は、みんなカッコいいね」。先輩メンバーにも「中井貴一に似てない?」。プロデューサーメンバーにも「モテすぎて困ってるのと違う?」。

とにかく誰に対しても、ほめてほめてほめまくっていた。「ほんま、誰にでも同じこと言ってるでしょ」と言いながら、みんなまんざらでもなかった。

ほめられてやる気に

戦前生まれの両親に育てられた私は、それまでほとんどほめられたことがなかった。だから最初はこうしてほめられることに抵抗があったものの、だんだんうれしくなってやる気になった。

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それどころか、いつのまにか、いくよさん、くるよさんのためなら、何でもしてあげたいと思うようになった。実際、そんな気持ちになったのは私だけじゃないと思う。先輩たちも、いくよさん、くるよさんに仕事が入るように気を使っていた。

私たちは、タレントを盛り上げるのが仕事。「とにかくほめろ。ほめて勘違いさせろ。『俺は、スターになるんだ』と、思わせることが大切」だと教えられた。だから、ネガティブな言葉は御法度だった。

「できるよ」
「大丈夫だよ」
「きっと、行けますよ」

と、言いまくっていた。そして、宮川大助・花子さんが売れ、若い小ずえ・みどりさんの売り出しに成功した。

子どもはほめなかったが

結婚して、夫が私をほめてくれたのは、最初の1年くらい。子どもができてから夫にほめられた記憶はほとんどない。そして、子どももそんなにほめて育ててこなかった。

だから今、子どもはほめて伸ばす、などという本を読んだり、記事を見ると、胸が痛い。ただ、ありがたかったのは、私をまったくほめなかった母が、私の娘、つまり孫には甘かったこと。孫のことは、ほめまくっていた。

「すごい」「やればできるね」という言葉を連発。おかげで、私がほめなかった割には、伸びてくれた。

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家族はほめることができなかったけれど、近所のお母さんたちをほめるのは得意だった。タレントをほめるのと同じ要領だ。

「めっちゃ、料理が上手いらしいですね」
「いつもキレイにしてますね」
「ほんま、いつ見てもおしゃれですね」

とほめまくっていた。すると「そんなことないわよ」と言いつつも、「大谷さんといると楽しいわ」と言ってもらえた。そして、「うちにお茶しに来ない?」と誘われたり、おすそ分けと言って料理をもらったりした。気持ちよく子どもを預かってくれたりもした。もちろん「ほんとに隣が○○さんで助かります」と、とにかくほめまくっていた。

相手が使う言葉を使う

「ほめるのが大切だと言われるけれど、どうやってほめたらいいかわからない」という話をよく聞く。そんな人にはアドバイスしておく。

まず、「どんな言葉を言われたらうれしい?」とさりげなく尋ねてリサーチしておく。そして、その言葉を使えばいい。また、相手を観察して、相手が使っているほめ言葉を使うと意外と間違いない。

「あの人、キレイね」と言う人には、「あなたもキレイよ」と言えばいい。「あの人、頑張っているね」と言う人には、「あなたこそ、頑張っているじゃない」と言う。その人が使っているほめ言葉でその人をほめるといい。ほめて、ほめて、相手をいい気分にさせる。それだけで、結構、ポイントが高くなる。

そして、私は失敗したけれど、やっぱり子どもをほめるのはとても大切だと思っている。私はいま、27歳の娘に「ママって、本当に私をほめなかったよね」と、チクリと刺されている。

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