30代からの髪のトラブルをなくしたい

Photo by Kohichi Imai

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髪は“女の命”とも言われるほど、女性にとってとても大切。けれど最近、薄毛や抜け毛に悩む女性が増えているという。

女性専門の頭髪外来があるAACクリニック銀座。院長の浜中聡子さんによると「当院に相談にいらっしゃる患者さんは年間約2万人、この8年間で約5倍にもなっています。単に増えただけでなく年齢の幅も広がってきており、10代、20代の患者さんもいらっしゃいます」という。

女性の髪に何が起きているのだろう。トラブルを防ぐにはどうしたらいいのか。浜中さんに薄毛や抜け毛の原因と予防について教わった。

30代から少しずつ変化が

髪の印象は密度と太さで決まる。密度のピークは20歳、太さは35歳。その後はどちらもだんだんと低下していき、40歳ごろになると急に髪の衰えを感じる女性が増える。

薄毛や抜け毛の原因は、男性では遺伝と言われることも多い。けれど女性では遺伝が原因となるのは2~3割で、加齢や出産によるホルモンの乱れ、ストレス、食生活の乱れ、質の悪い睡眠、無理なダイエットなどによるものがほとんど。こうした要因が頭皮の血流を悪くして、髪が生えるのに必要な栄養が行き渡らなくなってしまい、薄毛や抜け毛につながる。

Photo by MARIA

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「さまざまな原因が重なることで薄毛や抜け毛が起こるのですが、女性ではとくにホルモンバランスの変化が大きく影響します。ですから、出産後に髪が抜けやすくなったり、更年期を迎える世代で薄毛が悪化するのです」と浜中さん。

「とくに問題を感じやすくなるのは40歳ごろですが、30代に入るとうねりやパサつき、ハリやコシがなくなるなど少しずつ変化が現れ始めます。髪の健康を考えるのであれば、たとえ自分では問題ないと思っていてもこの頃から頭皮のケアを始めるべきでしょう」。

体を整えることが大切

年齢とともに髪が衰えていくのは仕方のないことだけれど、できるかぎり予防したり遅らせたりしたい。そのためにいちばん大切なのは体の状態を整えることだという。

「体に悪いことは、当然、頭皮・頭髪にもよくありません。ですから、たばこを吸っている場合は禁煙したり、食事や睡眠などの生活習慣を見直すだけでもかなりの違いがあります」と浜中さんは話す。

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とくに食生活や質のよい睡眠はとても大切だという。食事は脂の多いものは控えめにしてビタミンやミネラル、質のよいタンパク質を積極的に摂る。

髪は成長ホルモンが多く分泌される睡眠中に伸びるので、就寝時間も考えて質の良い睡眠を十分に。すぐにはわからなくても、続けることで少しずつ体に変化が出てくるという。

シャンプーは成分よりも相性

体の環境を整えたら、次に見直したいのはシャンプー。毎日のことなので、シャンプーが髪や頭皮に与える影響はとても大きい。

最近はさまざまな種類のシャンプーが発売されていて、頭皮や髪に優しいというものもあるが、「誰にでも合うようなシャンプーはありません」と浜中さんは言う。「今は各メーカーから多くのシャンプーが販売されています。ですが大切なのは成分やブランドではなく、使う人との相性なのです。実際に使ってみて指通りがよいか、ベタつきがないかなど、使用感で選ぶほうが重要です」。

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洗い方も大切で、「髪を洗う」よりも「頭皮を洗う」ように意識する。ブラッシングしてからお湯で予洗いし、泡立てたシャンプーを頭皮全体に付けて爪を立てずに優しく洗う。すすぐときはシャンプーが残らないよう丁寧に。コンディショナーやトリートメントをしてきちんとすすぎ、ドライヤーでしっかり乾かす。

頭皮環境が整っていなければ健康な髪は育たない。「洗うべきは“髪”ではなく“頭皮”です。しっかり洗おうとするあまりゴシゴシとこすってしまう人もいますが、頭皮も皮膚ですので、他の部分と同じように優しく洗ってください。正しく洗うことで頭皮が清潔になり、健康な髪が育つようになります」(浜中さん)。

育毛剤はすぐには効かない

薄毛や抜け毛が気になり始めたら、育毛剤も使ったほうがいいのだろうか。ドラッグストアにもたくさん並ぶようになり、興味のある人も少なくないようだ。

けれど実際には、市販の育毛剤に即効性を期待するのは難しいという。市販品のほとんどは医薬部外品のため、育毛の有効成分がある程度は含まれているが、病院やクリニックで使われる医薬品に比べると効果は低い場合が多い。

薄毛や抜け毛が気になったら、いちばんよいのはやはり専門病院で相談することだという。皮膚科や内科に行く人もいるが専門病院以外では対応が難しく、「気のせいだよ」の一言で終わってしまうこともある。

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浜中さんのクリニックでは内服薬や外用薬、点滴、医療用サプリメントなどを用いて治療している。保険の適応にならないため月の治療費は1万5000~3万円ほど。効果を感じるまでに半年ほどかかることが多いが、8割の人に効果が出ているという。

「髪に問題があると感じていてもなかなか相談しづらく、一人で悩みを抱え込んでいる人も少なくありません。ヘアケアの意識も高まってきていますが、女性の薄毛や抜け毛の原因は人によってさまざまで、年代によっても違います。原因を見極め、正しいケアをすることが大切です」と浜中さんは指摘する。

年齢の影響もあるけれど、体と同じように髪の健康も毎日の積み重ね。まだ悩みがなくても、たまにはライフスタイルを見直したほうがいいのかもしれない。

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