頭痛を軽く考えないで

Photo by MARIA

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「私は頭痛持ち」という人は、自分も含め、周りを見渡してもけっこう多い。「肩がこりすぎて頭が痛い」とか、「雨の日は頭痛がひどくなる」とか、「生理前は頭がズキズキする」とか。そう思っていたら、驚きの数字が出てきた。

東京女子医科大学脳神経外科(頭痛外来)の客員教授、清水俊彦さんは、年間5万人の頭痛患者を診ているスペシャリスト。清水さんによれば、なんと日本人の慢性頭痛の患者数は約4000万人。日本人の3人に1人は頭痛持ち、という計算になる。

片頭痛はどうして起こる?

頭が痛くなったときの“お守り“として、薬をつねに持っている人も少なくないのでは。「頭が痛くなったら薬を飲む」という、いっけん普通のこの行為。きちんと知識を持ったうえで薬を飲まないと、将来、頭痛以外の症状を引き起こすかもしれないという。

いわゆる慢性頭痛は、大きく分けて「緊張型頭痛」「片頭痛」「群発頭痛」の3種類。CTやMRIを撮っても脳に異常がなく原因がわからない頭痛だ。

Photo by Fumishige Ogata

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日本人にもっとも多いのが、同じ姿勢でパソコン作業をしていたり、精神的肉体的ストレスなどで、血流が悪くなり肩こりなどと併発する緊張型頭痛。

一方、患者の8割が女性といわれる片頭痛も、ストレスが原因。

ただこちらは、過度なストレスからセロトニンが大量に放出され、一気に枯渇することで起こる。脳血管が拡張して、血管の周りにある三叉神経が圧迫されて脳に情報が伝わり、頭痛と一緒に脳の過敏状態が起きるのだそう。

月に2~3回なら大丈夫

「市販薬を正しく飲んで、月2〜3回の頭痛で収まっている人はちゃんと自分でコントロールできている人です」と、清水さん。

片頭痛は女性ホルモンと関係があるので、うまく付き合っている人は、閉経後に頭痛がなくなっていくことが多い。でも付き合い方が下手だと、年をとっても脳の過敏状態が残り、将来めまいや耳鳴りに悩まされることがあるという。

Photo by Fumishige Ogata

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頭痛に悩んでいる人の多くは「緊張型頭痛」と「片頭痛」を併せ持っていることが多い。ただ、「緊張型頭痛と片頭痛が同時に起こることは、絶対にない」(清水さん)というから、頭痛の症状を見極めて、自分でできる正しい対処法を覚えておくことが大切になる。

緊張型頭痛は、血流が停滞して、乳酸などの老廃物がたまることで、筋肉内の神経が刺激されて起こる。同じ姿勢で長時間パソコン作業をしていたり、ストレスがたまっていたりするとき、肩こりと合わせて起こることが多い。対処法は、体を温めて、リラックスすること。ストレッチしたり、お風呂にゆっくり浸かってみるのがいい。

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一方の片頭痛は、血管が拡張し、炎症を起こしている状態。対処法は、頭を冷やして、部屋を暗くし、動かないこと。動くと痛みがより強くなる。入浴やマッサージ、光などの刺激も頭痛を悪化させるので、とにかくおとなしく寝ていることが、痛みを和らげる近道だ。

このように、血行が悪い緊張型頭痛と、血管が拡張している片頭痛は、対処法がまったく違う。「頭が痛い」と思ったら、まずは緊張型頭痛か片頭痛かを見極めてほしい。

症状の違いで区別しにくい場合は、頭を左右に振ってみて。頭を振って「ガーン」と痛いのが片頭痛、「ガーン」としなければ緊張型頭痛だ。

薬を飲まないのも危険

鎮痛剤を飲む回数が、月に10回を超える人は、一度、頭痛外来などに行って専門医に診てもらった方がいいかもしれない。

慢性的な頭痛に対応して、長年鎮痛剤を飲んでいるうちに、徐々に服用回数が増え、いつのまにか薬が手放せなくなってしまう。

だからといって、薬をまったく飲まないのもよくない。「薬を飲まずに我慢すると、脳に興奮が蓄積されることになってしまいます。結果、同じように脳が過敏になってしまいます」(清水さん)。

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薬を飲まずに頭痛を我慢したり、逆に薬を飲み過ぎたりと、片頭痛の治療に”失敗”した人は、脳の興奮だけが放置され、”脳が焦げた”ことにより起こる「脳過敏症候群」になってしまうという。

脳過敏症候群になると、耳鳴りやめまいのほか、不眠や抑うつなどの症状も起こる。うつ病やパニック障害だと思われていた人が、実は脳過敏症候群だったということもあるのだそう。

「片頭痛による脳の興奮を根本から抑える『トリプタン製剤』という薬もあります。片頭痛の頻度が高い人は予防薬を組み合わせるという方法もあるので、一度専門医に相談してみてください」(清水さん)。

たかが頭痛、と思わずに、痛くなったら迷わず鎮痛剤を飲む。そして飲み過ぎになるようなら専門のクリニックで診てもらうことが大切だ。

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