いつ産む? 卵巣年齢から考える“産みどき”

Photo by MARIA

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20〜30代の自分を思い返してみると、正直、不規則な食生活と不健康な毎日以外、あまり記憶に残っていない。年齢とともに大きくなる責任感や、目の前の仕事を手放す惜しさから、ひたすら頑張ってきた。

そして37歳になった2012年、はたらく女性たちに衝撃を与えたNHKスペシャル「産みたいのに産めない〜卵子老化の衝撃〜」のおかげで、私は自分の“危機的状況”にようやく気づくことになった。

卵巣年齢とはたらき方

妊活や不妊治療という言葉がよく聞かれるようになってきても、女性の「産みどき」や「はたらき方」の問題がそう簡単に解決しないことは、女性たちがいちばんよくわかっている。

そんな中、「卵巣年齢」がにわかに注目されている。さらに、医学の力を借りて自分の卵巣年齢からキャリアプランを立てる、という考え方も登場した。

卵巣年齢を示す「AMH」(抗ミュラー管ホルモン)は、血液検査だけで測れて、金額も数千円と、あまり高くない。簡単に言えば、自分の残りの卵子の数を測定することで、卵巣年齢がわかるというもの。20代でも卵巣年齢は40代という人がいるし、その逆もしかり。個人差がとても大きい。

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知り合いの女性は29歳のときに卵巣年齢を測った。結果は、AMH値が「2.4」で39歳相当だった。

「就職したときから婦人科系の不調は自覚してたんです。産婦人科の先生に怒られて通院した時期もあったけど、途中で通うのをやめてしまって。あのときのツケが回ってきたのかもしれない……」。彼女はその後、急いで不妊治療を始めたという。

医療で越えられない壁

桜井明弘さんは、今まで3万人以上の不妊治療にかかわってきた産婦人科医。妊娠・出産についての正しい知識を持ってもらおうと、「子宮美人化計画」プロジェクトを進めてきた。

「あと2年早く来院してくれていれば、その手に赤ちゃんを抱かせてあげることができたのに……という患者さんを大勢診てきました。忙しい毎日に追われ、乱れた生活習慣を繰り返すうちに妊娠しづらくなることもある。仕事のやりがいを感じたり、責任のある立場になったりする30歳過ぎは、まさに妊娠のリミットも意識しなければいけない年齢。そんなとき参考になる指標が、AMHです」(桜井さん)。

桜井さんによると、この20年で不妊治療患者の平均年齢は10歳ほど上がった。晩婚化や女性の社会進出が大きくかかわっている。

「わずか2〜3年の違いで子どもを産める人と産めない人が出てくるので、正しい知識を知ってもらいたいのです」。日々、診察室で泣き崩れる女性を前に、医療では越えられない壁を目の当たりにしてきた桜井さんは、力説する。

「33歳」をまずは気にしてみて

AMHと卵巣年齢は反比例していて、AMHが高いほど卵巣年齢は若くなる。

桜井さんのクリニックで体外受精をした患者さんのデータによると、AMHの値が3.0以上(30〜35歳)の人の出産率が40%なのに対して、3.0未満では14.5%。およそ3倍もの開きがある。妊娠率の境界線になるのが「33歳」だという。

とはいえ、33歳のときにタイミングよく結婚していたり仕事に区切りがつけられていればいいけれど、なかなかそううまくはいかない。それでも、まずは知ることが、自分の未来を考えるうえでの第一歩。

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久しぶりに産婦人科に来たら、大きな子宮筋腫があった、という人もいる。子宮筋腫の手術後は、半年~1年は妊娠してはいけないし、赤ちゃんへの感染を予防するために風疹の予防接種をしたあとは2カ月の避妊が必要になる。もっと早いうちに手を打っていれば――と悔やむ人はたくさんいる。

定期的に産婦人科に通っていたり、年に1回でもきちんと検診を受けている人は、マイナートラブルの発見が早いそうだ。特に、生理不順や生理痛がある人、若いときに激しいダイエットで生理が止まったことがある人は、一度きちんと診てもらった方がいい。

選択肢を一つでも多く残す

だからこそ、「迷っているなら、今AMHの検査を受けてみる。もし急いでいなくても、30歳を目安に一度AMHを測定してみることをお勧めします」と桜井さんは言う。

いずれ子どもが欲しい33歳の女性の卵巣年齢が、38歳相当だったら。大きなプロジェクトにかかわるチャンスがやって来た33歳の女性の卵巣年齢が、26歳だったら。卵巣年齢だけがすべてではないけれど、パートナーと話し合う大きなきっかけにはなる。

「産みどき」も「はたらき方」も自分次第。だからこそ、後悔のないように、自分の体を知って、未来の選択肢を一つでも多く残しておく。はたらき方を考えるとき、卵巣年齢も一緒に考えてみてほしいと思う。

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