“美しく”なるために今から始められること

W006_00_01

Photo by MARIA

世界一の美女を決めるミス・ユニバース世界大会。その最終審査はスピーチだという。そこで問われるのは「自分らしさ」を持っているかどうか。ミス・ユニバースジャパンの公認スピーチトレーナーとして活躍する野村絵理奈さんは、日本代表に選ばれた女性たちに、まずは自分と徹底的に向き合い、自分を知ることを求めるという。実はそのトレーニング、わたしたちにとっても“美しい人”になる第一歩なのだ。

「世界一の美女」と聞いて、どのような人を思い浮かべますか。

スタイル抜群で、顔も美しく、ウォーキングなど身のこなしも完璧な美女……。多くの人が思い描くのは、そのような姿ではないでしょうか。

私もかつてはそう思っていました。ところが、世界一の美女という栄冠を競い合う大会「ミス・ユニバース」に携わるようになって、私自身の「美しさ」の概念がガラリと変わりました。

スタイルや顔だけじゃない

多くの日本人女性が考える「美しさ」とは、スタイルや顔、ファッションや髪型といった“外見美”に偏りすぎているように思います。テレビや雑誌に登場するタレントやモデルにあこがれて、1kg単位の体重に気を使い、何時間もかけてメイクや髪型を整えるのは、日本女性に特有ともいえる美へのこだわりです。

もちろん、外見美にかけるそうした意識の高さはすばらしいと思います。でも、その何割かを“内面美”に向けるだけで、日本女性の魅力は何倍もアップするのではと思うのです。

ミス・ユニバースの最終審査はスピーチです。私の役割はそのスピーチに向けて、日本代表に選ばれた女性たちに話し方のトレーニングを行うことですが、それは単に話し方の技術を教えるだけではありません。

実は、世界一の称号を手に入れるためには、「自己表現」という高い壁を越えなければならないのです。

自分の意見を言えますか?

ミス・ユニバースの大会に出場するのは世界各国を代表する美女たちですから、スタイルやルックス、身のこなしなどには非の打ちどころがありません。

そのうえで、最後に問われるのが「あなたという人は、どんな価値観を持ち、どんな人生を歩んでいますか」ということ。世界中が注目する中、ぶっつけ本番、舞台上で、審査委員から問われるさまざまな質問に、30秒で答えなければならないのです。

言うまでもなく、日本の学校教育に「話す」という授業はありません。国語教育は文字の読み書きが主流で、子どもたちは自分の意見を人前で述べる機会はほとんどないまま大人になります。

W006_01

Photo by MARIA

過去のミス・ユニバースの最終スピーチ審査で、「あなたは、絶滅危惧動物についてどのような考えを持っていますか」という質問がありました。私はよく研修やセミナーの場でもこの問いを例に取り上げますが、すぐに答えられる人はほとんどいません。

大切なのは「自分らしさ」

スピーチに正解はありません。あなたが出した、あなたらしい答えなら、それはあなたの価値観なのですから、誰かが「それは間違っている」などと言えるはずがありません。

つまり、スピーチの唯一の正解とは「自分らしく、堂々と述べる」こと。それなのに、多くの日本人はそれができなくて、自分を出すことを拒否してしまうのです。

これは公式なスピーチでの話に限らず、日常でもいえることです。たとえば、セミナーや保護者会など人が集まる場で「何か質問はありませんか」と聞かれて、本当は尋ねたいことがあるのに手を挙げるのをためらったりした経験がありませんか。

躊躇してしまうのは、つい「こう言ったら人からどう思われるか」と考えてしまうからではないでしょうか。そんなことを考えずに、自分が思ったことを自分なりに発言できればいいのです。

徹底的に自分と向き合う

では、「自分らしい」とは何なのでしょうか。

「自分はこうだ!」と自信を持って言える何かということは確かなのですが、その「こうだ!」と言えるものに出合うまでが結構大変です。

あなたは「自分の中でいちばん好きなところはどこですか?」と聞かれて、本音で堂々と話すことができますか。自分のことを伝えるとなると言葉が出てこないという人は多いのではないでしょうか。

W006_02

Photo by MARIA

ミス・ユニバースの大会は、地方大会から世界大会に出場するまで1年半ほどありますが、その間に、私が彼女たちに要求するのは、徹底的に自分と向き合うことです。

自分が大切にしている物、人、考え方、価値観、社会のあらゆる問題に対する思いや考え、そして、今までの人生とターニングポイント、これからの人生……。

できるだけ多くの質問を自分に投げかけて、自分という人間に考えさせ、答えさせる。そんな作業をしてもらいます。

そして、自分という人間のことをよく知ることができ、確信がもてたら、次は言葉に出すというアウトプットの作業です。

子育て中心の毎日でも

2011年にミス・ユニバース日本代表として世界大会にも出場した神山まりあさんは、日本大会の最終審査で「あなたの思う、美しさの概念は何ですか」という問いにこう答えました。

「道端の花を見て美しいと思える心です。そして10年後もそのような女性でありたいです」

W006_00

Photo by MARIA

その答えは最も彼女らしく内面の美しさを表現する答えだったので、トレーニングに携わった私の印象に強く残っています。

「自分らしく」生きるというのは、美しくあるためではありません。自分らしく生きている人が、結果的にキラキラと輝くオーラを放ち、周囲を魅了するのだと思います。

自分を表現することは、今からでも遅くはありません。子育て中心の毎日で、自分と向き合うことを忘れていませんか。まずは自分と会話することから始めてみてください。

外見美と違って、ダイエットも整形も必要ありません。「美しい人」になるためのトレーニングはいつでも誰でも始められるのです。

  • この記事をシェア
トップへ戻る