梅雨を心地よく乗り切るには

Photo by Hideji Umetani

育児に家事に、あわただしい毎日。がんばって過ごしている人こそ、ストレスや体調不良が積もり積もってしまう。「なんだか疲れているかも」と感じている人は、「漢方」と「養生」の知恵を暮らしに取り入れてみては。

漢方は日本の伝統的な医学。そして、養生は、古くから伝わる健康法。この二つをミックスした「漢方養生学」は、私たちの暮らしにとてもなじみやすい。漢方養生学の専門家である小野満幹彦さんに指南していただきながら、暮らしに取り入れるコツを書いていきたい。

日本人に合う「漢方養生」

「体が重い」「めまいがする」「冷えがある」といった不調は、病気になる手前の状態、「未病」とされる。未病を治したり防いだりするのに、暮らしと密にかかわる漢方養生はとてもよい方法なのだそう。

中国の医学、と勘違いされることも多い漢方は、実はもっと“日本的”。たしかにもともと中国から伝わった医学だけれど、江戸時代の鎖国などもあって、日本独自の発展を遂げてきた。

「日本の気候や風土や日本人の体質など、さまざまなものを加味しながら発達してきた、日本人に合った独自の医学なのです」と、小野満さん。

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そして、養生。これは日本で古くから伝わってきた、病気にならないための食事や運動、休息、睡眠についての先人たちの知恵。一族の体質やなりやすい病気、住んでいる土地の気候に合った養生法が、代々伝わってきたという。

戦国時代に編み出された養生法の中には、戦いの勝敗に影響しかねない、として門外不出のものもあったとか。

暮らしに寄り添う漢方と養生の知恵を使って、じめじめとした梅雨を心地よく乗り切りたい。

体の中の湿気を解消しよう

年によってバラつきはあるものの、気象庁のデータによると、関東甲信なら例年7月21日ごろが梅雨明けとなる。

梅雨が明けるまでは、家の中で洗濯ものをやりくりしたり、カビが生えないよう念入りに掃除したりするのでは。実は家だけではなく、人間の体も、湿気にやられてしまっている。

湿気が体内に入り込み、不調を引き起こすことを、東洋医学では「湿邪」と呼ぶ。体内に水分がたまると、頭や体が重い、だるい、むくみやすい、といった症状が出てくるのだそう。

また、東洋医学で「脾胃」と呼ぶ、消化機能にあたるはたらきは、湿気の影響を受けやすい。そのため、いつもと同じ食事をしていても消化しにくく、胃もたれを起こしたり、食欲がわかなくてあまり食べられなかったりしがち。水分をうまく代謝できずに、下痢や軟便になることもある。

梅雨どきには豆類がおすすめ

梅雨どきは、体内にたまりがちな湿気を発散させる食材と、弱りがちな胃腸の機能を健やかに保つための食材を意識して組み合わせたい。おすすめは、サヤエンドウやインゲンといった豆類。豆類の多くは、解毒やむくみを取る作用を持っていて、胃を健康な状態に保ってくれるのだそう。

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弱りがちな「脾胃」のためには、温かくて消化のいいものを食べるように心掛けるのもポイント。生野菜やお刺身といった「生もの」は、できるだけ避けたほうがいい。結果として、梅雨時から増えてくる食中毒のリスクも減らせるはず。

そして、冷えにも気をつけたい。梅雨どきくらいから、公共施設やオフィスではクーラーの効いていることが多いけれど、汗をかかないと「湿邪」を外へ追い出せなくなる。湿気の多い時期、代謝を悪くする冷えは大敵だ。

旬の食材がいちばん

それに、空調が効いた空間に長くいると、季節の変化も感じにくくなる。食生活の面でも、世界中から集まるさまざまな食材が年中手に入るので、季節ならではの食を楽しむ人も減っている。ただ、旬の食材は、体にとっていちばんいい食べもの。なるべくその季節に合った食材を摂ることが自然と養生につながる。

地域によって気候や気温の差が大きく、風土に応じた養生の方法が伝承されてきた日本。だからこそ毎日、何となく体調がすぐれないと感じているなら、昔ながらの季節や気候に合わせた暮らしを意識してみては。そうすれば、気持ちも体も自然に心地よくなじみ、毎日を健やかに過ごせそうだ。

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