「“親心”あれば水心」愛される母親になる

W004_01

Photo by MARIA

コミュニケーションやモチベーションの講師をしているわたしは、企業だけでなく、PTAや学校での講演を頼まれることも結構ある。そんなときに必ず言っていることがある。

「絶対にモンスターペアレントにならないでください。人から好かれるお母さんやお父さんになってください。それが、あなたの子どもの幸せにつながります」

理由はカンタン。

先生だって人間だ。いつも文句ばかり言われて、偉そうにしている親の子どものことなんて真剣に考えるのが嫌になる。

それでも自分が担任をしている間は我慢しても、自分から離れたら、その子のことなんてどうでもよくなって当たり前。

でも、自分のことを思いやってくれる人の子どもだったら、「あのお母さんの子どもだからなんとか力になりたい」と思うことだってある。それが子どもの幸せにつながる。

先生にはいつも感謝を示す

わたし自身、いつも子どもを預かってくれる託児所の先生方には感謝しかなかった。いつも、「ありがとうございます」「先生がいてくださって、本当に助かっています」と言葉をかけていた。

「魚心」ならぬ「親心あれば水心」。

そして、親が感謝している姿を子どもも見ている。わが子は、先生を実の親以上に慕った。すると先生は、わが子の面倒を本当によく見てくれる。

わたしが仕事で帰れないときは、そこまでしなくてもいいのに、わが子を自分の家に連れて帰って泊めてくれたこともある。

だからこそ、学校でもつねに先生には感謝。「先生には、感謝しています」といつも言っていると、先生も「なんでもおっしゃってください」と言ってくれる。

それどころか、わたしの代わりに学校に行ってくれる母とも良い関係でいてくれた。

「おばあちゃんがいるから、よい子に育っていますね」と、お世辞でも先生が言ってくれたら、母はごきげん。母がごきげんでいてくれると、わたしはいろいろ頼みやすい。

近所の花屋さんまでも

わたしはあえてスーパーで買い物せずに、いつも地元の商店街で買い物をする。

そして、「ありがとうございます」「この店があるから助かります」と、言い続けた。結果、商店街の人たちが娘を見守ってくれた。

娘が小学生くらいのときは、わたしが駅から歩いていると、

「さっき、まあちゃん(わが子の呼び名)、ここ通ったよ」

「まあちゃん、なんか元気なかったよ」

と、いろいろ報告してくれた。花屋さんは、娘のためにおかずを作って渡してくれたりした。

W004_03

Photo by MARIA

娘が高校生のとき、わたしは、夫と別れた。そんな娘が寂しくないように、その花屋さんは、娘を遊びに誘ってくれたりした。商店街の人たちと仲良く付き合っておいて本当によかったと思っている。

親がどんなふうに他人と接して来たかが子どもに巡ってくるのを、わたしは小学生くらいのときからうすうす気づいていた。

お父さんが好かれていたから

亡くなったわたしの父は、医者だった。それも、医者しか興味ないほど、患者さんのことばかり考えている医者だった。

「この人を助けたい」
「どうしたら、この病気を治せるか」

そればかり考えている人だった。だから、すべての患者さんに対して、真摯で誠実だった。そして、すべての患者さんに愛されていた。だから、わたしは、そんな患者さんたちにとってもよくしてもらった。

「先生のお嬢さんなんですね」
「先生のお子さんなら、大切にしなきゃね」

と、遊んでもらったり、お菓子やプレゼントをもらったりした。そして、祖母に言われた。

「あんたのためじゃないよ。お父さんがみんなに好かれているから、あんたをみんなが大切にしてくれるんだよ」

母も近所の人に親切だった

そして、わたしの母も、近所の人たちの面倒をよくみた。一人暮らしのお年寄りがいたら病院の送り迎えをしてあげたり、買い物について行ってあげたりした。

すると、そうやって面倒見てもらった人たちがみんな、わたしのことをかわいがってくれた。お小遣いをくれたり、おみやげを持ってきてくれたりした。

そして、みんなこう言った。「あなたのお母さんにお世話になっているから」。

就職活動のときも、「先生のお嬢さんなら、わが社で面倒みます」と言ってくれた人がたくさんいる。もっとも、反抗的だったわたしは、「そんな父の知り合いに面倒みてもらいたくない」と、吉本興業に入社した。

でも、吉本興業に入社して、チケットなどの売り先に困っていたわたしからチケットを購入してくれたのは、父や母の知り合いだった。そんな人たちから出てくる言葉は、「あなたのお父さん、お母さんにはお世話になったから」。

W004_02

Photo by MARIA

心理学に「返報性の法則」というものがある。人に何かをしてもらったらその人に何かお返しをしたくなるというもの。でも、してもらった相手に返せない場合、その人が大切にしている人やペットなどにお返しをしたくなる。

だから、親が人によいことをしたことが、わたしたち子どもにお返しになってやってきた。逆にこれが、悪いことをされていたならば、きっと「あいつの子どもなんて不幸になればいい」ということになるかもしれない。

わたしは信じている。愛される親になることは、それが子どもの幸せにつながると。

  • この記事をシェア
トップへ戻る